メンバーそれぞれが語る、Sayuri/Arin/Risaの魅力
──まずは、3人の出会いから教えてください。
Arin:3人とも同じ事務所に所属しているんですけど。Roysを結成するためにと声質の違うわたし達3人が選ばれ、グループを組んだ形でした。そのときに初めて出会い、それから2年は経ちましたね。
──それぞれ、最初の頃と、どんな風に印象が変わったのか教えていただけますか???
Risa:Sayuriちゃんは、最初に歌を聴いたときに「なんて歌が上手いんだろう」と思ったくらい、本当に歌の上手な人。キャラクター的には、初めて会ったときは「すごいクールなお姉さんだなぁ」という印象だったんですけど。じつは、親しみやすく面倒みのいいお姉さんのように、最初に会った頃と今とではぜんぜん印象が違います。
わたし、けっこう人見知りだから、自分から行けないところを、その壁を壊してくれたのがArinちゃん。出会ってすぐに「Risaたーん」と親しみあるテンションで接してきたように、何時だって、何事に於いても積極的な人。Arinちゃんの歌声は艶っぽくて、個性的。オリジナリティがあるのは、もちろん。聞いてて、「えっ!?」と驚くような節まわしも特徴的です。
Arin:Sayuriちゃんと初めて会ったときは、壁が見えたというか、「あっ、話しかけちゃ駄目な人なんだ」という印象だったんですね。だけど、接していったらぜんぜん違ってて、とても親しみあふれる人。見た目はボーイッシュな感じですけど、一番繊細で女性らしい性格なんです。歌の面でも、他の人には出せないグルーヴ感や歌心を持っている方です。
Risaちゃんも、なかなか心開かないタイプですね。1年くらい経ってやっと普通に話すようになったくらい、2人とも心を開くまで時間がかかりました。
Sayuri:最初の1年間は、Risaと会話をすると、かならず返事が「です」「ます」だったもんね。
Arin:そう、ずっと敬語を使われてて。
Risa:1年くらい、ずっと敬語でした。
Arin:Risaちゃんは、声色がすごい素敵。真っ直ぐ出るロングトーンは、まるで天使の歌声みたい。それも彼女の才能だなぁって、歌を聞きながらいっつも思います。
Sayuri:Risaは、最初はおしとやかで、何処か遠慮がちな子だなぁと思ってたんですけど。だんだん慣れてくると、ちょっとお調子者な面が出てくるよね。だから、最初の印象とは間逆(笑)。歌は、本当に正確。ふわっと聴くと、綺麗な一本の声に聞こえるんですけど、意外と複雑なことをしてると言いますか。たとえば、高い歌声の中にもちょっとハスキーさを混ぜて歌うから、けっしてハイトーンの声がキンキンしないというか、とても耳に心地好く響くんです。それくらい、素敵な歌声を持っている人です。
Arinは、何時だってスーッと懐に入ってくる人。歌声に関しては、今でも驚きや発見を与えてくれます。「あっ、そんな声も出せるんだ」とか、「あっ、こういう表現の仕方をするんだ」という発見は、いまだにあること。嬉しい驚きなのが、彼女の得意な音域ってあるんですけど。とある楽曲では、その音域の歌声があまり生きなかったのに、違う曲になったとたん、その音域の声がすごく美しくなるように、楽曲によってどう歌声が反応を示すのかは、いまだにつかめない。それが、彼女と一緒にやってて一番面白いところなんですよね。
Arin:わたしの歌声がその曲にどう映えるのかは、自分でも歌ってみないことにはわからないですからね。
初めて会った日から「さゆりたーん」「りさたーん」ですからね(笑)
──3人の壁が壊れたきっかけも教えてください。
Sayuri:きっかけは、完全にArinだと思う。ホントに、壁をぶち壊してくる人なんで。それこそ初めて会った日から「さゆりたーん」「りさたーん」ですからね。もう、ドカーンみたいな(笑)。だけど、それが嫌味ないどころか、不思議なくらいスーッと懐へ入ってくるんです。
──人見知りなところへガッと入ってこられると、引きません??
Sayuri:それが、ぜんぜんならなかった。
Risa:ならなかったですね。
Sayuri:超不思議です。
Risa:そういうキャラクターなんだと思います(笑)。
──2年間の月日を一緒に過ごしたことで、お互いの関係性も深まれば、そこで得た信頼は楽曲にも反映していくものでしょうか???
Arin:お互いの歌声の癖や個性は覚えるよね。
Sayuri:曲のコーラス分けをするときも、誰がどこを歌うのかはすごく早く分けられるようになった。
Risa:それぞれの歌い方の特長もわかってきたからね。だからこそ、相手の歌い方にパッと合わせられるようにもなったし。そこはまさしく、月日を重ねたからこその成果だと思います。
予想を嬉しく裏切る新しい発見
──Roysは3人で作詞作曲をしています。それは、誰かがメインで作ってきて、そこへ他の2人が意見を重ねあう形なのでしょうか???。それとも、3人でディスカッションをしながら作りあげているのでしょうか???Arin:ディスカッションして作る曲もあれば、一人一人が楽曲を作ってくることもあるように、そこは様々です。たとえ個々に作った楽曲でも、メンバーそれぞれの得意分野ごとに、「これにコーラスを付けて欲しいんだけど」「ちょっとここをプラスして欲しい」みたいな感じでお互いを高めあいながら作っています。
Sayuri:3人とも、他の2人へ何かしらの意見はかならず求めますからね。
──3人とも作詞作曲が出来るのも強みですよね。作ってくる楽曲も三者三様ですか???
Sayuri:曲に関してはそうですね。
Arin:むしろ、それを楽しんでます。もちろん、メンバーそれぞれの個性や持ち味をわかっているからこそ、「こういう楽曲を歌って欲しくて作った」など、あらかじめこのメンバーで歌うからという完成形をイメージしながら作ることも多いです。そのうえで実際に合わせてみたら、予想を嬉しく裏切る新しい発見があったり。そこに面白さも感じています。
それに2人がいるから、自分の作った楽曲についても「これって、どう??」「表現が行き過ぎてない??」など、2人の意見を聞ける前提があるからこその冒険も出来れば、2人の感想や意見があることで安心もしていけるんです。
Risa:そうだね。嬉しいのが、3人とも「これいいね」という意識が重なることなんです。
Sayuri:だから、楽曲制作もスムーズにいくんだろうね。
3曲目は、3人で一緒にディスカッションしながら作った楽曲です
──3人でディスカッションをして作る場合は、お互いの共通点をどう重ね合わせてゆくかも考えていくのでしょうか???Risa:じつは、1stシングルへ収録した3曲目は、3人で一緒にディスカッションをしながら作った楽曲なんです。
Arin この曲では、あらかじめ3人で「アップテンポな楽曲を作ろう」と話しあい、そこから2時間ちょっとで作りあげました。
Sayuri:あのときの作業のテンポは、そうとう早かったね。
Risa:曲も歌詞もハーモニーも、同時進行で考えながら作ってました。
Sayuri:一人がハーモニーを考えていく横で、一人が歌詞を作っていたりなど、それぞれに役割を分担しながら、その場で生まれるたびに意見を交わし合っていたように、作りあげる速度はかなり早かったなと思います。とくにRoysの場合、「自分がこのパートを歌いたい」と自己主張するのではなく、「この曲なら、この人がここの音域を担当したほうが格好良くなるし、絶対に似合う」というように、それぞれが客観視しながら楽曲を作ってゆく。だから、余計まとまるのが早いのかもね。
Risa:そう、イメージがどんどん明確になっていくからね。
──3人とも、俯瞰で物事を見れてるのが強みですよね。
Sayuri:結局は、みんなが素敵になることを考えたほうが、結果的に自分自身の歌声も素敵になることへ繋がるように、そういう意識を持って何時も楽曲を作っています。
あの頃のことを思い出したくなくて(心に)鍵をかけていた
──1stシングルへ収録した『I’ll be there』と『Can’t you say』はそれぞれアニメのタイアップがついています。2曲とも、アニメ作品をイメージしたうえで作ったのでしょうか???
Risa:2曲とも、元々あった楽曲をテーマ曲にと選んでいただいた形でした。
──ぜひ、『I’ll be there』の魅力を聞かせてください。
Arin わたし達3人とも、Roysとして活動を始めてから作詞作曲を始めています。『I’ll be there』の作詞作曲を担当したのはわたしなんですけど、まだ作詞や作曲を始めて間もない時期に作ったのが、『I’ll be there』でした。
あの当時に意識していたのが、3人の歌声がナチュラルに聞こえることと、いかに気持ちよく歌えるか。それを意識しながら作ったのを覚えています。歌詞に関しては、冒頭「あの日までの日々をめくった ありがとうで締めくくられたページ」という歌いだしで始まるんですけど。その言葉がメロディに乗せて浮かんだことから、そこへ続く物語をということで歌詞の世界を広げながら作りました。
──最初のフレーズをきっかけに、どんどんイメージを広げた形なんですね。
Arin:そうなんですよ。序盤に「そうやって ごまかして 記憶にカギをかけて」と書いたように、あの頃のことを思い出したくなくて(心に)鍵をかけていたんですけど。その鍵を開けてしまったことで、いろんな想い出が蘇り、サビでその想いが大きく広がってしまいました。
──2人は、その説明を受けたうえで歌ったのでしょうか??
Sayuri:そこは、Arinが作り上げた楽曲を聞き、それぞれに解釈をして歌った形でした。Arinの書く曲って、けっこう抽象的なのに繊細なんですね。具体的な描写ではなく、映画のワンシーンやワンカットを繫ぎあわせたような世界観。なのに、とても共感しやすいといいますか、自分の中で物語を描きやすい歌ばかりなんです。それこそ、一つ一つのフレーズを通して、「あっ、わたしこのシーンのような風景を見たことがある」「わたしは、あのときこうだった」と、歌詞と自分の経験や体験を繫げやすいんですね。そこが魅力だなと思います。
Risa:ホント、その通り。わたし、Arinちゃんから受け取ったデモ音源を家で聴いたとき、すっごい涙が出てきて。メロディがすごく琴線に触れるというか、その印象がとても強かった歌なんです。今でも聴くたびにその世界観が自然と心へ映し出され、つい涙ぐんだり。『I’ll be there』って優しいんだけど、奥深くには強さもある。そんな楽曲だなぁという印象です。
──本人の手応えはどうですか??
Arin:他の楽曲の場合、「こういう風に作りたかった」というビジョンを元に作っていくんですけど。『I’ll be there』に関しては、流れに身を任せて作ったというか。「こういうメロディにしたい」ではなく、トラックへ気持ちを寄り添えていく中、自然と生まれました。この『I’ll be there』は、「こういう風にわたしは作るんだ」ではなく、「気づいたら歌が出来上がってた」という感じです。