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【ライブレポート】9mm Parabellum Bullet「カオスの百年 vol.12」2年ぶりの日比谷野音は熱狂の祝祭に!

4人組ロックバンド9mm Parabellum Bullet(キューミリ・パラベラム・バレット)による自主企画『カオスの百年 vol.12』が2018年5月27日に日比谷野外音楽堂で開催された。リハビリ中のギター滝 善充もこの日はステージ復帰して今後のバンドの新機軸を示した同ライブの模様をレポートする。

2年ぶりの日比谷野外大音楽堂

2004年に結成され、突出した演奏力とライブパフォーマンスで日本のロックシーンに風穴を開けた9mm Parabellum Bullet(キューミリ・パラベラム・バレット)。2018年5月27日、自主企画『カオスの百年 vol.12』の開催にあたって彼らが会場として選んだのは日比谷野外大音楽堂(野音)。

2016年11月以降ライブ活動を休養業中のギター・滝 善充にとって休養業のきっかけとなったのが2016年6月の野音ライブ(ライブ中に左手が動かなくなり、ステージを一時離脱、その後ステージに戻るもいつも通りのパフォーマンスはできなかった)。しかし、この日は事前告知で滝の出演も発表されており、満を持して4人でステージに上がる。その舞台は自主企画『カオスの百年』、会場は野音ということでリベンジの条件は完璧に整っている。

3人のAC 9mm


この日は対バンとして発表されていたのは『AC 9mm(エーシー・キューミリ)』。
最初にステージに現れたのはかみじょうちひろ(Dr)。おもむろにドラムをたたきはじめると中村和彦(Ba)も加わって最後に菅原卓郎(Vo・Gt)が登場。アコースティックギターをかき鳴らして歌いはじめた1曲目は『Answer And Answer』。滝が不在の間サポートギターを加えるなど試行錯誤を重ねる中で生まれた菅原/中村/かみじょうによるアコースティックプロジェクトが『AC 9mm』。『Heart-Shaped Gear』に続いて菅原のMC。「今日は9mm Parabellum Bulletに胸を借りてライブします」と言って1stアルバム『Termination』から『Psychopolis』、『Battle March』を演奏。夕映えの野音にアコギの音色が風に乗って響く。

「今日までの悪いことはすべて過ぎ去ったから」

アコースティックアレンジによるAC 9mmの演奏では、もともとあったメロディーの良さや轟音に隠れていた曲の骨格がむき出しになる。その結果9mm Parabellum Bulletとはまた違った魅力が感じられる。とはいえそこはやはり“9mm”。間奏ではベースにエフェクトをかけてカオスな音像を生み出したり、歪みをかけたギターソロを弾くなど随所に“らしさ”が垣間見える。
4thアルバム『Movement』収録の『荒地』、『星に願いを』では激しさの中に同居する静けさに引き込まれ、レゲエアレンジの『ハートに火をつけて』では会場から手拍子が起きる。「今日までの悪いことはすべて過ぎ去ったから。みんなと9mmの力で良い夜にしましょう!」と菅原が語り、最後に決意を伝えるように『太陽が欲しいだけ』を演奏。



紆余曲折を経て迎えた2018年の野音。バンドのベストとも言える選曲を聴かせたAC 9mmによって本編への期待が否応なしに高まる。

ファンの歓喜が爆発


耳をつんざくシャウトと轟音。メンバーの姿がステージに見えた瞬間、会場は総立ちになる。2018年5月27日。この日を待っていたファンの歓喜が爆発する。ギターの滝 善充が手を振りあげる。
「9mm Parabellum Bulletです。こんばんは!」名刺代わりの1曲目は焦がれるような生への衝動を歌う『The World』。お立ち台に立ってギターをかきむしる滝。ステージに立てることの喜びがダイレクトに伝わってくる。
かみじょうのツインドラムから繰り出される凶暴なビートが特徴的な『Mr. Suicide』。間奏では菅原と滝、サポートのfolca為川裕也(Gt)によるトリプルギターが炸裂する。スラッシュメタル、スクリーモ、歌謡曲などあらゆるジャンルを飲み込んだ9mmのアンサンブルは滝の帰還によってさらに強度が上がっている。ノンストップで進攻する『Lost!!』。調子をたしかめるようにアンプを調整しながらコーラスで声を張り上げる滝。キャッチーなギターのフレーズからはじまる『Supernova』では体ごと投げ出すようにギターをかき鳴らすパフォーマンスを見せる。

最新AL『BABEL』からの曲を演奏


夕暮れの野外ステージで客席に向かって語りかける菅原。「リベンジを軽く超えてもっと良い日にしたい」、「新しい伝説をつくるか!」菅原の一言から『Story of Glory』、『I.C.R.A.』と最新アルバム『BABEL』の曲を演奏する。



腰よりも低い位置にセットしたマイクに向かい絶叫する中村。初期からの定番曲『Vampiregirl』で会場のテンションは最高潮に達する。

新曲『キャリーオン』

ここでサポートギタリストが為川からHEREの武田将幸に交代し、SNSでも告知していた新曲『キャリーオン』を披露。
“止まるな いつか鼓動が 過去も未来も 追い越すまで”と歌う新曲は超高速シャッフルビートに乗せて轟音トリプルギターが襲いかかる9㎜の真骨頂といえる1曲だ。映画『ニート・ニート・ニート』の主題歌にもなっている『キャリーオン』は5月27日から無料ダウンロードが開始されている。
続けざまに『Everyone is fighting on this stage of lonely』、『生命のワルツ』をあらん限りの力で演奏。
いつの間にか夕闇に包まれた野音。頬をなでる風が涼しい。
ここでMC。「もうダメかなと思ったときに、いつも最後はいろんなところでライブしたみんなの顔が浮かんでくる」と話す菅原。「これからもオレたちにエネルギーを飛ばしてください。」
紆余曲折を経た2年間がメンバーにとっても決して平坦な道のりではなかったことをうかがわせる言葉。支え続けたファンと9mmの絆を確認するような一幕だった。

滝復活祭のような野音


ここからライブは終盤戦。すでにテンションが上がりまくっている会場は滝復活祭のような様相を呈している。
4つ打ちの踊れるリズムとキメのギターがクセになる『Scenes』。負担が減ったことでより効果的なフレーズを紡ぎだす滝。サポートの武田とのコンビネーションが野音の空気を縦横無尽に切り裂く。
客席とステージのエネルギーがひとつになって膨れ上がった『Termination』。滝の激しいステージアクションに歓声が上がる。滝が復帰して誰よりもうれしいのはメンバー3人だろう。中村のベースがうねり、かみじょうが叩きまくる。
ミラーボールが照らす場内でマラカスを振ってあおる菅原と滝。「1、2、3、4!」のカウントから『Talking Machine』。サビでは会場がいっせいにジャンプ!ダンスフロアと化した野音が揺れる。

「新しい光の中へ行こう!」

「最後の曲です!新しい光の中へ行こう!」通常の何割増しかにスピードアップした『新しい光』。機関銃掃射のような滝のダウンピッキングがすさまじい。思いのたけを込めて会場もこの日いちばんのコーラスで応える。
「ありがとう、みんな!」メンバーが去ったあともステージに残った菅原は満面の笑みで万歳を繰り返した。
アンコールではサポートの2人を加えた6人体制で『Black Market Blues』、『Punishment』を披露。滝、為川、武田が並んで決めポーズを見せると歓声が上がる。メンバーコールで滝の名前が呼ばれると大きな拍手が起きた。
ただでさえ規格外の出力を誇る9mm Parabellum Bulletというバンドは、滝という屋台骨のステージ復帰によって何倍にも威力が増していた。
「また会いましょう!」ライブ中、何度も「日比谷!」と叫んだ菅原。“地によって倒れたものは地によって立つ”という言葉どおりの完璧なリベンジを果たし、またひとつ伝説をつくった。新たな一歩を踏み出したこの日、9mm Parabellum Bulletがファンとともにつかもうとする光がそこにはあった。
2018年は『カオスの百年』ツアーや菅原のソロ作発売、菅原・滝によるキツネツキのリリースも予定されている。滝のステージ復帰はそれらすべてを後押しするはず。その先に進化した9mm Parabellum Bulletを見ることができる日は遠くない。

TEXT:石河コウヘイ
PHOTO:西槇太一

2004年3月横浜にて結成。 2枚のミニアルバムをインディーズレーベルからリリースした後、2007年Debut Disc『Discommunication e.p.』でメジャーデビュー。 パンク・メタル・エモ・ハードコア・J-POPなどあらゆるジャンルを呑み込んだ独特な音楽性と、爆発的なライブパフォーマンスで 日本ロック···

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