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1年8か月ぶりとなる5thアルバム『変身』には吉田山田の生き様が詰まっていた?【インタビュー】 (2/4)


今回のアルバムの特徴



──確かに、その部分の伝わりにくさだけじゃなく、全体的に情景を思い浮かばせるフレーズがすごく多いっていうか、断定しない、具体的に言わないフレーズがすごく多いですよね。今回のアルバムの特徴なのかなって思ったりもしました。
2行目の「自称自問自答 をただ繰り返す日々」っていうフレーズの“自称”って気になったんですけど、自問自答ってそもそも自己完結である動詞なのにどうしてあえて“自称”って言葉を入れたんでしょうか?


吉田:それはやっぱり僕らが音楽を作る上で、いわば吉田と山田が出会って、「楽しいね」なんて言いながら曲を作って、その曲を2人が素敵だなぁと思った時点で、素晴らしいんですよ、それは。100点満点。でもやっぱりそれを仕事にするとなると、それが多くの人に受け入れられて、CDとして売れないと、なかなか活動を続けるのが厳しいっていうこの現実。そこを行ったり来たりしているのが、ミュージシャンだと思うんですよ。1人のお客さんがいれば満足、その方が感動してくれれば。っていう思いと、やっぱり何千人の前に立った時の「うわぁ楽しい」っていう思いと。
だからこの自分が、苦しんでいる、もがいている、その自問自答っていうのは、あくまでも自称。それをやっぱり僕らは歌として、1人の人間の生き様として表現しないと、もうそこにいないのと一緒っていう評価になっちゃうんで。だからあくまでも自称だけど、自問自答をいつも繰り返しているっていう、その思いです。


──おもしろい言葉ですよね。そう言われてみれば、自問自答っていうもの自体が自称なんですよね。パッと浮かんだ言葉だったんですか?


吉田:そうですね。でもこの曲は、吉田と山田の作り方にしては珍しかったです。
山田って結構フィーリングで言葉を選んでいくんですよ。あとで考えたらここ日本語が間違っているとか、ちょっとこっちに変えようとか、これは変えないままの方がおもしろいとか、そういう作業が多いんですけど、僕はあまりそうじゃなくて文章から入っていく作り方なんです。だけどこの曲は僕にしては珍しくフィーリングで言葉を選んでいったんですよね。だから、「自問自答ってそもそも自称でしょ」って言われればそれまでなんだけど、なんか入れたかったんですよね。

山田:これは今回のアレンジャーさんとの出会いがすごく大きくて、今回のアルバムの中の9割くらいを、そのアレンジャーさんにやってもらったんですけど、その人の作るサウンドとの相性、そこに僕ら結構引っ張られてるっていうのもひとつあるのかもしれないですね。今までだったら自分達の歌詞、言葉で引っ張っていくとか、メロディで引っ張っていくっていうのがあったんですけど、僕らと素晴らしい化学反応が起きそうな楽曲を毎回作ってくれるので、そこに引っ張られて僕らも出ていく部分がありましたね。


──メロディラインもすごく独特ですよね。何だか気持ち悪い、ってところもあったりして(笑)、でもさっぱりしていて。特にこの曲の中で気になったのが、メロディラインで「Fly」の後、その後気持ち悪い音階になるじゃないですか(笑)

吉田:「は~」ってハモっている上と、「は~」って下がるやつね。


──そうそう、そっちじゃない!みたいな(笑)

吉田:あはは!


──ところにいくじゃないですか(笑)あえてこういう言い方をしますけど、あまり綺麗な音じゃないというか。そういう部分っていうのは、お2人からのリクエストがあったりしたんですか?それともアレンジャーさんの方から、こういうの持ってきたよみたいな感じだったりしたのか。

山田:やりながら、ですね。今回は本当に僕の歌い方もかなりやりながら変化していて、こっちの方が言葉が伝わるんだということを一から勉強しながら。だからメロディラインも、やりながら「こっちの方が変な違和感残るね」とか、そこはいい意味で時間をかけられたなぁとは思いますね。

吉田:だから必ずしも、理論として、理屈として、合っているものが良しとは限らないっていう。音としては半音でぶつかっているんだけど、表現としては正しいっていう。それはアレンジャーさんの若さと、勢いがないと、成立しないんですよ。正しい正しくないで言ったら、正しくなかったりするんですよ。でもこれいいじゃんっていう。特にそこはそうですね。「Fly~」って(笑)


──若いんですか?アレンジャーさん。

吉田:僕らより若いです。


──感覚的ですよね、確かに本当に。WindowsかMacでいったらMacみたいな(笑)

吉田:本当にそう。そのキャッチボールが結構できた。僕が作ったメロディラインに対して、ちょっとぶつかっているんだけどこんなのどうかなってアレンジとして返ってきたものが、「いやいいよ~、涌井くんいいよ~」って(笑)


──ふふふ(笑) 山田さんと吉田さんのコンビって、感覚と理論的な部分がうまく合致しているからこうやって生み出せるものがある思うんですけど、感覚人間の山田さんとさらにその感覚的なアレンジャーさんとのやり取りってどんな感じなんですか?日本語じゃないものが飛び交っているような気も(笑)

山田:あまり通じないので、よっちゃんを通して。


──なるほど!(笑)


山田:うん。僕わからないんですよ。多分僕の言っていることは向こうわからないし。よっちゃんを挟んで会話していましたね。

吉田:通訳が今回ハンパじゃなかったよね、だから。

山田:こうなるんだなって僕も思いましたよ。感覚で。


──おもしろい。ありがとうございます。すごく細かいことなんですけど、この曲の最後って息吸って終わっているんですか?あれ。

吉田:うん、息吸って終わってる。


──どうしてそういう風に終わらせようと?

吉田:これ最後のレコーディングでこの曲を作ったんですけど、この曲に今の自分達の最新の心情を込めたくて。本当に飛べるか飛べないかわからないけど、いく!っていう時の、怖いけど息を吸って飛び出す瞬間を表現したくて。


──なるほど。終わりじゃなくて“まだ続く感”みたいなものを感じました。

吉田:そう、だから、このアルバムの意味が本当にわかるのは、もうちょっと先だと思うんですよ僕。この次の作品、その次の作品を聴いた時に、今回のアルバムの意味がわかるような気がしていますね。


──もうイメージが沸いているってことですよね。

吉田:うん。


──このアルバムの収録曲の制作期間はいつからどのくらい?

山田:それで言うと、一番古くて3年くらい前から、本当に2ヶ月くらい前まで。


──その3年前の曲も、仕上がりに近い状態でずっと保存してあったような?

吉田:いや、例えば「浮遊」とかは曲のイメージ、この浮遊感のあるメロディとアレンジっていうのはもともとあったんですけど、歌詞はほぼゼロ。でもいいものになるっていう兆しを含んだデモでした。
このアルバムに向けての制作っていうところでいうと、今年に入ってからなので。やっぱりメロディはいいけど歌詞がいまいちのものは歌詞全部変えましたし、もちろん日常的にデモ作りはしていますけど、そういった意味で制作期間とすれば今年に入ってからですね、


──本当によくやるなぁって思いますね。ライブをやられている数が全然多いじゃないですか。

吉田:いや本当にね、褒めて欲しい。

山田:休みは大事だなって思いますよ。

吉田:もっとね、2千人くらいに褒めて欲しい。

──(笑)

吉田:いや、ウソですよ(笑)


──「浮遊」は3年前に元ができていた曲だったんですね。タイトルはもともとついていたんですか?

山田:最初は、「ふ~う~う~」っていうコーラスと「ラララ」しか入っていなくて、その時点で「浮遊」っていうタイトルはついていたんですよ。僕個人としてはこの頭のコーラスで、曲の全体が出来上がっていたように思えて。そこだけでも何かこの曲いいねって思えるっていうことはなかなかないので、パズルみたいによっちゃんと組み合わせていったっていう感じですね。この音とこのメロディに含んでいる言葉を2人で掘っていったような。


──恋が絡んでいる曲じゃないですか、歌詞が。こういう曲にしようと思ったのはどうしてなんですか?「浮遊」っていうタイトルで、恋の歌で、ほわほわした夢みたいな感じのメロディ?ちょっとずつずれている気がして。どれかを取ってそこに寄せても良かったと思うんですけど、その絶妙なバラバラ感みたいなものは、たまたま冒頭と曲全体と歌詞が違う時期にできたからそうなのなのか、あえてそうした意図があるのか。


山田:この曲は、何かすごく…受け口が広いなぁって思ったんですよ。こういう広い受け口のものに対して結構真面目に言葉を紡いでいくっていうよりも、遊ぶ余地があったので、そういう言葉遊びもちょっと織り交ぜつつ、最後よっちゃんが夢で終わるっていうのはどう?っていう面白いアイデアを出してくれた時もこの曲の受け口が広かったから入れられたんじゃないかなぁって。


──めっちゃ文学的な気がしますよね、この歌詞。頭を使う国語の勉強みたいな感じ(笑)

吉田:不思議なんですけど、すごく難しい言葉なんだけど、この音に乗せて歌うと、別に理解しなくていいっていうか、フィーリングで掴んでもらえる言葉にちゃんとなっているっていうのが曲の力なのかなと思いますけどね。


──よくよく考えたら最初に倒置法みたいなのを使っていたり、あと主語がなかったりって。さっきの曲は最後に「あぁそうだったんだ、良かった」っていうので終われたけど、ここは最後で落とされるじゃないですか、「あ、夢だったんだ」みたいな。うん、おもしろい曲。

2人:ウンウン。


──「フワリと世界の糸が切れて 風船みたいに浮かんでく」っていう歌詞では“世界の糸”っていう風に例えられていますけど、吉田さんと山田さんにとって、何かを縛り付けているもの、ここでいう“世界の糸”っていうのは何ですか?

山田:自分。自分ですね。自分でそれを知らずにくっつけちゃってる。

吉田:僕は常識ですかね。僕、結構常識にとらわれて生きているんですよ。それはもう多分育った環境なんですけど。“常識でしょ”って思ってしまう自分自身が嫌な時ももあるんで。でも縛られて、この地上に留まっていられるっていう利点もあるわけで(笑) いいところもあるんだけど、やっぱり恋した時とかテンション上がっている時だけ、糸が切れて浮かんじゃって、非現実にいけるのかなぁっていう。


──2人の糸が何なのかって聞いたら、この“世界の糸”って言っている意味が何となくわかった気がします。

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吉田結威(Gt/Vo)と山田義孝(Vo)からなる男性二人組アーティスト。 2009年10月に「ガムシャランナー」でメジャーデビュー。これまでに13枚のシングルと7枚のオリジナルアルバムをリリース。 2013年12月に放送を開始したNHKみんなのうた「日々」が“泣ける歌”と話題になり、5度の再放送を経てロン···

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