有名作詞・作曲家のコラボソング
SMAPの2012年の曲『さかさまの空』。朝ドラ「梅ちゃん先生」の主題歌だった曲です。作曲は『花は咲く』でも有名な菅野よう子。作詞はSMAPの『Dear Woman』なども手がけている麻生哲朗。
さかさまの空
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「夢に目を凝らす人ほど 涙はこぼれる」
「夢を抱えてる人ほど かかとはすり減る」
≪さかさまの空 歌詞より抜粋≫
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という歌詞。この二箇所だけ「 」をつけています。夢や目的を持つ人ほど困難が大きいことを表した歌詞。であるがゆえにわざわざ「 」をつけ強調しています。この曲はそんな困難を認めつつ、「少しだけ」「顔あげてごらん」という励ましの歌。
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あの頃にほら 寝転がった時に見つけた
さかさまの(キラキラ光る)空があったよね
≪さかさまの空 歌詞より抜粋≫
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「さかさまの空」とは、上の歌詞にある通り、日常とは少し違った角度で見つけた幸せの象徴。いつもは頭上にある空が足もとに見えるような状況を指します。
この曲は「いつもと少し異なる視点」を重視します。
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街の音は 泣き声を消して(そっと)
夕焼けは 君をただ 静かに見つめてた
≪さかさまの空 歌詞より抜粋≫
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人間主体であれば、「泣き声が街の音に消され」「君は夕焼けを見つめていた」になるはず。しかし、この歌詞はあえて街の音や夕焼けに人格があるかのように表現しているのです。
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幸せが(照れくさそうに)君と目が合って 笑うから
幸せが(あの空のように)明日のどこかで 待っている
≪さかさまの空 歌詞より抜粋≫
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サビ終わりの幸せに関する箇所も同様。「幸せが笑う」「幸せが待っている」と表現することで、「いつもと少し異なる視点」を入れ込み、聴く者に「一歩ずつ」歩けるきっかけを作るのです。
『さかさまの空』のタイトルは、こういった「いつもと少し異なる視点」の象徴。
金環日食の生中継で歌う!
2012年5月21日、めざましテレビの企画「SMAP×めざましテレビ金環日食生体験スペシャル」で、この曲が歌われました。
その時、香取慎吾はこう言っています。
「さかさまの空っていう、空の歌を今歌ってるSMAP、持ってるな」
この発言どおり持ってるSMAPは各局の金環日食中継の同時間帯1位の視聴率を記録しました。
金環日食は太陽が月に隠れリング状に見える現象。夜に出るはずの月が昼間の太陽を隠す、まさに空がいつもと異なる、さかさまになったかのような状況。『さかさまの空』は、そんなさかさまの空の下で歌われたのでした。
SMAPは自然現象をも味方につけるんですね。
TEXT:改訂木魚 (じゃぶけん東京本部)