【インタビュー】常識を超えた先の驚異的な空間に、僕らの新しい学校のリーダーたちがいた!!
彼女たちは「自分たちにしかない個性や自由ではみ出していく」。
場内は、身動きするのも大変なほど、人・人・であふれていた。それくらい、新しい学校のリーダーズに対する期待が膨らんでいる証拠。その期待に違わぬ内容のライブを…なんて、こんな軽い書き出しでは彼女たちに対して失礼だ。この日のライブの感想をあえてひと言で示すなら、「ぶっ飛んだ」という言葉が相応しい。それくらい、これまでに体験したことのない、とても衝撃的でアバンギャルドなステージングが舞台上では繰り広げられていた。
SUZUKAが右太股を右手で2回叩くたびに起きる、嬉しいドラマ。それが、音響と音声、映像とメンバーのセリフやパフォーマンスがシンクロし生み出されるドラマチックな演出の数々だ。新しい学校のリーダーズのコンセプトにも重なるように、彼女たちは終始「自分たちにしかない個性や自由ではみ出していく」メッセージを投げかけては、世の中に対しての小さなレジスタンス(抵抗)を試みてゆく。
何より、ダイナミックな動きの中に描き出す、形容し難い奇天烈で大道芸的なダンスパフォーマンスの数々には終始圧倒され続けていた。その動きにはすべて意味がある。自分の知識不足から、その意味を理解するまでには至らなかったが、それでも観る者を一発で惹きつける前衛的??なステージングには、唯一無二な存在感を覚えずにいられなかった。
ブレーキが壊れ、アクセル全開で暴走!!!!
学校を舞台に物語を描き出す新しい学校のリーダーズらしく、チャイムの音へ導かれ、メンバーが舞台に並ぶ形でライブは幕を開けた。冒頭を飾ったのは、『席替ガットゥーゾ』だ。パンキッシュでアバンギャルドでジャジーなロックナンバーの上、いきなりブレーキが壊れ、アクセル全開で暴走し出したメンバーたち。そのダイナミックな動きと雄々しく攻める歌声のインパクトへ一瞬にしてやられてしまった。グイグイと押しせまるステージングのインパクトは、かなり強烈だ。途中、歌に合わせメンバーがジャンケンポンを行う場面では、一緒にジャンケンを行う人たちの姿もあった。メガホンを片手に。時には、そのメガホンを頭に乗せながら、新しい学校のリーダーズは『SNS24時』をぶち噛ましてきた。エネルギッシュでパワフルなステージングは、天井知らずでヒートアップしてゆく。その迫力に押されつつも、負けじと熱狂を返す観客たち。場内の熱は、どんどん燃え盛っていた。
デジタルロック/EDMなスタイルを軸に据えた『宮尾』でも、彼女たちの前衛的な動きに、ずっと眼が釘付け状態だ。彼女たちは言う、「はみだせばいいじゃない」と。確かにそうだ。世の中の理解や常識を超えた表現を行うからこそ、そこには、僕らの理解さえ超越した斬新で新しい衝撃を与えるステージングが広がってゆく。彼女たちは異端な存在だ。でも、その異端が衝撃的であるほどに、それは、何時しか新しい先端になる。それを、新しい学校のリーダーズは予感させてゆく。
その甘い衝撃に病み付きになる??
「自分らしく、力強く個性を出してください」。アルバム『マエナラワナイ』の原点となったのが、ポップ/チャーミング/スウィート/カラフルなEDMナンバーの『マエナラワナイ』。人へ無理に同調するのではなく、つねに自分らしくあれ。その姿勢を持つことで、毎週月曜日に訪れる憂鬱を吹き飛ばす。その力の源を、『マエナラワナイ』を通し新しい学校のリーダーズは心へ注いでくれた。MIZYUのつぶやいた「加計学園ってなに?」の言葉に続いて流れたのが、「ワカラナイワカラナイ」と歌が始まる『ワカラナイ』。風刺の効いた絶妙な展開に、場内には笑いがあふれていた。艶かしくしもメロウ??。いやいや、スーッと浮遊しながら奈落へ落ちてゆくような不思議な感覚だ。求めるように見せて突き放す!?なんてストレンジな世界だ。その甘い衝撃に病み付きになる??。わからないわからない…。
教室にある机に座り歌うRINとKANON。その周りでSUZUKAとMIZYUが舞うようにパフォーマンスを行い出したのが、『zzz』。とてもノスタルジック感満載な楽曲だ。机と椅子を使ったパフォーマンスは数あれど、女子校生たちの教室の中での気だるい様を描き出した!?斬新な動きは、言葉では形容し難いインパクトを持っていた。終盤、寝てしまうRINとKANON。最後にはKANONが机の上で寝そべる姿まで登場。一つ一つの動きに、小さな革命さえ感じてしまうほどだ。
校内マラソン大会の中、一緒に走ろうと約束したのに置いてかれる人の悲劇を歌にしたのが、アバンギャルドなロックナンバーの『キミワイナ'17』。ライブでは、4人が走り出す姿からスタート。だんだんと親友との距離が開くだけではなく、自分の限界さえも迎え、ヒーヒーゼェゼェあえぐ様を、彼女たちはぶっ飛んだ演技!?交じりのパフォーマンスを通し、ドラマチックに描き出していた。恨み節を満載!?した、まるで大映ドラマ風な様が、たまらなく刺激的だ。
新しい学校のリーダーズには、情念系ナンバーがとても似合う。
ここで、H ZETT M率いるエレピ、ウッドベース、ドラムによる楽器隊、その名もH ZETTRIOが登場。演奏が炸裂したとたん、一気に昭和モダンでレトロな世界へタイムスリップ。届けたのが、SUZUKAが情念たっぷりに、昭和歌謡ムード満載で歌い上げた『毒花』だ。メラメラと感情の内側から沸き上がる熱。新しい学校のリーダーズには、この手の情念系ナンバーがとても似合う。続く『透明ガール』を、ここでは『透明ガール H ZETT M edit ver.』として、スケールあふれた情熱ドラマチック/バーストしたストレンジなポップソングへ大胆にアレンジ。MIZYUが朗々と歌いあげていった。
さらに、恋の裏切りを描いた『恋の遮断機 feat.H ZETTRIO』では、うらぶれたアングラムードを全開。なんて情念渦巻いた楽曲だ。むしろ新しい学校のリーダーズには、感情の内側を大胆どころか、盛大にさらけ出した昭和なレトロムービー感がとても似合う。
生演奏を従えたステージに続き、本編最後を飾った『最終人類』でも、彼女たちは身体中から沸き上がる衝動を歌とパフォーマンスへぶつけていた。人類の最終形態!?その表現に近い大胆な刺激を持ったステージングへ、満員の観客たちも圧倒されつつ、沸き立つ感情を舞台上へぶつけていた。
あなたがこれまで体験してこなかった嬉しい衝撃が、そこには広がるはずだ。
アンコール前に上映した、新しい学校のリーダーズ初の合唱曲『ピロティ』のMV。その映像に続き「ワン・フォー・オール オール・フォー・ワン」を合い言葉に、アンコールも『ピロティ』からスタート。「みんなで歌いましょう」と誘うメンバー。一緒に歌う人もいれば、4人の姿を見入る人もいたりと、そこは様々。でも、メンバーの動きに合わせ、身体を揺らせば、大きく手を振り上げたりと、そこには、気持ちを一つに溶け合う光景が描き出されていた。モダンでアンニュイでノスタルジックなその空気の中にいるだけで、気持ちがどんどん軟体化してゆく。でもそれが、とても心地好かった。続く『透明ガール ORIGINAL VER.』では、演奏に合わせ手拍子が飛び交うなど、エレクトロな楽曲に刺激を受け、気持ちを心地好くトリップさせてゆく人たちも多かった。
最後の『学校行けやあ゛』でも、アゲな!?エレクトロナンバーの上で、彼女たちがわちゃわちゃと弾け飛んでいた。もちろん、会場中の人たちも、一緒に楽しい喧騒の中ではしゃぎ続けていた。
正直、あのインパクトと衝撃満載な、唯一無二とも言える表現力を持った前衛歌謡パフォーマンスなステージングを言葉にするのは難しい。いや、それが出来ない自分にもどかしさを覚えている。ここに書いた文章は、あの日のインパクトの一割も満たしていない。とにかく新しい学校のリーダーズのライブを観て欲しい。きっと、あなたがこれまで体験してこなかった嬉しい衝撃が、そこには広がるはずだ。そして、また触れたくなるに違いない。
Text:長澤智典
Photo:Yuji Kaneko/junpei kawahata
【セットリスト】
1.席替ガットゥーゾ
2.SNS24時
3.宮尾
4.マエナラワナイ
5.ワカラナイ
6.zzz
7.キミワイナ'17
8.毒花
9.透明ガール(H ZETT M edit ver.)
10.恋の遮断機 feat.H ZETTRIO
11.最終人類
EN1.ピロティ
EN2.透明ガール ORIGINAL VER.
EN3.学校行けやあ ゙