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【歌詞コラム】一瞬の想像力でドラマを描くodol『綺麗な人』

2014年に結成されたodol。日本語の情感をたっぷり含んだ、現代のアートロックともいえる奥行きのあるサウンドで支持を集める。2ndアルバム『YEARS』収録の『綺麗な人』は、一瞬の光景を音に封じ込める彼らのマジックが発揮されたナンバーだ。

2018年10月21日


この記事の目次
  1. ・独特の時間の流れかたをする歌詞
  2. ・現実の時間と一瞬の心の動きの対比
  3. ・想像力の魔法をかけるodol

独特の時間の流れかたをする歌詞


“踊る”と“躍る”に由来する名前をもった6人組 odol。今夏の『FUJI ROCK FESTIVAL ‘18』にも出演し、ナチュラルな風合いのサウンドと文学的ともいえる佇まいが話題になった。

ミゾベリョウ(Vo/Gt)が書く日本語の響きを生かした歌詞は、目の前で風景が過ぎていくような独特な時間の流れかたをする。

――――
どんな服を着よう
どんな言葉で話そう
きっと今じゃ 知らないことばかりだ
明日はいつもよりも早く起きて会いに行くよ
――――


ひさしぶりに会う相手への思いを綴った『years』。登場人物の内面を丹念に描くことで会えなかった時間や距離の遠さが表現されている。
主人公の眼を通して語られるのは主観的ともいえる一人称の光景。そこでは時間は現実の世界と違う流れかたをする。一瞬で過去から未来へ行き来し、ほんの数秒がスローモーションのように繰り返される。

そんなodolの個性が発揮されている曲が『綺麗な人』である。

現実の時間と一瞬の心の動きの対比



――――
夏が終わるより前に君と出会うことができても
日差しが透けてゆくより早く
海が見える場所まで なんてことも言えないし
このまま忘れられてゆくだけ
君を乗せて行けたのなら良いのに
それだけで良いのに
――――
主人公が考えていることはただひとつ。彼女をデートに連れ出すこと。手に入れたばかりの車の助手席に乗せて向かうのは海だ。けれども夏の終わりが近づいて焦燥感ばかりが募る。

内気な男子の気持ちをそのまま文字にしたような歌詞。現実には一瞬のできごとだが、主人公の脳内ムービーを見ているような錯覚に陥る。
一定のテンポで刻むリズムは意識とは無関係に進む現実の時間のようにも、心臓の鼓動のようにも聴こえる。巧みなアレンジによって主人公の置かれた状況が鮮明になる。


想像力の魔法をかけるodol

――――
夜が来たのにまだ蒸し暑く服を投げ捨てたのさ
伸びた髪の先がハネたって
君はいつも綺麗だ なんてことも言えないし
――――
声をかけられずにいるうちに、気づくとあたりは暗くなっている。本当に誘う気があるのかと疑わしくなるが何も考えていないわけじゃない。意を決して考えたのは「綺麗だ」というひとこと。

シャイな男子の本音が見え隠れする言葉。好意の押しつけとは違う微妙なニュアンスが単純なラブソングとの間に一線を引く。淡い憧れや高揚感がそこにはあって、忘れていた気持ちを呼び覚ます。

最後まで主人公の思いが綴られる『綺麗な人』。一歩間違えれば自己満足になってしまう可能性もある中で、脳裏に浮かんだ一瞬のドラマを音と言葉で生き生きと描き出している。
いまの一瞬から過去と現在を読み込むこと。そこから生まれる可能性。『綺麗な人』が教えてくれるのはそんな想像力の魔法なのだ。


TEXT:石河コウヘイ

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