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1年8か月ぶりとなる5thアルバム『変身』には吉田山田の生き様が詰まっていた?【インタビュー】 (3/4)


入場で使いたい結婚ソング『宝物』



──またこれいい結婚ソングが!(笑) 

吉田:入場で使いましょう、ロックチューンを(笑)!



──こういう家族を歌っている歌詞の曲だと、「日々」テイストに寄せがちなのかなって思ったんですけど、全然違う感じで来たから、メロディーと詞どっちが先にできたんだろうなって気になりました。

山田: Aメロが一番最初に出てきて。もうメロディ付きで出てきたのを覚えていますね。


──曲の構成でいうと、サビ始まりですよね。泣かせにかかろうと思ったら、AメロBメロで情景描写だったりで盛り上げていって、このサビを歌うっていう構成が良かったと思うんですよ。確かにサビはパワーのあるメロディーだけど、どうしてあえて結論であるサビから始めようと思ったんでしょう。

山田:これに関してはよっちゃんが、「この曲はサビで始まったのが聴きたい」って言ったところからでしたね。もともとのサビ始まりじゃないバージョンに僕は入り込んじゃっていたんで、第三者的なちょっと引いた目で、よっちゃんがそう言ってくれるならそれもいいかもなぁってことでそうしました。

吉田:これはね、やっぱり派手さですかね。この曲って、一番付き合いの長いであろう僕から見ても「山田汁」がめちゃくちゃ出ているんですよ。だから表現の青さだったりとか、そういうこともあまり手を加えたくなくて、それも含めてパッケージにしたかったんです。

だけど、アルバムの中の1曲として人に聴いてもらう時に、もうちょっと派手に、聴き心地良くするためにはどうしたらいいかなって考えた時に、構成だけ。最初はもう少し、もうちょっと手垢が付き過ぎていたというか。すごくいい意味で生活感がその曲の中に入っていて。そこよりももう少し、吉田テイストもちょっと入れてっていう。その構成だけ。俺だったらこうしたいなっていうところをちょっとだけ入れされて、みたいな感じで。他はもうほとんどいじってないですね。


──なるほど。「山田汁」ですね。わかる気がする。

山田:このアルバムの中の曲を作っていて、本当に個人的な思いを、自分の心の中をほじくり返すっていうんですか、掘るというよりも。蓋を閉めていたところをパカっと開けてほじくり返す作業が多かったので、どういう評価かってわからないんです、あまり人のことを考えていなかったから。だから、そういう意味ではよっちゃんの意見だったりを、“そういう風に思うんだ”って、大事にしたというか。
あとは今まではライブをイメージしながら、“こんな反応だろうな”って狙っていた部分もあるんですよ。でも今回の作品に関しては、本当にもうそういう作業は自分の中でせずに、自分からの目線ばっかりだったから、ちょっとドキドキするんですよね。
いつもは、“詞的にはこっちの方が美しいな”って言葉選びをしながら歌詞を書くこともあったりするんですけど、この曲は青い表現だとしても自分の心に一番近い言葉だっていう方を優先するようにしましたね。


──特に、譲れなかった表現をしたフレーズってどこですか?

山田:一番最後の「宝物でした」の前の「苛立ち遠ざけた」。
ここをすごく迷ったんです。多分もしかしたら、来年とか2年後には、もっといい言葉あったなって思うかもしれないし、ちょっとグチャっとしているんですよ。この最後を整えようとしたら「〜〜が宝物でした」って終わっていたなぁと思うんだけど、今回そうしたくなかった。変な感じを残したまま、終わりたかった。その感覚が、「苛立ち遠ざけた」っていう言葉に一番近い。


──山田さんの中で「苛立ち遠ざけた」っていうことはどういうことだったのか。

山田:今回、「宝物」って付けているところがすごく自分の中の変化でもあり、ちょっとまだ恥ずかしいところでもあるんですけど、自分と親との繋がりを、宝物と言ってしまうんです。でもまだちょっとそこにはこっぱずかしさが残っているから、ただただ最後の締めとして綺麗なものにしたくなかった。恥ずかしさだけじゃなくてまだいろいろあるけどね。その心の中の現状を歌にしているんですよね。だからもっと大人になったら、きっとあ~まだ若いな、自分だっせぇなって思うんですよ。でも、宝物って言えるようになっただけ少しは成長したのかなって。Aメロとかは、ちょっと前の自分にあてた言葉なんですよね。でも、ただただ宝物ですっていうひと言で、綺麗にまとめたくはなかったっていう。


──このBメロの「強く握りしめたその手が離れても 独りにはなれない」、ならないじゃなくてなれないって言っているのも、ふてくされたような感情なんかがまだ残っているからこういう言い方をしたんですかね?

山田:そういう反抗心というよりも、受け入れたっていう感じですかね、自分の中では。さっき言ったように、よく似てるねって言われるのがすごく嫌だった時期もあるんですけど、今はその半分は受け入れてる。同じ道を歩んでいるなって結局、好きなものだったり。それがちょっと心地良くもあるんですけど。そうですね、受け入れてきたからですかね。ならないっていう意思よりも、ひとつの命なんだなって。


──ちょっとわかってきた 20代以上からの世代に、共感得られそうな曲ですよね。

山田:でも僕の、まだ34歳でこんな感じかって、ちょっとガッカリしちゃう部分もあるんですけどね(笑)、自分の中で。


──山田さん34歳でしたっけ?

山田:34歳ですよ。34歳っていったら、もっとちょっと大人っぽい性格でありたかったなと思うんですけど。でもまぁ自分のダサいところとか、恥ずかしい弱い部分もさらけ出すっていう意味では、これを形にしたかったっていうのはありますね。確かに20代なんですよ、この端的な感覚は、もしかしたら。


吉田:僕は「独りにはなれない」っていう言葉を最初見た時に、これ以上ない励ましの言葉だと思ったんですよ。そういう意味では、今の学生とかって、僕らの学生時代に比べて、すごく孤独を恐れているように思えて。それはTwitterとかいろんなものからの承認欲求っていうんですか?自分ここにいるよっていうのが、選べるってわかっちゃったから。多分そういう便利なものがない時は、ないのが当たり前で、すごく自分はちっぽけな存在っていうのが大前提としてあって。みんなそうだから、みんなある種孤独でっていうのがあったけど、今はどんな人でも、ちょっとひと工夫すればみんなに見てもらえるから感じてしまう孤独感みたいなのがある気がして。“寂しい、孤独だな。自分はひとりだ。”って思っても、「いやいやなれないから」って。ひとりにはなれないんだよって。携帯がなくても、何がなくても、もうあなたが生きているってこと自体が、ひとりじゃない。もうなろうとしたってなれないんだからねっていうのが、僕は最大の励ましの言葉だと思うんですよね。


──すごーい!そういう風な捉え方があったんですね。

吉田:あはは!うん。僕はそう感じたな、この曲。


──めっちゃ性格いいですね!!(笑)

吉田:あははは!僕、性格いいんですよ、そうなんです(笑)。


──何だろう、吉田さんの感覚をお聞きしたら、自分の捉え方ってめっちゃひねくれていたなぁと思って。

山田:いやいやいや、いいんじゃないですか。

吉田:それは育った環境が全然違うから。僕はあまり反抗期なくここまできちゃったから。だから山田の感情だったりって、すごくこう、興味深い。自分と違うから。


吉田山田"っぽくない"曲『YES!!!』



──本当におもしろいですね。これだから吉田山田さんの作る曲っていろいろ聴けば聴くほどおもしろい。「街」は前回のインタビューで詳しくうかがったので「YES!!!」について。この曲はテレビで聴いた時、吉田山田さんっぽくないって印象でした。


▼【前回のインタビュー】
吉田山田の新作を心の栄養に!ハードなツアーを終えてさらに深みの増した彼らの歌詞に注目!





吉田:(YES!!!を)ライブで山田がちゃんと歌えたのは、過去5回くらいです。

──(笑) ちょっとCDでも危ういですもんね(笑)

吉田:あはは!バレてる!バレてる!(笑)

山田:そうなんですよ。何でこんな曲作っちゃったんだろうっていうくらい。


──そうですよね。これだって自分で作ってるじゃんって思って(笑) 吉田さんの方がこなせてるんですよね(笑)

山田:そうなんですよ、自分が歌えるかどうかで曲作ってないんだなってちょっと思った。これいいなっていうのを形にしたんですけど、結果超むずいっていう。


──この曲って、特に書き下ろしではなく曲ができてからタイアップが決まったんですか?

吉田:うん、そうですそうです。


──だからかですね。聴く人の2017年の夏の思い出とダイレクトにつながれるタイアップだから、もっとカラオケで歌いやすい感じを狙って作ってもおかしくないのにとか思ったりして。聴くの楽しいけどカラオケめっちゃ歌えないじゃん!ってなりそうな(笑)。

吉田:本人歌えてないんだからね(笑)。

山田:むずいですよねぇ。


──めっちゃ難しい(笑)。音程もかなり動きあるのに文字数も多いですし。逆に吉田さんがパキパキ歌ってるのめちゃめちゃ気持ちが良いです(笑)。

吉田:本当にご注目いただきたいのは、僕ギターも弾きながらなのに歌えているっていうところなんですよ。こいつは、ギターも弾いてないのに歌えないっていう(笑)。


──(笑)

山田:そうなんです。

吉田:ある意味僕天才だと思いますよ。自分にできないことを作っちゃう。


──確かに。

吉田:自分の範疇を超えた作品を作れるっていうのは、すごいことですよ。


──作る時は、どうやって作ったんですか?

山田:疾走感。こんなもう細かいメロディで、歌詞も結構パッとできたんですけど…う~ん、歌えないんですよね~。

吉田:あはは!(笑) しみじみ…じゃないわ!(笑)


──あはは!(笑)

山田:歌えなかったですね。


──逆に吉田さんに聞きたいんですけど、これって何か特別な練習方法とかコツってありますか?


吉田:たまにカラオケとかどうやったら上手に歌えますか?みたいな質問とかあるんですけど、基本的には一番大事なのは上手に歌わなくていいってことなんですよ。上手に歌うと、サラーって流れちゃうから。それよりも、込められるものとか、ちょっとブサイクな部分を残したくて。それってやろうと思ってできないんですよ、だから加減が難しくて。


──なるほど。

吉田:多分このアルバムで山田は生まれて初めて歌うのって難しいんだなって思っていると思うんですよ。それはさっき言った、エンジニアさんがいることで山田の歌い方のどこが今足りていなくて、どうするともっと良くなるのかっていうのを理屈で100%説明されちゃったんで。今までフィーリングでやっていたものを、全部理屈化して数値化して、理解させてもらったので、いかに自分に足りないところ、フィーリングだけでは補えない何かを、これからやらなきゃいけないのかっていうのを、多分初めて本当に感じているので。

でも、人間そっちに集中すると今までできていたことがちょっと抜けちゃったりするわけですよね。それは、一般のリスナーからしたらわからないことかもしれないけど、僕らからしたら今はそこじゃないところを一番大事にしているからそれでいいんだよっていう風に思っていて。そういった意味でも、今回のこのアルバムは、数年後に聴いた時に、もうちょっと上手にやりたかったなぁって思うかもしれないけど、ちゃんとそこにこそ意味がある。歩んできた道を、アルバムを聴けばわかるっていう風になるんじゃないかなって思ってますね。

次ページ : なんで作ったの?『しっこ』という曲

吉田結威(Gt/Vo)と山田義孝(Vo)からなる男性二人組アーティスト。 2009年10月に「ガムシャランナー」でメジャーデビュー。これまでに13枚のシングルと7枚のオリジナルアルバムをリリース。 2013年12月に放送を開始したNHKみんなのうた「日々」が“泣ける歌”と話題になり、5度の再放送を経てロン···

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