John Lennon - Happy Xmas (War is Over)
And so this is christmas
I hope you have fun
The near and the dear one
The old and the young...
さあ、クリスマスだよ
みんな楽しむといい
近しい人も愛しい人も
老いも若きも…
「元ネタ」"Stewball"とジョン・レノンとのつながり
英国では1950年代、スキッフルという音楽が流行します。そこでは米国のフォークソングもよく歌われており、代表的歌手のLonnie Doneganはこの"Stewball"をレコーディングしています。そのロニー・ドネガンを人生最初のアイドルとして崇めていたのが、少年時代のジョン・レノン。といってもドネガン版の"Stewball"は現在知られているメロディと異なっており、"Happy Christmas"には全く似ていません。
現在の"Stewball"のメロディを確立したのは、1961年のJohn Herald and the Greenbriar Boysという米国のフォークグループだといわれています。その後1964年にPeter, Paul & Maryや Joan Baezなど、当時人気のフォークシンガー達が相次いでそのヴァージョンで歌ったことから、現在のメロディが主流のものとなりました。
新装"Stewball"は英国に再上陸、1966年には英国の人気バンドThe Hollesがこのヴァージョンをカバーしています。当時の米国のフォークシーンには英国のビートグループ達も高い関心を寄せており、ビートルズのメンバーだったジョン・レノンも例外でありませんでした。
そうした状況下であれば、ジョンが新装"Stewball"のメロディをどこかで聴いていた可能性は十分ありえます。真相はわかっていませんが、個人的には過失のパクリのような気がします。
競馬場に「帰ってきた」ハッピー・クリスマス
話は変わりますが、競馬ファンにとって12月のビッグイベントといえば、クリスマスよりも有馬記念。聞くところによれば、本馬場入場曲としてこのこの"Happy Christmas"がよく使用されているそうです。しかし同曲は副題に"War is over"(戦争は終わった)とあるように、クリスマスソングであると同時に反戦歌でもあります。歌詞でも"Let's stop all the fight"(すべての争いをやめよう)と訴えています。
争うのはお馬さん達といえど、この曲の使用はふさわしいのでしょうか。ところがさきほどの"Stewball”に話をつなげれば、そう場違いな歌でもありません。
そもそもStewballとは、18世紀の英国に実在した競走馬の名前。"Stewball”は競走馬を題材にした曲なのです。
英国のお馬さんの話は太平洋を渡り米国でメロディとなり、何度か両国を行き来すると、いつのまにかクリスマスソングとなりました。そしてそのメロディは日本という世界の果てまでたどり着くと、再びお馬さんを応援する歌となったのです。
パクリ疑惑が一気にロマンチックなエピソードとなりました。And so this is christmas~。
TEXT:quenjiro