10年で一番のヒット作『Traveling Without Moving』
――3曲目の『Traveling Without Moving』はアダルティーさとドラマティックな要素がありますね。谷川正憲:今初めていいますけど、10年で一番のヒット作なんじゃないかと思います(笑)
佐藤将文:わいも自分の楽曲がカッコいいと思っていますし!これは茶目っ気のある大人な男、アダルトなそういう感じを出しています。UNCHAINとしては、そういうのをやってきてはいるんですが、個人的には書いた事がなかったんです。なので、UNCHAINで書けたらいいなと想い、トラックから作ってメロディーに乗せてそこに谷川が歌詞をのせてくれました。
谷川正憲:歌詞は普段の僕なんですよ。
――谷川さんの事が書かれているんですか!?
谷川正憲:僕の怠惰をカッコつけて書いた歌詞で。意味を見て見るとすげーダメなヤツなんですよ。でもダメっぽくない感じに書きました(笑)
佐藤将文:いや、結構ダメなヤツだけどね(笑)
谷川正憲:曲と合わせて聴くと、大人っぽいというか、“そんなにダメなヤツなの?”って思える歌詞になっていると思います。まだ、“俺本気出してないだけ…”っていう感じ(笑)例えば、宿題は夏休みの最後の日まで残すみたいなものを書いてみました。
――この歌詞の中には、恋人のような相手も出てきますね。
谷川正憲:恋人がいますね。はっきり言っちゃえば、ヒモになっている感じですね。
佐藤将文:それ、自分の事なんでしょ?(笑)
谷川正憲:(笑)まあ、間違ってはないですね。
スリルと冷静さがある『butterfly effect』
――佐藤さんが作詞を担当された『butterfly effect』は、壮大な情景が広がるようなナンバーですね。歌詞も何かに立ち向かうような姿勢が見えました。佐藤将文:そうですね。自分が書く歌詞は基本的に、前を向いているものが多いです。『butterfly effect』っていう映画もあるんですが、学術的に蝶が羽ばたいた風が地球の裏側で竜巻を起こすみたいな意味があるんです。自分がやった事が、誰かの人生に強く影響していく、そんな羽ばたきと成長が大きくなっていくという感じで書きました。谷川が作ってきてくれたピアノのフレーズがあるんですけど、それが蝶の羽ばたきをイメージしています。そこから膨らんできた歌詞です。
――メロディーを聴いたときに、サスペンスっぽいなと思いました(笑)
全員:(笑)
佐藤将文:スリルと冷静さなんだけど、物凄く爆発しそうな世界観をドキドキしながらやっていきました。なので、言葉とかも強くわかりやすいようにしていました。
――「僕は君に狂い咲くの」というフレーズがありますが、これはどういう意味がありますか?
佐藤将文:歌詞にある「ゆらりゆらり並ぶ樹々」って、日常の中の些細な事で過ぎていくけど、それに影響される事もあると思うんです。例えばですが、僕が木だとします。それで、蝶がその木に止まり綺麗に羽ばたいたことで、僕自身も咲き誇れる感じがするんですよ。それは恋人や友人にも言える事で、そんな人が寄り添ってくれるだけで咲き誇れるというか。冗談ですけど、僕が谷にちょっと触れるだけで、谷がゲイに目覚めちゃったりとかね(笑)
全員:(笑)
谷川正憲:どういうこと(笑)
――なるほど(笑)では、「根のノイズ」というフレーズに込められた意味はなんでしょうか?
佐藤将文:根ってビビッと、地の中を這い巡っているじゃないですか。花は表に出ているけど、根は見えない土の中で、花のためにノイズをはっている。その力が花にも影響を与えているというのが映像で見えたんですよね。絵のイメージが先行でした。
――どういう状況で、その歌詞が浮かぶんですか。
佐藤将文:もう腕組んで目を瞑っていたら、浮かんできますね。
――谷川さんはどういう心境で、メロディーを作られましたか?
谷川正憲:最初に、ピアノフレーズが最初に浮かんで。そのフレーズだけで曲を膨らませていった感じです。最近ピアノを弾く事が多いんですが、UNCHAINは活動が長いので、如何にいつもと違う事をして、思いつくか?って考えるんです。ギターも手癖で、同じような感じにもなるし。なので、ピアノを使って遊んでいたらできました。
――ちなみにピアノと、ギター以外で作曲をされる事はありますか。
谷川正憲:自転車です(笑)。
――自転車!?
谷川正憲:自転車で散歩しながら考えるっていうのが、一番多いですね。リラックス空間みたいになるんですよ。あと、シャワーを浴びてるときとかも。『butterfly effect』は自転車を使っていました。