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UNCHAIN『Get Acoustic Soul』に込められたナマモノの音楽

ぬるめの声質に小気味よいシャウト。歌唱力はホンモノで、楽曲は個性的なグルーヴを形成している。ギターのポロポロと鳴る音色とかすれた声が、聴く人を夢の世界に連れて行ってくれる。

UNCHAINのアコースティックアルバム「Get Acoustic Soul」

UNCHAIN初となるアコースティックアルバム「Get Acoustic Soul」がリリースされるということで、アルバム収録曲を聴いてみた。UAや東京事変のカバー、自身のヒット曲をアコースティックでセルフカバーしたものに加え、描き下ろしの新曲を含めた計10曲が収録されたハイセンスな一枚だ。

新曲「The Sound Of Silence」

一曲目は新曲「The Sound Of Silence」。このタイトルから、サイモン&ガーファンクルの有名な曲をイメージされた方も多いだろう。あの曲が夢のなかの世界を描いたものだったように、UNCHAINの曲の歌詞にもまた、幻想的な言葉たちが踊っている。

――――
名もなき風の住む丘に 幼き日の置き手紙
秋がそよぐ通り途は 樹々の遠い囁き
揺れる 言葉さえぎって 体を吹き抜けていく

ほら聞こえる シフォンのように 優しく 甘く 包まれて
透き通っていく 雪をあざむくように白い あなたを躍らせる
――――

導入部分の歌詞は、「風」が主役となって展開されていく。秋風に揺れる梢が、幼い日の思い出を囁いているように聞こえる。一本の風が歌詞全体を吹き抜けていくように展開され、最終的には白く踊る「あなた」へと到達する。「雪をあざむくように白い」や、「シフォンのように」など、まるで夢のなかの出来事のような現実離れした表現がつづく。

アルバムタイトルに「Soul」とあるように、R&Bの抑揚のあるリズムに合うように、歌詞を当てはめていったのだろう。言葉ひとつひとつが、まるで暗号のように聴く人を深い思索へと導く。歌詞から描かれるイメージはとても美しい。

一曲目からの流れを引き継ぐ「情熱」

続く二曲目、三曲目はカバー曲。これまで3枚のカバーアルバムをリリースしているUNCHAINだけあって、ただのカバーでは終わらせない、とてもクオリティの高い作品になっている。UAの「情熱」の歌詞には「夢」というワードが絡んでおり、奇しくも一曲目からの流れを引き継ぐものになっている。

――――
遠い昔の夢は
怖いくらいに広く
こぼれそうに蒼ざめた
空に二人抱かれて
――――

その後はセルフカバーの名曲たちが続く。「Back To Zero」、「beautiful girl」の日本語詞が2曲、残り5曲は英語詞となっている。今年で結成21年目のUNCHAIN、もともとは英語詞の曲を歌ってきたバンドのルーツがここにも現れている。

ナマモノの音楽を届けるUNCHAIN

ソウルやジャズ、シティポップをミックスしたグルーヴを鳴らしてきたバンドは、生き生きとしたナマモノの音楽を私たちに届けてくれる。心の乾いたところを潤すような、感性に響くアルバムになっている。



1996年、中学の同級生だった谷川正憲(Vo& Gt)、谷浩彰(B&Cho)、吉田昇吾(Dr)の 3人で結成され、後に1年後輩の佐藤将文(Gt& Cho)が加入し現在の編成となる。 ブラック・ミュージックのエッセン スを絶妙にブレンドした、グルーヴィーなロックを鳴らす京都府出身の4ピース・バンド。特···

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