インターネットをやる人に高い知名度
だが、知名度という意味では、音楽が好きな人で、特にインターネットをやる人には、もっと高い。メジャーデビューの前から、彼女はYoutubeにカバーソングを投稿しつづけていたからだ。その数、100本以上。ロウソクの灯る部屋で、顔の半分だけだした彼女の歌声はヒーリング効果抜群で、思わず最後まで聴き入ってしまう。デビューしてからは自身で作詞や作曲をしているUruだが、カバーソングの時以上に楽曲の透明感は増し、そこに素の彼女の純粋さが加わっている。今回歌詞をとりあげる「しあわせの詩」は、そんな等身大の彼女の温かさが、歌声からも、歌詞からも伝わってくるものになっている。
歌詞から伝わってくるUru
---気がつくとまた目が覚めて
初めに見るいつもの天井
今日はどんな服を着て何を食べようか
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冒頭は、「起きて、さあ今日は何をしよう」と言ってしまえばそれまでの内容。けれど、Uruの歌詞は、そういう些細なことにも、ちゃんと目が向けられている。朝起きると天井が見える。天井のことなんて、普段は気にも留めない。それでもUruは天井をじっと見る。
服を選ぶ、食べるものを選ぶ。みんながなんとなくこなしていることでも、Uruはちゃんと味わい、楽しみながら一日を過ごしている。
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歩けば足音が心地よくて
疲れた体が心地よくて
瞬きするように小さなことだけれどそれが幸せ
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そして、そういう小さなことを味わうことこそが、「幸せ」なのだと、ちゃんと気付いている。カバーソングでは、原曲へのリスペクトを残しながらも、自分なりに解釈した表現をしなければならない。そういう物事を味わう姿勢は、カバーを一生懸命歌ってきたUruだからこそできることだ。
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誰かの言葉が温かくて
あなたの笑顔が温かくて Um
一つ一つ喜びが積もっていく
これが一番の幸せ
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「誰かの言葉」、「あなたの笑顔」。これはUruの歌に対する周囲の反応のことなのだろう。Uruにとってのたくさんの「喜び」を積もらせて今がある。「積もっていく」という表現は、今まで地道に努力を積み重ねてきたUruならではのものだ。
そういう喜びを、ひとつひとつ積もらせていくことが、一番の幸せだと歌う。
Uruは、透明感のある歌声もさることながら、ブログなどでみせるキャラクターもほっこりと癒し系だ。ついこの前は、春のパン祭りのシールが全部集まり、とても喜んでいた。文章から彼女の純粋さが伝わり、癒されたい人にはおすすめである。
TEXT:遠居ひとみ