パンプと出会った瞬間
この曲を私が初めて聴いたのは仕事仲間と飲んだくれていた夜中の居酒屋。いい具合にお酒も入りちょっと熱い話を繰り広げていた時に、ふっと耳に入って来た。懐かしい思い出を振り返る様な。大事な物を守る様な…そんな優しくもあり芯の通った歌声とメロディ。曲名はわからないけれど。天体観測が流行った当時に刷り込まれた歌声。
すぐに「バンプだ」という確信を得た。仲間の話を聞きながら曲の歌詞を追いかけていたら、その時仲間が話ていた「楽しく続けて行く事の大変さと続けられている事への感謝」という内容と妙にリンクしてしまって思わず泣けた。
ただの酔っ払いではあるが、後日記憶にある歌詞と曲調を頼りにバンプの『リボン』を探し当てた。そしてあの時泣けたのはお酒だけのせいじゃないという確信も得た。
リボン 歌詞
感謝の歌
この『リボン』という曲は「感謝(ありがとう)」を伝えている。これまでの道のりを共に戦って来たメンバーを互いに賞賛し合う「ありがとう」。そして「ずっと一緒に音楽を楽しんできたファン」へ「ずっと一緒にいてくれて、ありがとう」という想いも一緒に伝えているようにも取れる。
ここではバンプのファンに対する「ありがとう」を歌詞から汲み取って行こうと思う。
――――
嵐の中をここまで来たんだ
嵐の中をここまで来たんだ
出会って生まれた光
追いかけて
――――
歌いだしの「嵐の中」は20周年を越えるまでに歩んだ道は平坦ではなかった事を指している。
その嵐の中で「出会って生まれた光」はまさにファンの事。ファンがバンプに発する光、応援している想いをバンプは嵐の中の道しるべにしながら嵐の中を進んできたのだ。
――――
たくさん笑ったり
それよりはるかに少ない
泣いたり怒ったりした事の全部が
音符になって繋がって
僕らを結んだ
――――
たくさん笑った事というのはライブの事だろう。ファンと全てを共有出来るライブ。もう笑顔しかないし笑顔にさせるしかない。
けれど、時には泣いたりもする。それは感動だったりライブに来るまでにある辛い事、悲しい事、嫌な事。色んな想いをファンもバンドもライブで音にぶつける。
そしてライブで聴く大好きな音に想いを乗せて笑顔で、時に涙で日常の感情を昇華して更なる笑顔を生む。その連続は確実にバンプとファンを固く結びつけて行ったのだ。
「意地や恥ずかしさに負けないで、心で正面から向き合えるよ。 僕らを結ぶリボンは解けないわけじゃない、常に結んできたんだ」 そう、私たちを勇気づける。
――――
君の勇気を僕がみれば星だ
並べても同じでありたい あぁ
ここはどこなんだろうね
どこに行くんだろうね
迷子じゃないんだ
――――
一番と二番で状況は変わらないけれど、結論も「迷子じゃない」と変わらない。
それは「側にいる事を選んだ」ファンが、どんな時も側にいてくれる事で「嵐の中でも音楽を続ける事を迷う事はなかった」と気持ちが変わらなかった事を言っているのだ。自分達の側にいるという選択を「勇気」と呼びその勇気を「星」と呼ぶバンプのファンへの「ありがとう」はここにとても現れている。
「星」と言うのは、よく「願いを叶える」「美しく輝く」物の象徴とされる。その星に想いを重ねて感謝を伝えたいと思える。そんなファンが側にいるバンプはとても幸せだ。そしてその感謝を側で受け止められるファンも幸せだ。
『嵐の中をどこまでも行くんだ』 バンプとファンを繋ぐ「ありがとう」のリボン。これからも続いて行く嵐の中でも「リボン」は解ける事なく輝いていくに違いない。
BUMP OF CHICKENは、トイズファクトリーに所属する4人組のロックバンド。独特な世界観とボーカル藤原の圧倒的歌唱力、更にはドラマの他、アニメやゲームとのタイアップ曲も多く、幅広い年齢層から支持を集めている。 幼稚園時代からの幼馴染であり、1994年、当時中学校の同級生であった4人が、文···