初のベストアルバム「軌跡 BEST COLLECTION+」
──今回初めてベストアルバムと名を打つ盤のリリースとなりましたが、どんな作品になりましたか?
鈴華:今回の作品にどういった曲が集まっているのかというと、目で見て楽しんでいただこうというコンセプトのもと、これまでミュージックビデオをシングルDVDとして出してきた作品を集めたものになっています。
和楽器バンドはこれまでシングルCDを出してきたわけではないんですけど、たまたま今までの映像作品を並べてみると和楽器バンドらしさがすごく凝縮されていたので、「あ、これがいいんじゃないか」ということで、初めて和楽器バンドを知っていただく方お届けするのにもすごくいいアルバムになりました。
──今回ベストアルバムのリリースに踏み切ったのは?
鈴華:それはメンバーで話し合って、デビュー4年目、出会って5年目のこのタイミングで出そうということで。それからこれまで応援してくださったファンの方もたくさんいらっしゃって、すごく私たちのファン老若男女そろっているので、新しい顔も見せていきたいなということで新曲も3曲入れたんですが、そのうちの1曲は今までにないようなミュージックビデオができあがったので、それも楽しみにしていていただければなと。
──楽しみにしてます。ちなみにどの曲でつくられたんですか?
鈴華:「シンクロニシティ」という曲で私が作詞作曲したんですが、今回は男女歌い分けの曲にしたのと、すごく世界観がジャジーな感じになっていて、本当に新しさを感じていただけるような作品になったと思います。
──先にこの曲の話が出たので聞いちゃうんですけど、ジャズっぽい感じっていうのは鈴華さんのピアノのルーツからきたテイストだったりするんですか?
鈴華:私がすごく影響を受けてるジャンルはクラッシックで、あとは親の影響でジャズはすごく深く聴いていました。どっちかというとロックを聴いてきてないんですね。私がつくる曲もみんなもそうなんですけど、ジャンルフリーな感じなんですよ。それをこのバンドに落とし込むと、こうなりました!っていうのが和楽器バンドのおもしろさかなと思っています。
──この新曲の3曲でいうとロックの中でもまた違ったテイストなんじゃないかと思ったんですけど、そういうところも皆さんらしさが出た新曲たちになるって感じなんですかね。
いぶくろ:それもそうですし、ベストアルバムみたいなポジションなので、逆に定番みたいな曲っていうのが既に前のところに入っていたりとか、ストレートなロックも結構入ってたりもしたので、その中で今回のベストアルバムに入れる3曲はちょっとまたそこの中とも違ったものをチョイスしたっていうのもあると思いますね。
──ではほかにも候補曲はあったけど、あえてこの3曲を選んだという感じなんですか?
いぶくろ:新曲はあと何曲あるんですか?
町屋:新曲ですか?
黒流:ストック。
町屋:ストックですね。だいぶ減りましたね、44曲ぐらいですかね。
いぶくろ:おお、だいぶ減りましたね。
神永:店の在庫みたい(笑)。
町屋:まだちょっと正確に棚卸してないので。
(笑)
いぶくろ:ストックは大体それぐらいある中で、またみんなが新しくつくってきて、その中でそのときにまた合ったコンセプトのものをだしていく状態なので。
鈴華:みんなで会議室で「今回はどれがいいかな」っていうのを、常に新曲だしながら。
いぶくろ:逆に昔作った曲が選ばれると、また新しい気持ちでみんな弾いて、新しい気持ちでアレンジしたりするので、また聴こえ方が変わったりしますしね。
──未発表曲の中でもライブでは披露している曲もあるんですよね。
いぶくろ:そういう曲もライブの中ではあります。でもそれって小編成の曲だったりとか、あとはカバーだったり、昔やっていたボカロのカバーで収録してない曲だったりするんですけど、そういうのは収録せずに。
町屋:今回の新曲3曲はあの…。
いぶくろ:初出しですね。ライブでもまだやってないです。
町屋:初出しなんです。それまで既発でだしている曲は14曲ですか?
いぶくろ:今回全部で…そうですね。
町屋:14曲にプラス4曲ですよね。プラス3プラス1?
いぶくろ:そうです。
鈴華:新曲が4曲入る予定になったんです。
──増えるんですね、1曲。
山葵:でも3…基本3…。
いぶくろ:CDのみ盤には別、もう1個ボーナストラックで。
鈴華:そうです。基本は3曲です。特典としてもう1曲入るものもあるっていうことぐらい。
山葵:その特典の1曲入る曲がもともと中国の楽曲を町屋がカバーしたんですね。
──へえ。どうしてCDバージョンにしか入れないんですか?もったいない。
山葵:そうですね。でも多分これからライブとかではやってくと思うので、そういうところでも楽しんでいただけたら…。
鈴華:曲数が多すぎて入りきらなかったんです(笑)。
和楽器バンドに大きな変化をもたらした曲はやっぱり…
──なるほど、ありがとうございます。この和楽器バンドの軌跡がつまっているベストアルバムですけれども、中でも特に、和楽器バンドさんに大きな変化をもたらした曲ですとか、何かのきっかけになったような曲は?全員:「千本桜」じゃないですかね(笑)。
鈴華:まちがいない。
亜沙:「千本桜」が、再生数が非常に伸びてそれでいろんなお話いただけるようになったりとか、いろんな人が知ってもらうきっかけになったので、あれを出したのがやっぱり1つのきっかけですね。その前の「六兆年と一夜物語」「天樂」ももちろんすごく重要だったんですけども、この一連の流れが重要で、その「千本桜」で大きく変わってくれたっていう感じですかね。
いぶくろ:僕らのライブでは、お客さんがアンコールの代わりにそこに収録されている「暁ノ糸」っていうのを歌ってくれたりするので、それもバンド活動の中では大きな意味合いのある曲に今はなってますね。
山葵:曲順が僕らが作品を発表した順に並んでるんで、僕らの変貌とともに楽しんでいただけるかと思います。
鈴華:そうですね。
──ミュージックビデオもなんだか、お金がかかってきてる感みたいなのもありますよね(笑)。
鈴華:1番最初の「六兆年と一夜物語」のPVなんかは、ほとんど手づくり感でつくっていたりするので、それがまさかそのままこういうバンドになるとまでは予想もしていなかったような作品なんですね。なのでやっぱりどんどんどんどん協力者が増えて、クオリティが変わってきたり、やりたいことができるようになったりっていうのはすごく変化が見えるし、衣装の変化とかも楽しんでいただけるかと思います。
和楽器バンド 六兆年と一夜物語 PV
──確かに。
町屋:だって「六兆年と一夜物語」で僕が着てる浴衣、私服ですよ。
いぶくろ:「六兆年と一夜物語」ってでもあれみんな割と…。
神永:みんなそう、自分で持ち込んで…。
山葵:「六兆年…」のとき僕が巻いてた袴、いぶくろさんから借りたやつです。
蜷川:山葵の体の変貌具合も見てほしい。
山葵:ヒョロヒョロだったんですけど、(上を脱ぐ)
(笑)
──いただきました!今日は服着てらっしゃるんだなと思っていたんですよ。
黒流:ぬるっと脱がないで(笑)。
山葵:ちょっとどこかなってタイミングを…(笑)。
今日の背中の文字
──今日は背中の文字、書いてらっしゃらないんですか?山葵:ここでいいんですか?(脱ぎながら背中を見せる→「軌跡」の文字)
──書いてる!すごい。“軌跡”にされたんですね。なるほど。今回の皆さんの衣装のポイントとテーマもお聞かせください。
鈴華:今回の衣装は「洋」にあえて寄せたりしましたね。「和」と「洋」の融合バンドなんですが、これまで「和」の要素のほうが多いことが多かったんです。
ただやっぱり和楽器バンドらしさを、今回のアルバムでもっといっぱいの人に広がっていただきたいという願いをすごく込めているので、そういった意味でも和楽器バンドらしさを中を見れば伝わるんですが、新しい一面でやってくぞっていう思いとかも込めて、ちょっと「洋」要素も増やして。あとは「シンクロニシティ」のミュージックビデオで着ている衣装でもあるので、見ていただくと納得するんじゃないかなと。ちょうどそういう大正ロマンというか…。
いぶくろ:なんで僕に聞くんですか(笑)。
鈴華:それぐらいの時代をイメージしたMVに仕上がっているので見ていただくとすごく、ちょうど日本もそういう時代があったじゃないですか、「洋」のものを取り入れて盛り上がる。それでこんな感じに仕上がったっていうのが納得していただけるかなと。
──なるほど。ミュージックビデオはどんな内容になってるんですか?
鈴華:歌詞の内容が、王道なんですけど男女入れ替わりのお話になっていて、今回は役者さんも使って分かりやすい物語がMVを通して展開されていきます。お金持ちの男の人と身分の違う女の人が出会って、男の人に口説かれるんですけれども、雷が落ちて入れ替わっちゃう。そのあとどうなっていくかっていうのがMVの中でも展開されていて、歌詞の内容もそういう内容になってたりします。
──この曲って「君の名は」からインスピレーションを得たりとかって…。
鈴華:それはないです。王道でずっとあると思うんです。こういう物語って。たまたま昨年それが流行ってっていうのがあったと思うんですけど、そういうわけでもなく、今までライブでした見せてこなかった男女歌い分けの曲でミュージックビデオを撮りたいなって私思って。何曲か書いている男女歌い分けの曲の中でみんなが「いいんじゃない」って言ってくれたのがこれだったっていう感じで。
町屋:これは最初にライブをやったときからこういう歌い分けをしていて、ずっとライブでは培ってきたものなので、おもて面にMVでっていうところでは今まで出てこなかったんですけど、ずっとやってきたものではあったので特に違和感なくできましたけどね。
鈴華:私たちとしては新しくないけど、多分和楽器バンドをなんとなく知ってる人にはすごく新しく見えるかもっていうとこですよね。