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【インタビュー】不死鳥が見続ける醒めない夢…sleepyhead(武瑠 ex.SuG)今初めて語られる想い (2/2)



夢から醒めないは自分の中でテーマでもあるんです。



──『結局』はシンセが印象的で、メロディーが美しいですね。

武瑠:そうですね。『結局』はバンド時代にちょっとだけ作っていた曲です。「結局僕は僕でした」っていう言葉から作ったんですよ。最初にこの言葉とある程度のメロディーの破片があって、そこから広げていきました。


──嫌いだってはっきり言葉を曝け出している所が焼付きますね。

武瑠:一番何もやりたくないって思ったときに、自分との会話のためだけに作った曲なので。それこそ届けるとかは思わなかったです。『ALIVE』と『結局』が解散してから初めて書いた歌詞かもしれないです。『HOPELESS』、『ALIVE』、『結局』、『闇雲』あたりが、もう一回やろうって決心していく流れのときに書いていた曲ですね。他の曲は関係ないときに書いていたり、復活するよってなってから書いていたりとか。


──言われてみれば、解散してから書かれた歌詞と、復活すると決めてから書かれた歌詞とでは書き方や想いが違いますね。

武瑠:そうかもしれないです。『闇雲』と『結局』が連動している感じがありますね。結局ただ、闇雲に進むだけを決めたっていう。あとは、もう書けないと思っていたので。去年一番の後遺症みたいなものが、寝る前と朝起きるときに、上手くいかない事がずっと続いていて。人に怒りたくないから全部自分のせいだって自己洗脳のようにしていたんです。それじゃないと耐えられなかった。毎日ミスとかトラブルもあって呪われているんじゃないかって思うぐらい。人のせいにするのは簡単だけど、結局どんな事があっても自分が導いた結果だと思うので。

とにかく自分のせいにばっかしていたら、自分に1ミリも魅力を感じなくなってきちゃって、もう何も産めないなって思ったから音楽を辞めようと思っていた。でもその中で色んなジャンルの先輩とかが「絶対辞めない方がいい。」って言ってくれて。けど、それも半信半疑で聞いている自分もいて。「もう終わった人間なんで…」って思いながらも、自分と対話しながら作ったこの曲があって、良いか悪いかもわからなかったから、アレンジャーとかに聴かせて。そしたら「良い曲だと思う」って言ってくれたり。「過去の曲の方が思い出が詰まっているから、前の方が良いっていう人もいるとは思うけど、客観視して聴いたら前より超えている曲があるよ」って言われて。周りのおかげで自分を信じれたというか、周りを信じれただけですね。半信半疑だけど結局歩み出せたというか、その迷いも入っている歌詞だったりします。


──では『結局』の中からお気に入りの歌詞を教えてください。

武瑠:「夢みた故の後遺症」とかですね。ここはまさに半年ぐらい味わっていた事で。みんな思うだろうけど、なんかやりたいって思っちゃったからこんなに後遺症が残っている程、悲しかったり、切ないんだろうってなるので。頑張っていたからこそ残った後遺症だと感じるから「夢みた故の後遺症」が好きなのと、それを言っているのに、一つ覚えに夢見ちゃうっていう終わりの繋がりが、結局のテーマかなって気がします。


──武瑠さんは、「醒めない夢」とか「醒めぬ夢」などの表現を使われる事が多くありますよね。結局でも、「醒めない夢の続き」と言っていますし。

武瑠:そうですね。夢から醒めないは自分の中でテーマでもあるんです。sweet dreamsっていう言葉も好きだし、夢みたいなのが好みなんですよね。言い換えれば「sleepyhead」です。実は、「sleepyhead」って寝ぼけている頭っていう意味があるんですよ。夢から醒めきれない意味で、作ったので。根本として好きな言葉なんだと思います。

もつ鍋を食べているときに思いついたんですよ(笑)



──『灰汁まで愛して』は、キュンとするようなフレーズが詰め込まれていますが、どういう意味を込めて描かれたのでしょうか?

武瑠:『灰汁まで愛して』は、あほみたいな始まり方なんですけど、もつ鍋を食べているときに思いついたんですよ(笑)なんとなく、もつ鍋を見てて灰汁をとっていたら、もつからしたらその灰汁を捨てられるのって悲しいのかな?って思って書いて(笑)大塚愛さんの曲で、『黒毛和牛上塩タン焼680円』っていう曲があると思うんですけど、あの曲って焼肉を擬人化して、焼肉の気持ちを歌った歌じゃないですか?小説とかでもそういう人間じゃないものを擬人化する事ってあると思うんですけど、それをいつかやってみたいなって思っていて。最初完全に擬人化目線で書こうって考えていたんですけど、それだとなんかつまんないなって感じたので、良くないものを捨てちゃうみたいな部分を変換して書けたらいいなって思って。それで人間の灰汁ってなんだろうなって考えたときに、弱点とかコンプレックスだと思ったので、そういう所までちゃんと愛してっていう風に書いてみようかなって。これもサビの頭がずっと「灰汁まで愛してよ」なんですけど、後半では「飽くまで愛してよ」、「悪魔で愛してよ」っていう風になっていくんです。これは歌詞カードをみないとわからない部分だし、歌詞だからできる遊びだなって思います。


──「先天性 君 症候群的疾患」という歌詞はかなりインパクトありますね(笑)

武瑠:これは、オタクの人が言っている印象があったんですよ。『おそ松さん』とかが好きな子とか言っているようなイメージで書いて。(笑)あんまり自分だとこういう事を書かないんですよね。よく女性のファンとかって悪い所も可愛いって言っているようなイメージが強くて。完璧というよりもその人の抜けがあるから好きって言っているし、好きって言っているあたし、みたいな所を感じる事が多かったので。そういう絶対的な感覚を書きたかったんです。ある意味、『無条件幸福論』みたいな。


──すごく女性が好きそうな歌詞だと思いました。

武瑠:そうですね。あと、こんなにシンプルにコードとかをいじらずにコーラスワークだけで魅せる曲はなかったんですよ。この曲はアレンジャーがWHITE JAMのSHIROSE君なんですけど、SHIROSE君っぽい感じになっていると思います。あと、ハモリもSHIROSE君が歌ってくれています。自分じゃない声でコーラスをしてもらうと、声に厚みが出るので良いなと思いましたね。このアルバムは6人のアレンジャーに振ってるんですよ。サウンドプロデューサーがいなくて。だからちゃんとキープするのが大変でした。なぜなら各アレンジャーは他の曲を知らないので、自分がバランスとらないとめちゃくちゃになっちゃう。そういう意味では作り方が結構難しかったですね。


──『灰汁まで愛して』の中からお気に入りのフレーズを教えてください。

武瑠:「灰汁まで愛して」の3段階の活用が好きなのと、ワンフレーズで言うと「先天性 君 症候群的疾患」はなんか痛い言葉でいいなって思います。(笑)ダサい感じもするし、パワーワードではありますよね。


──『灰汁まで愛して』の歌詞を書くときは、男、女どちらの心情になって書かれるのですか?

武瑠:女子目線で書いてますけど、女性の心情になって書いている訳でもないですね。自然に出てくる感じです。Aメロは逆に男の子っぽいし。でも他は女の子になっているからいったりきたりしている歌詞です。


──灰汁って読めない方も多そうですね(笑)

武瑠:そんなに読めないかな?って思ったんですけどね (笑)周りは、はいじるって読んでたみたいです。若い子は読めなさそう…。


──最後に、『DRIPPING』がどんな一枚に仕上がったかと、UtaTenの読者にメッセージをお願いします。

武瑠:人間は過去の積み重ねだなって思うんですけど、変に隠したくもないし、引きずりたくもないし、縋りたくもない10年があって。だからこそ産まれた曲が沢山あるなと思ったので、結局人生が繋がっているアルバムに仕上がったと思います。『退行的進化』とかは奇をてらっていると思われるかもしれないけど、これも自然に出てきた言葉なんです。自分の事を客観視できないからこそ、このアルバムを聴いて自分で自分の人生を知るアルバムになったと思います。これを出してから、次に出すものはもっとメッセージ性があったり、こう見せようって思うものが出てくると思うので。まずこれは自分で自分を知るものだった気がします。日記のような感じです。こんなに色んな角度で書いてあるアルバムが、あまりないし、世の中にもないと思うので、一つの事でもこんなに派生したものがあるんだよっていう事が、歌詞を見て読み取ってもらえると面白いかと思います。

TEXT:橋本美波
PHOTO:片山拓

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武瑠 akubi Inc.代表取締役社長。 3D音楽プロジェクトsleepyhead。million dollar orchestra主宰。 10年間ボーカリスト、クリエイティブディレクターを兼任したバンドSuGで、武道館を経験。 自身のバンドだけに限らず、様々なアーティストへの曲提供やクリエイティブを担当。 ストー···

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