『Out Of Bounds』はやりたい事を詰め込んだ
──2ndアルバムの『Out Of Bounds』には、どんな想いを込めて制作されたのでしょうか?吉田理幹:メジャーデビューから2年経って色んな音楽をやってきたんですが、その中で「The Super Ballってなんだろう?」と考えたりしました。
自分と陽吾さんは聴いてきた音楽ジャンルが違うし好きなアーティストも違うっていう部分で、今二人がやりたくて、カッコよくて、好きだと思えるものを詰め込んだら良いじゃないかと思ったんです。
まとめる訳ではなく、やりたい事を俺らがなんでもやることで、スパボ(The Super Ball)っぽくなるから「やりたい事を詰めこむ!」というコンセプトで、色んな曲をやりました。
──収録曲順もジェットコースターのように、上がったり下がったりする感じですよね!この曲順はどういう部分に重点を置いて決められたのですか?
吉田理幹:考えるポイントがいくつもあって。キーで決めるのか、歌詞の世界観で決めるのか、とか。ギターのカッティングのイントロから始まったから、次はピアノのイントロから始めようなど、そういうのを全部踏まえて考えました。
1番の『フタリボシ』は自分たちの事を歌っていて。僕等はまだ目指す星には届いていないけれど、それでも諦めずに「この丘を登るんだ!」っていう決意を込めた一曲から入りたいという想いで、一曲目に選びました。
二曲目の『ヒカリライダー』も決意の曲なのですが、“飛べたらいいな”じゃなくて、“飛ぶためには何が出来るか?”という想いを込めているんです。このアルバムで「殻を破って、境界線を越えたい!」という気持ちから『Out Of Bounds』というタイトルになっていて、「殻を破ってもっと先にいきたい!」という想いを含んだ曲順です。
──前作で、今までの甘カワなイメージとは違ったお二人の一面を見せていましたが、音楽性という部分に関してもまた新たな一面が見られるアルバムになっていますよね!
佐々木陽吾:そうなんですよ!
──1枚出来上がってみた感触はいかがですか?
佐々木陽吾:自分たちでもずっと聴いていられる作品です。大好きだし、良いのが作れたなとも思います。
1stAlbumでアニメのタイアップ曲も入っていたり、デビューして間もなくて右も左もわからない状態だったので、甘カワっぽい一面を前面に出している所もありました。その時はそれが正解だと思っていましたが、自分たちは楽器も弾けるし作曲も作詞も出来るし、ハーモニーにも自信がある。
そんな自分たちだからこそ凄く強い作品が出来たと思っているので、これを広めないと日本の皆さんが可哀想です(笑)
──もう、自信満々ですね!!(笑)
佐々木陽吾:そうです!こんなに良いアルバムだから、日本に存在する全てのiTunesのアカウントに入っていても良いぐらいの作品だと思っています。(笑)
──ジャンルの様々な音楽が13曲も収録されていますしね!
佐々木陽吾:その中に必ず好きな曲はあると思います!なんなら4、5曲はあるんじゃないかっていうぐらいです。絶対ファンクしか聴かないとか、洋楽しか聴かないとか言う方には難しいかもしれないですけど(笑)そうじゃなければ、好きになってもらえると思います。
甘カワから卒業!『FUSEKI』で見せるガツガツした男
──1stAlbumから1年が経ちましたが、自分たちの中でも成長した部分や音楽に対する考え方などは変わってきましたか?吉田理幹:音楽的に成長したなと思っています。「ここのエレキはもっとカッコいい方がいい」とか、「ここのシンセはいらない」とか、思った事を主張するようになりました。
1枚目のアルバムのときは、今回のようにあまり発言をすることはなかったんですが、そこから色々な楽曲に触れて、自分たちも沢山音楽を作っていく事によって、サウンド面はやりたい事ができるようになりました。1枚目では、「俺」っていう言葉を使わずに甘カワっていうキャッチコピーがついていたから、「君」と「僕」で統一していたりもしていました。
『FUSEKI』という曲では、「Oh どんな顔で何言えば Oh 君の寝顔にありつけるだろう」とか「君を手に入れる今夜こそ」っていうガツガツした男の部分があるんですけど、今まではそういうのを書いていなかったので。
──本当に!ガツガツしていますね(笑)
吉田理幹:ガツガツしています。そういう縛りなしに、色んなものを表現したいなという部分が凄く変わったなと感じています。
佐々木陽吾:抱く気満々ですよね(笑)
全員:(笑)
吉田理幹:“抱きたい”っていう歌ですからねっ!(笑)
──この『FUSEKI』は、音がとてもカッコいいと思いました!ちなみに『FUSEKI』ってどういう意味なんですか?
吉田理幹:カッコいいですよね。今日、君を抱くために今までしてきた恋愛だったりは、今日への布石なんだという事を示していて。
佐々木陽吾:何か目的を達成するために、小さい事を犠牲にするみたいな響きですね。
吉田理幹:それをローマ字にして、『FUSEKI』にしています。
──なんでローマ字にしたんですか?
吉田理幹:これは完璧、見栄えですね(笑)
佐々木陽吾:かっけーからです!(笑)
──この曲はある意味めちゃめちゃ大きな愛を歌われている曲ですね。最終的にこの子が欲しいから、他の子を布石にしてでも…って思っているという。
吉田理幹:そうなんですよ!
佐々木陽吾:今までの行為が小さく思ってしまう程に、最強の女性に会っちゃって「まじで、手に入れたい」ってなるという。
吉田理幹:でもただのチャラ男じゃないんですよ。
──「揺れるキャンドルが照らした瞳には」と言っていますから、結構キザですね(笑)目の前にその意中の女子がいたらきっと落とせるだろうなって思います(笑)
吉田理幹:(笑)
佐々木陽吾:なんとなくこいつ、成功しそうですよね。
──そして最後に「あの恋もどんな愛も今日への布石」になりますから、今までの女の子たち言われ放題じゃん!って元カノ達の心情にも共感しちゃいます(笑)
全員:(笑)
佐々木陽吾:まあそれはしょうがないですね(笑)
──布石になった元カノだったり女の子たちの視点からの曲も聴いてみたくなります、恨みに近いような感情とか!(笑)
佐々木陽吾:それも書いてみたいです!恨みの感情を綺麗に書けたら面白そうだと思います。
スパボ至上、一番の純愛の曲『ラブソング』
──リード曲の『ラブソング』はいかがですか?
佐々木陽吾:これは曲が出来上がったときに、「リード曲でいこう!」って決めました。「繋ぎたいよ」っていうこの6文字からこの曲ができたんです。
基本的には純愛の曲なんですけど、色んなタイプの「繋ぎたいよ」があるなって思っていて。僕たちからしたら今応援してくださっているファンの皆さんや、まだ出会ったことのないファンの皆さんと繋ぎたいし。周りで頑張ってくれるスタッフさん達とも頑張っていきたいと思っているので、そういう愛もこもっています。
──「繋ぎたいよ」の部分をさらって聴くと、君と手を繋ぎたいよって思えますがそれだけではない意味もあるんですね。
佐々木陽吾:はい。このMVは、実際の結婚式にカメラが入っていて、色んな方の表情を撮っていったんです。結婚式のテーマソングになってくれたら嬉しいですね。
──実際の結婚式に潜入したんですか!?
佐々木陽吾:そうなんです。ちょうど、プロデューサーさんの知人がご結婚されたので、撮影をさせていただきました。僕たちは、スタジオで録ったんです。スパボ至上、一番の純愛の曲を書けたらという思いから理幹がタイトルを考えてて。
吉田理幹:最高な愛の曲が出来たときに『ラブソング』っていうタイトルを付けたいって思っていたんです。今のタイミングで、こいつをきっかけに一人でも多くの人に知ってもらえたらいいなという想いを込めた、強いラブソングです。
──2年経って『ラブソング』がやっとでますね。
吉田理幹:結成して5年が経って、6年目に突入するんですがやっとです。
──歌詞はまるで、七夕の願い事を書く子供みたいに感じました(笑)
全員:(笑)
──『ラブソング』の歌詞は、どのように書かれていったのでしょうか?
佐々木陽吾:編曲の宮崎さんと作業をしているときに、メロディーと共に「繋ぎたいよ」という歌詞が思いつきました。それで何を繋ごうかという話になり、作詞家の谷口さんのアドバイスを受けながら作っていきました。
吉田理幹:本当の愛の歌にするのか、今のSNSの時代における人間関係の心と心を繋げるような意味を込めて「繋げたいよ」にするのか。最終的に愛の歌で行こうという風になり、こういう歌詞を書いていきました。
『消せないルール』と『キミ by me』は昔からあったナンバー
──このアルバムの中に、前から出来ていた曲はあるんですか?佐々木陽吾:『消せないルール』と『キミ by me』は昔からありました。ちなみに『キミ by me』は、俺が東京に上京して初めて書いた曲なので。
──では、結成する前?
佐々木陽吾:結成する前ですね。
──これまでこの2曲はライブでも披露されていたり?
佐々木陽吾:かなりしてきました。
吉田理幹:ファンに愛されて、愛されて一緒に育ってきた楽曲の二つです。
──なるほど『消せないルール』のレコーディングは最近ですか?
吉田理幹:最近ですね。
──『消せないルール』のBメロの声は男らしいですね。
佐々木陽吾:そうですよね~。ありがとうございます。(男らしい声で)
全員:(笑)
佐々木陽吾:ここ、めっちゃ低いです。ライブでも歌うのが結構大変で。低い声だけど言葉がいっぱいあるので、ちゃんと歌詞をしっかり言わないと難しいんです。
──歌詞はどこか若さを感じますが、レコーディングをされる際も歌詞は変えないでいかれたんですか?
吉田理幹:そうです。若さがありますよね。
佐々木陽吾:「お店の人にも優しくすること」っていう歌詞たまんなくないですか?
──ここは、こういう男性に心当たりのある女性はきっと笑っちゃいますね(笑)
佐々木陽吾:歌詞に出てくるこの二人は、そういうルールを作っていたんですよ。
吉田理幹:今のスパボだったらこうは言わないと思うんですけど、この当時のピュアな心だったり、綺麗ごとに近い事を堂々と言える大人ってカッコいいなって思っているので、このままいつまでも堂々と歌い続けたいなって気持ちがあります。
佐々木陽吾:ちなみに『消せないルール』は生バイオリンを録らせて頂きました。凄く良いアレンジになったと思います。
──これまでのライブではピアノとギターでやられていたんですか?
佐々木陽吾:そうなんですよ。なので、アレンジが気になる方も多いと思います。
某メジャーレーベルのオーディションで出会った二人は2013年に結成し、都内のライブハウスや路上ライブを中心に活動。2015年7月にミニアルバム『The Super Ball』をリリース。流通にはのせず、手売りのみで約3000枚を完売させた。同年12月にはshibuya duo MUSIC EXCHANGEで ワンマンライブを行い、···