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音楽は憎しみに勝てるか ―オアシス「Don’t look back in anger」に学ぶ

2017年5月22日、イギリス・マンチェスターアリーナで起きた自爆テロ事件。歌手アリアナ・グランデのコンサート会場を狙った卑劣な犯行によって多くの未来ある命が失われたショッキングな出来事は決して忘れることはできない。そんな中で、アリアナ自身の提案によるチャリティーコンサート「One Love Manchester」にトップアーティストが駆けつけた様子は日本でも大きく報じられた。コールドプレイのボーカル、クリス・マーティンが歌うオアシス(oasis)の「Don’t look back in anger」で会場全体がコーラスする様子は感動的だった。今回はそんなイギリスの国民的バンドの代表曲を取り上げたい。

2017年11月24日


この記事の目次
  1. ・オアシスの「Don’t look back in anger」
  2. ・うまくいかない事があっても怒りにまかせてはいけない
  3. ・テロや暴力、全ての憎しみに訴えかける力がある「Don’t look back in anger」
マンチェスターでギャラガー兄弟を中心に結成されたオアシス。「Don’t look back in anger」は彼らの1996年の大ヒットナンバーである。

曲を書いたノエル・ギャラガーは歌詞には特に意味がないと言っているが、謎かけや暗示のようにさまざまに解釈できる歌詞とスケールの大きなメロディーによって、この曲は20年以上にわたり歌い継がれる名曲となった。

有名なサビの出だしの部分は、弟でボーカルであるリアムの聞き間違えがきっかけで生まれたものである。

オアシスの「Don’t look back in anger」



So Sally can wait
She knows it’s too late as we're walking on by
Her soul slides away
But don't look back in anger I heard you say


(訳)
だからサリーは待っている
僕たちが歩んでいくにはもう手遅れだと知っているから
彼女の魂はすべり落ちていくけど
「怒りにまかせて振り返らないで」と君が言ったのを僕は聞いたんだ

そういうわけでサリーが誰かは当のギャラガー兄弟にも不明である。しかし、少なくとも「僕」にとって距離の近い存在であることがうかがえる。

そして、何かが終わってしまって取り返しがつかないこと、怒りの感情が湧いてくるような出来事が過去にあったと推測できる。

それはどんな出来事だったのだろう。

Slip inside the eye of your mind
Don't you know you might find a better place to play
You said that you'd once never been
But all the things that you've seen
Will slowly fade away


(訳)君の心の中にもっと素敵な場所があることを知ってる?
君は行ったことがないと言うけど、君が見たものはゆっくりと全部消えていくんだ

しかし曲中でそれは示されない。これは1番の歌詞だが、2番も「いつでも君の行くところに僕は行くけど、ロックバンドにだけはついていかないで」と歌っているので、結局わからずじまいである。

でも何か「君」との間にうまくいかないことがあったのではないかと思える。そこで「僕」はこう歌う。

うまくいかない事があっても怒りにまかせてはいけない

So I'll start the revolution from my bed
Cuz you said the brains I had went to my head
Step outside the summertime's in bloom
Stand up beside the fireplace
Take that look from off your face
You ain't ever gonna burn my heart out


(訳)
 だから僕はベッドから革命を起こすよ、君がうぬぼれてるなんて言うから
 真夏の空気の外に踏み出して暖炉のそばに立ったら、そんな顔をしてちゃダメだ
 君は僕の心臓を燃やし尽くせない

「the brain go to one’s head」というのは、うぬぼれているという意味だそうだ。

なんとなく見えてきた気がする。「僕」と「君」はケンカしたのだろうか。もしかすると原因はロックバンドの誰かにあるのかもしれない。

そして修復不可能な状況になりかけている。そんなときは相手に何を言っても逆効果だ。「僕」には伝えたいことがあるが「君」にうまく伝えることができない。

これはあくまで筆者の想像だが、きっと大きく外れてはいないと思う。

人生で起きるトラブルの多くは人間関係に関するものだ。彼女にフラれた、上司とソリが合わない、子ども(親)のことで悩んでる。そんなとき私たちはどうするだろうか?

相手が悪いことも自分が悪いこともある。どちらにも責任があったり、誰ひとり責められないことだってある。そのことを追及しだしたらおそらく終わりはないだろう。

この曲ではどちらが悪いとは言わない、というより言えない。具体的な状況は人それぞれだから。

しかしこの歌詞は、内面に目を向けるんだと言っているように読める。自分のほうから変わるんだと。

2番のサビでは「Her soul」の部分が「My soul」になっているが、これは偶然ではないと思う。

人の心も自分の心も変わっていく。だから怒りにまかせてはいけないよ、と歌っているのではないだろうか。

バンドが解散した今でもケンカばかりのギャラガー兄弟にこんなことを言われるのは矛盾している気もするが、少なくともステージに立っているときは世界最強だった2人が声を合わせて言うのだからきっと本当なのだと思う。

テロや暴力、全ての憎しみに訴えかける力がある「Don’t look back in anger」

So Sally can wait
She knows it’s too late as she's walking on by
My soul slides away
But don't look back in anger I heard you say


(訳)
 サリーはいつだって待っている。彼女が歩むのにもう遅すぎると知っていても
 僕の魂は消えてしまうけど、思い出を怒りで塗りつぶさないでと君は言うんだ

コンサートを楽しみにしていたファンやその家族、アリアナ自身にとって、今回のテロは取り返しのつかない、あまりにも辛い出来事になってしまった。

そのアリアナはこの曲の間じゅうずっと、スマイルを浮かべながら客席に手を振っていた。

ふだんはクリス・マーティンの悪口を言っているリアムも、続いて演奏された「Live forever」ではクリスとともにステージに立ち、肩を抱いて声をかけあっていた。

ケンカしたり仲が悪くてもいい、それは平和だからできることでもある。

そして世界を変えるのに音楽は少し力不足かもしれないけれど、少なくともあの日スタジアムを満員にした観衆が「Don’t look back in anger」を合唱する姿は、音楽にできることを力強く語っていた。

テロや暴力は私たちの心を燃やし尽くせない。怒りに身をまかせないこと、それがささやかでも意味のある“革命”であることをこの曲は私たちに教えてくれる。

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