危険な香りを放つ、大人なコラボ
SOIL&"PIMP"SESSIONS と椎名林檎名義で発表した2013年の楽曲『殺し屋危機一髪』。タイトルがまず良いですよね。
もともとこの2組は交流がありこれまでに何度もコラボしています。たとえば2009年の『MY FOOLISH HEART~crazy on earth~』。こちらもオシャレでカッコいい曲です。この二組の大人っぽい魅力にあふれた作品。
SOIL&"PIMP"SESSIONSって?
SOIL&"PIMP"SESSIONSは6人組ジャズバンド。SOILは砂、埃、大地をあらわしPIMPは伊達男の意味です。そんなトランペット、サックス、ピアノ、ベース、ドラムのSESSIONS。これに加えなんと言っても「アジテーター」の社長(芸名)がいるのがこのグループの特徴。まさに砂埃まみれの伊達男達の名にふさわしいグループです。
このMVでも社長は良い味を出しています。サングラスに帽子にヒゲというスタイルはそれだけでインパクト大。社長は楽器をやりません。MCとアジテート=扇動をする役割。
ライブを観たことがある人はこの扇動する役割がいかに重要か分かります。この曲のMVでは座っているだけですが、それだけでも存在感をはなつ男。
他のメンバーも楽器をやりつつ殺し屋に扮しています。メンバーが皆殺し屋っぽく見えるのがさすが。カッコいいですね。
●殺し屋危機一髪 / MV
殺し屋危機一髪
この曲の歌詞は椎名林檎が担当しています。殺し屋同士のストーリーがいくらでも想像できる作り。また殺し屋にたとえた男女の駆け引きの歌でもあります。
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女はいつだって間が無いわ
愛さないのならば殺すまで
男は不自由から脱するため
女の自由を食べるのね‥
≪殺し屋危機一髪 歌詞より抜粋≫
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この男女の違いを表現したフレーズ。女性は「間が無い」というのが良いですね。愛があるかないか。そして男性の場合は「不自由から脱する」のが目的。男女の恋愛観の違いを表現しています。
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やめてこんな駆け引き
賢しらな偽装は無意味
≪殺し屋危機一髪 歌詞より抜粋≫
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に対して、
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決め手欠いた取り引き
お返しに非情の免許証
≪殺し屋危機一髪 歌詞より抜粋≫
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と韻を踏んでいます。
『非情のライセンス』は野際陽子が歌ったアクションドラマ「キイハンター」のテーマ曲。この『非情のライセンス』の歌詞も
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あゝ きのう恋して燃えて
きょうは敵と味方の二人
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というフレーズがあります。男女の愛と死を歌っている曲としてさりげなくリスペクトしていることが分かります。曲調は違いますが目指している世界観は似ているんですね。
新しい、大人な世界の一曲
Death JAZZと称するsiolのメンバーのホーンの音が間奏を彩ります。椎名林檎と作り出す大人の世界。
日本の音楽はこういうものがもっと沢山あってもいいのではないかと思いますね。
TEXT:改訂木魚 (じゃぶけん東京本部)