「みんなにわかって欲しい」と思いながら創作をしています
――取材をしている時点では、デビュー日を目前に控えた時期になります。eddaさんを取り巻く環境の変化に戸惑うことは?edda:戸惑いはないんですけど、今までぜんぜん家から出ない人だったので、外に出る機会が増えたことでの疲れはあります(笑)。
――これまでは…。
edda:お日様が上がっているときに外へ出ることがほとんどなかった生活でした。今でも、お休みの日はずっと家にいます。
――家で何をやって過ごしてるんですか?
edda:本を読んだり、粘土を触ったり、絵を描いたり、曲を作ったり…。とくに粘土を用いた造型を始めると、ご飯も食べずに作り続けることもあるくらいです。
――それだけ、日々創作意欲に駆られてるということだ。
edda:昔から創作するのも、創作物を見るのも好きだったように、その意識が強かったんでしょうね。音楽に関しては、高校を卒業し、音楽塾ヴォイスに入ってから本格的に歌唱や創作を学び始めたように、その時期が学ぶという面ではスタートになります。
――造型と音楽の創作に違いを覚えることは?
edda:絵や造形物は言葉がないから、「ここに鎖を垂らすのはこういう意味があって」など、その作品の中で伝えたい想いをすべて完結させなきゃいけない。音楽は、逆に視覚的なものがなくて言葉がある。ただし、言葉はとても強い存在だから、時にそれが答えになってしまうこともある。だから、どこまで明かすのか、どういう言葉で想いを伝えてゆくのか…そこへ難しさと面白さを感じています。ただ、絵も造型も音楽も伝えるための形が違うだけで、根底にある感情はすべて同じです。
――言葉って説明しすぎたり、「こうだ」と明確にわかりやすく文字に記すと、それが受け手側にとっても答えになってしまう。eddaさんは、そうはしたくないということですよね。
edda:私の場合、絵も造型も音楽も「こういう主人公がいて、こういう物語にしたくて」というところから創作していくことが多いです。けっして「理解されなくてもいいや」とは思いませんし、「この世界はわかる人にだけわかればいいや」とも思ってない。むしろ、「みんなにわかって欲しい」と思いながら創作をしています。
ただし、全部の答えを言ってしまうのは違うこと。eddaが感じて生み出す物語の答えをeddaも、私自身もわかっていないように、eddaなりに、私なりに感じたりわかっている範疇で伝えてゆく形を取っています。
明確な答えがあるときのほうが少ない
――eddaさんの場合、明確な答えがあっても、そこは聞き手の想像に委ねたいからあえて明かさないというスタンスなのでしょうか?edda:むしろ、明確な答えがあるときのほうが少ないです。物語を…詞曲を作るとき、私は先に主人公を作り上げ、そこから物語を進めるんですけど。その主人公が意志を持ち一人で歩き出してゆく中、その後をeddaが追いかけ、その様を曲にしてゆくことが多いんですね。つまり、その主人公が通った道のこと(取った行動)しかeddaにはわからない。そこで、「こういう風に思ってたのかな?」と自分なりに想像した答えも描けるんでしょうけど、それをし過ぎると、その答えは作品の中の主人公ではなくeddaの答えになってしまう。それって、主人公を立てて描いている以上違うなと私は思ってしまいます。
――個人の感情を表現の中へ出し過ぎるのは違うということ?
edda:私にとっての楽曲というのは、私自身の話をしているのではなく、その歌に出てくる主人公が織りなす物語のこと。その主人公と出会ったeddaが、eddaなりに見て感じた視点や想いをそれぞれ歌を通した物語にしてゆく。だから幅広い視点を持った音楽が生まれてゆくんだと思います。なのに、私が「こういう結末がいいから」と勝手に答えを出してしまうのは寂しい気がするので、そうはしないように心がけています。
その物語の行き先や答えが気になる
――『チクタク』は、アニメ「Infini-T Force」のエンディングテーマとして放送中。『ディストランス』と『魔法』は、映画「アヤメくんののんびり肉食日誌」の主題歌と挿入歌へ起用。それぞれ作品に寄り添った形で曲を作りました。チクタク(アニメジャケット盤)
edda:2作品とも、「こういうニュアンスで」という要望はいただいてたんですけど。たとえば『チクタク』だったら、アニメ作品の主人公に全部の想いを寄せて書くのかと言ったら、そうじゃなくて、物語に出てくる界堂笑(エミ)ちゃんという女の子に似た主人公を立て、その子の物語を新しく生み出しながら楽曲を作りました。
――その題材から、また新たに物語を創作してゆくスタイルだ。
edda:創作というか、新たに視点を当てて生み出した主人公の世界は実在しているなと私は思ってて。eddaはそれを見ることが出来る。ただし、eddaもまた主人公ではないから、その主人公を見た中で感じた想いを楽曲へ投影してゆく。つまり、eddaが主人公の
――なるほどー、そういう視点でeddaさんの楽曲は生まれているんですね。
edda:私自身も、その物語の行き先や答えが気になるし、その曲を聴いた人がどんな風に感じたり、その人なりの答えを導き出したのかも気になります。もちろん、いろんな方々がくれるeddaの歌の感想や感じた想いを聞いて,「あっ、こういう道筋もあったのかも知れない」「本当はそうだったのかも知れないな」など、そんな風に解釈をしながら楽しんでいます。