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なんでこんな顔で生まれたんだろう。CIVILIANの最新シングル『顔』が生まれた背景。【インタビュー】 (2/2)


主人公には、集まってくれる仲間がいる

――『顔』は自分自身のコンプレックスのみを歌っていたら、ここまで表情豊かにはならなかったんだろうなとも想像します。

コヤマ:その通りだと思います。そこへ他の人たちの視線や視点を加えたからこそ、主人公も「相変わらず明日もつまんないことで悩むかも知れないけど。でも、以前に比べたら少しだけ前を向ける気がするよ」という気持ちになれた。そこが、この歌のポイントだと思います。



有田:誰もが持っているコンプレックスへ真っ直ぐに向き合って書いているところが、この歌の凄いところだなと思います。見た目に関するコンプレックス話って、けっこう触れづらい話題じゃないですか。ましてそれって、本人にしかわからないことでもある。だけど、どんなに綺麗な人でも、どんなにイケメンでも、誰だってコンプレックスは絶対に抱いてしまうもの。先の言葉と重なるけど、俺は冒頭に書いた「褒めてもらえて嬉しいけど、私、この顔が嫌いなんだ」という言葉へすごいインパクトを覚えたんですよ。そんな主人公の感情にも、まわりの人たちによって次第に変化が現れていく。この『顔』、けっして答えを導き出しているわけではないけど、でも、聴いた人それぞれにコンプレックスの先の想いを見据えられると思うからこそ、ぜひ最後まで想いに寄り添いながら聞いて欲しい。そう感じる歌になったなと俺は思ってる。

純市:俺も、その言葉に同感だね。俺自身のことで言うなら、学生の頃は、この天然パーマな髪の毛が大嫌いだったし、この髪のことでまわりからもバカにされてきた。でも、今の俺はこの天然パーマな髪の毛が大好きになった。『顔』を聞いてると、それと同じような感覚を味わえると思いますよ。

――『顔』の舞台は、主人公の誕生日。そこにも、この曲へ深みを与える物語の要素を感じました。

コヤマ:この歌に登場する主人公とまわりの人との対比を自分は書きたかったんです。この歌に出てくる主人公以外の人たちって、主人公が抱えてる容姿に対するコンプレックスなど誰一人気にしてない。だからこそ、その主人公の誕生日を祝おうと集まるわけだし。何より主人公自身には、その人のために集まってくれる仲間がいる。

主人公のことを愛おしく思っている人たち。でも、主人公本人は、他人が向ける温かい視線など眼中に入らず、ただただ自分のコンプレックスと向き合っている。そこまで硬く自分の殻に閉じ籠もっていた主人公の心が、自分のことを気にかけてくれたり「好きだ」と言ってくれる人を通し、自分の存在を少しずつ認めてゆく。そこが、この歌のポイントなんです。


何かしら動いた感情を、僕は一つ一つの歌にしている


――コヤマさん自身、自分の感情とまわりの捉え方を対比して歌詞を書くことも多いのでしょうか?。C/Wに収録した『デッドマンズメランコリア』でも、自分とまわりを対比しながら心の叫びをブッ飛んだロックな演奏に乗せぶつけてきた印象を覚えました。

コヤマ:僕の書く歌詞って、僕が思ってることそのまんまです。それが経験してきたことだったり、頭の中に浮かんでいる事柄や言葉だったり。だから、僕の歌に登場してくる主人公は僕自身であったり、誰かに投影しながらも自分の考え方であることは多いです。
 『デッドマンズメランコリア』は激情的な感情をぶつけてますし、そのストレートさがあるからこそ伝わる面がありますけど。『顔』に関しては、僕自身を主人公にして、自分の感情のみをツラツラと書き綴っていったらここまで伝わる歌にはならなかった。むしろ、それをやってしまうと身も蓋もなさ過ぎる、ただただ僕がコンプレックスや泣き声を言ってるだけの歌になってしまう。だからこそ多くの人の心へ届けさせるために、主人公を僕じゃない視点にして書いたわけなんです。

――なるほど、その言葉を聞いて、より深く納得出来ました。

コヤマ:ちなみに『デッドマンズメランコリア』の主人公も自分の感情に当てはまることですけど、「そういう人間もいるよな」という視点で書きました。

 このシングルに収録した『顔』も『デッドマンズメランコリア』も『ハロ/ハワユ』も、僕の中にある様々な感情が一つ一つ形を変えて現れたもの。人は喜怒哀楽様々な感情を抱きながら日々を生きている。むちゃくちゃ幸せを感じる日もあれば、地球など滅びてしまえと思いたくなる日だってある。そういう何かしら動いた感情を、僕は一つ一つの歌にしているんだと思います。


毎回ナノウ名義の楽曲をCIVILIANとして演奏する



――『ハロ/ハワユ』の作詞作曲を担当しているナノウさんは、確か…。

コヤマ:僕の変名です。僕は昔から宅録が趣味なんですけど。その趣味が講じて、バンド活動とは別に、ボーカロイドを用いた楽曲を作っては、よくネットに投稿をしていました。その頃に作った曲たちに対して、純粋に「いい歌だなぁ」と思っていたことから、CIVILIANとしてデビューして以降、シングルのC/Wでは、毎回ナノウ名義の楽曲をCIVILIANとして演奏する形を取ってきました。それを、今回もやったのが『ハロ/ハワユ』を収録した理由です。

有田:ナノウ名義とはいえ、俺らからすれば、どう聞いてもコヤマの曲にしか聞こえないわけで(笑)。何より、コヤマの書く曲が好きだからこそ、こうやって一緒にバンド活動をやっている。そこに関してはナノウ名義だろうがコヤマヒデカズ名義だろうと何も変わりはないこと。むしろ、ネット上では『ハロ/ハワユ』をいろんな人たちがカバーしていれば、様々なバージョンが存在している。じゃあCIVILIANとして、そこをどうするか??。そうなったときに出てきたのが、歌詞とメロディさえしっかり伝われば説得力を持った楽曲になるからこそ、余計な装飾はせず、素直に3ピースバンドらしさで演奏しようということでした。

純市: 3ピースバンドらしさを持って素直にライブ演奏したところ、お客さんたちも素直に喜んでくれる感触を得たことから、そのまま音源でも制作を進めた形だったからね。
コヤマ:そもそも、ナノウ名義の楽曲はボーカロイドが歌うことを前提にしていたから、主人公の歌詞の口調も女の子なんですよ。以前なら、女性口調を自分で歌うことに抵抗を覚えてたと思うけど、今はそういう抵抗もぜんぜんない。むしろ、自分が歌うからこそ表現出来るものがある。そう思いながら、今回も歌いました。
 

CIVILIANの顔となる楽曲が誕生しました



――完成した3rdシングルの『顔』、自分なりにどんな手応えを持った作品になりましたか?

コヤマ:これまでの僕は、自分の体調や精神状態がどうであれ、定められたその日に歌ったテイクがCDとして永久に残ってしまうことから、レコーディング自体が苦手だったし、ぜんぜん好きになれませんでした。でも今回の3曲に関しては、そういうプレッシャーを一切感じることなく歌えたように、とても良い状況の歌を詰め込むことが出来た。そんな、自分自身の殻を破れた1枚だなと思っています。

有田:今回の音作りや音の質感に対して、「すごくいいね」と身近な人たちに言ってもらえてるのがとても嬉しいこと。事実、どの歌も聞きやすいのにエッジが効いている。しかも、伝えたかった想いもしっかり伝わってゆく。ぜひこの作品は、音の面にも注目して聞いて欲しいです。

純市:メジャー1-2枚目のシングルはタイアップ話もあったことから、粗筋に沿って歌詞を書いたりなど、制約があった中で作った作品たちでもあった。そのせいか、『顔』はコヤマヒデカズそのものだなという気持ちを俺は感じてる。むしろこの作品こそが、まっさらな俺らの、CIVILIANらしさを持った1stシングルという意識なんです。まさに、CIVILIANの顔となる楽曲が誕生しました。ぜひ聞いてください。




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(C)2020 Shenzhen Tencent Computer Systems Company Limited コヤマヒデカズ(Vo, G)、純市(B)、有田清幸(Dr)による3ピースロックバンド。 ボーカロイドプロデューサー・ナノウとしても活躍するコヤマを中心にバンドを結成。 2009年より「Lyu:Lyu」名義にて活動を始め、1枚のフルアル···

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