メロディー、音色、楽器においてもこだわりぬかれており、聴く者をトリコにするにはうってつけのアルバムだ。『FABLED NUMBER』がどんなバンドなのか、一目瞭然といった印象もある。
2ndアルバム『THUNDER』
ボーカルの、寒い日の透き通った空気のような歌声が、よく耳に馴染む。たたみかけるような英語に、スッと自然体で関西弁が耳に入ってくる。
ここからはアルバムから、『Like a Thunder』と『ザ・クロスレインボー』に焦点を当てて、簡単ではあるが紹介してみたい。なぜこの2曲なのか?前者はアルバムの顔となる曲であること、後者は個人的に印象深く、ライブが目に浮かぶようだったので選んでみた。是非お読みいただきたい。
Like a Thunder
まず『Like a Thunder』について。アルバムタイトルからもわかるように、今回のアルバムのリード曲となっている。そのためアルバムを聴き始めて最初に聴くことになるのはこの曲だ。イントロが始まり、すぐにサビへと流れ、一気に合唱パートへとつながる。勢いをつけてガッシリとリスナーを惹きつける、まさに「リード曲」という仕上がりだ。
――――
I wanna live for 歌歌う
I wanna live for 歌歌う
Fall or Fly Live for Dying Cry out
Fall or Fly Live for a Dream Dance on you
――――
以上はサビに当たる歌詞だ。「歌を歌うために生きたい」という内容だが、まるで自分に言い聞かせているかのようだ、「何したくて生きてんやっけ」と歌詞は続く。「すべて屑でどうにでもなれ」などと、叫ぶように歌う。このエモーショナルな衝動性のある歌詞は、メロディーともよく似合っている。
「歌詞の中に出てくるyouっていうのは応援してくれている人のことで、いつどんな時でも好きなようにやれって、言ってくれている人に向けて、好きなように歌い、力強く生きるって曲になっている」と彼らは語る。自分たちの意志表示のための一曲なのだろう。そして自分を自分で鼓舞する曲だ。しかしそれだけにとどまらず、聴いている側にも勇気のわいてくる、元気になれる一曲だ。もちろん元気になれるのは、歌詞に限ったことだけでなく、ノせられて踊り出したくなるようなリズム、曲調も手伝ってのことだ。
通常ロックの世界では、こういったエモーショナルを表すときに、「Like a Rolling Stone」と言い表すのがセオリーだし、そうなりがちだと思うのだが、ここでは「Like a Thunder」となっていることにも気づいてほしい。雷のように強く光り、雷鳴をとどろかせながら、私たちの心に刺さってくる曲だ。
ザ・クロスレインボー
続いて『ザ・クロスレインボー』について。全体を通して、ドラマティックな展開をみせる曲だ。後半に向けて一気に駆け上りる。ライブで感じられるような一体感を、直に体験できる。
――――
You don't know I say come home
You don't know I say don't go
Oh oh oh oh oh
Oh oh oh oh oh oh
I don't know you never come home
I don't know you say I'll go
Oh oh oh oh oh
Oh oh oh oh oh
――――
以上がサビにあたる歌詞だ。「相手の気持ちが全然わかってなかった自分を歌っている」と彼らは語っている。特にダンスポップとバンドサウンドの融合を強く感じられる。特に多幸感に包まれ、音の洪水が心地よい。
「Oh oh oh oh oh」の部分は合唱できるパートになっており、それだけでもテンションが上がる仕上がりだ。この曲はとにかく、ライブでどんな風に変貌するのかが、ひたすらに楽しみだ。
身体全体を包み込まれ、抱きしめられているかのような錯覚を覚える。疾走感がありつつも、どこか優しさを持った曲だ。
断然ヘッドホンで聴いてください
全体の印象としては、やはりライブでこそ本領を発揮しそうだという感覚がある。凛として時雨から得られる印象に近いかもしれない。部屋で聴くとしたら、イヤホンで聴くよりも、断然ヘッドホンがおすすめだ。駆け抜けるような疾走感と衝動に溢れ、ひとつひとつが一閃の稲妻のような楽曲が出揃った。大きさも色も、力加減も様々だ。
しかしそのどれもが、一瞬の光を何度でもみたくなる、そんな光景を私たちに魅せてくれる。
FABLED NUMBER(フェイブルドナンバー) “エレクトロダンスロック”を提唱する6人組バンド。 ■Twitter ■公式ブログ ■日本クラウン公式サイト