学校、勉強、主婦業などなど。やらなきゃならないことをやりたくなくてもやらなきゃいけない憂鬱さ。
月曜日だけに限った事だけじゃないかもしれないけど。やっぱり気楽に楽しんだ休日の後に来る平日って、心のエンジンがいつもよりかかり辛い。
“I Don’t Like Mondays.”通称アイドラは、そんな気持ちを代弁してくれているかの様なバンド名である。
実際、バンドメンバーも「月曜日は嫌い」と公言しているらしい。
こう、月曜日の憂鬱を書いているとなんだか鬱々としてくる気がするのだけれど。
”I Don’t Like Mondays.”「月曜日は嫌い」だからこそ月曜日の憂鬱を吹き飛ばし、ドキドキと喜びに満ちた心と笑顔で月曜日を迎えられる方法がある。
それは”I Don’t Like Mondays.”のTONIGHTという曲が教えてくれる。
I Don’t Like Mondays.の「TONIGHT」
なんだか楽しいけど切ない季節だ
貴方と見つめ合うと
オトナになれない
明日の仕事なんて忘れてしまうよ
昔、夏が来るたびに時間も気にせず夜遊びに夢中になれた頃があった。
夜明け前まで夏ならではの開放感と、ハイテンションで夜通し笑い転げた。
そして朝陽が昇るその瞬間、ハッと我に返る様にそれまでのテンションは穏やかに引き戻される。
そして、何か神聖な物を見る様に昇ってくる朝陽をぐっと息を飲んで見守った。
オトナになっても、夏期休暇はあるし。夏の夜には、なんだかワクワクしたりと「夏は楽しいもの」って心が覚えているものだと思う。
じゃあ『切ない季節』ってどういう事かなって考えてみるけど。
あれこれ考えようとする前に『なんだか楽しいけど切ない季節だ』というこのフレーズが当たり前に「夏の事だ」ってわかるくらいに、夏は切ない季節だ。
夏の切なさ。それは絶対的に夏が短すぎて惜しすぎるから。「終わってしまう寂しさ」でしかない。
もしも。そんな短い夏の楽しさ全開の中で、衝撃的に恋をしてしまったら。
もう何も手に付かないくらいに、恋に走ってしまいそうになる。
むしろ走りたい!でもいくらそう想っても、オトナには忘れてはならない明日がある。
夜から朝陽が昇るあの瞬間まで、時間も明日も気にせず。
好きな人と楽しい事に夢中になってはいられない切なさがこの一節には、ぎゅっと詰まっている。
詰まり過ぎていて、懐かしいあの頃の事が思い起こされてくる。まさに、なんだか楽しいけど切ない気分になる。
ドキドキ感を高める言葉と曲調
あたりが暗くなればIt’s time to go to the special place
ホントの貴方を今みつけに行くのさ
このアイドラのTONIGHTって、もうオトナだけど子供のように。「たった一人」に心が揺れ動かされる。
子供さながらの純粋な恋心をオトナだからこそ衝動的に楽しもうよ!って事をひたすら歌っている。
オトナになってそんな衝動的な恋をしてしまえば、男も女も関係なくみんながオトナぶるのは当たり前だと思う。
けどオトナだからって、すかしていたらアッ!!という間に夏は終わってしまう。
恋だって進まないまま終わってしまうかもしれない。
だからこそ、男からでも女からでも良い(女性としては男性からの方が嬉しいけれど!!)。
『ホントの貴方』を見つける為に自分が感じている本当の気持ちをオトナだからって、つまらない感情で抑え込まずに解き放って。
恋するその人の元へ駆けて行こうよ!と誘い出す。
オトナの夏の恋を子供の様に楽しもう!という、たった1つの勇気があればいい事と。
それでもやっぱり現実があるという葛藤。“I Don’t Like Mondays.”を愛するために。
私たちが出来るのは“FRYDAY LOVERS”になることだけ!
そんなオトナの恋をアイドラのTONIGHTから紐解くと、なかなか切ないながらもドキドキさせられるのはきっとこれも“I don’t Like Mondays.”のTONIGHTだから。
その理由は2つある。まず1つはこのTONIGHTを歌う“I Don’t Like Mondays.という言葉。「月曜日は嫌い」。
楽しかった後に否応無しにやってくる現実に対しての憂鬱。
でも、この憂鬱があるからこそ“I Don’t Like Mondays.”はこのTONIGHTを歌うのだと思う。
バンドコンセプトである「おしゃれな女の子を躍らせたい」って想いで。
歌うって言うより、まるで「誘い出す」感じは。
夏の夜にしかない特別なイベントとワクワク感を表現した『It’s time to go to the special place(それは特別な場所へ行く時間だよ!)』と重なって、想いがどうなるのか分からないスリルと期待感を引き出されてドキドキしてしまうのだ。
そしてもう1つは曲調。このアイドラのTONIGHTって、曲の始まりから「なんか懐かしい」気持ちにさせられる。
たぶんこの、懐かしいって気持ちはアイドラの作り出すメロディがROCK・EDM・FUNK・ディスコミュージック・80’sをミックスさせた音であるから。
この様々なジャンルや流行った時代を越えて、ミックスされた。アイドラの「音の中」に聴き手の「夏の思い出と同じ音」が存在すれば、必ず「なんか懐かしいな」って感じられるはず。
遠いあの夏がすごく近く感じられるくらいに、なんだか楽しいけど切なく思い出されると思う。
あの、夜通し遊んで好きな人と迎えた朝陽。その光景を息をのんで見つめた、あの時の空気感。
自分の心の中にずっとある、特別な夏の思い出が胸をキュッとさせながらも。
終わりと始まりの高揚感に思わずドキドキしてしまう。オトナが出逢った夏の恋は、現実を前に葛藤し躊躇する。
でも、お互いオトナだからその葛藤にも。その先にある躊躇にすら共感が出来るはず。
誘い出すその時に、差し出す手を見た相手のその躊躇の理由が何か。それは初めての恋をした子供じゃないから。
オトナの恋を勇気づけてくれる1曲
こんなに星が空に輝く夜なら流した涙なんかどこかに消えるよ
と、目を見つめて優しく囁きながら手を差し出せると思う。
そして手を差し出した時に、自分が持った勇気を今度は相手にプレゼントする事が出来るはず。
オトナが“I Don’t Like Mondays.”と口を揃えて言う気持ちは頷けるけれど。
そんなオトナと一緒になって憂鬱にならないように。オトナだからこそオトナの心を持ちながら。
明日なんて気にしないで夜通し好きな人と笑い転げたあの頃の気持ちに還って。月曜日が来る前の夜を思い切り楽しめば。
『貴方とならきっと迷わない』永遠の未来が待っているかもしれない。
そんな眩しい未来で「なんか懐かしい」気持ちに胸を焦がす音が。
アイドラのTONIGHTならちょっと素敵な気がする。今よりも、もう少しオトナになった大人の自分が。
隣に居る誰かと思い出を共有するのと同じ様に。楽しさと切なさの音が同じって幸せだと思うから。
そんな想いを今すぐには出来なくても、少し先の未来で抱ける様に。
「なんか懐かしい」と感じるサウンドで、オトナの恋を勇気づける“I Don’t Like Mondays.”のTONIGHT。
是非この夏のプレイリストに入れて楽しんでほしいと思うのだ。
TEXT:後藤 かなこ
月曜日の憂鬱を吹き飛ばすスタイリッシュ・ロックバンド。 SOUL、R&B、FUNKなどブラックミュージックを含む様々なテイストを取り入れた洗練されたスタイリッシュ・ロック。 キャッチーなメロディラインに英語を巧みに織り交ぜた歌詞と、それを最大限に生かすボーカル。 そこにスタイリッシ···