ボーカルを支えながらリードしていくギターの音。そのふたつの音に続いていく、バンドサウンドの中に一際目立つバイオリンの音がちょっと予想外で。一気に心が音に連れて行かれる。
まるで、子供の頃。大の仲良しと遊びに行く時、自然と繋いだ手のような。嬉しくて頼もしさのある音。
そんな音に連れ出されるままに、聴いていて思った事『SPECIALS』。特別ってなんだろう?そして誰もが憧れる。『SPECIALS』になるために必要な事ってなんだろう?
その答えは、BIGMAMAの『SPECIALS』に。面白おかしく、だけど大真面目に歌われている。
BIGMAMAの「SPECIALS」
僕の一番の理解者で
それでいて常にライバル
でも時には最愛の恋人みたいな
頼りない相棒に見えて
実は影でスーパーヒーロー
と見せかけてやはりただのポンコツだけど
“SPECIALS”
この歌詞から見る“SPECIALS”とは“親友”の事だ。何を言っても、友情は揺るがない。
お互いを信じきれているからこそ言える“愛の詰まった冗談”で、その想いを綴っている。『最愛の恋人』なんて言葉まで飛び出すほどに、その存在への想いは“特別”なのだ。
そして、その想いと一緒に『最愛の恋人』に言い含められているのは、どんな時も傍にいてくれて。自分を応援してくれる。
お互いがより良くいられるように、切磋琢磨出来る事。自分の笑顔を想ってくれている気持ち。そして、時には弱音を吐けて安心して心を休められる存在でいてくれる事への感謝の気持ちだ。
当たり前だけれど、この二人は出逢ったその日から“SPECIALS”だったわけじゃない。じゃあ、どうしてこの二人はこんなにも想い合える親友になれたのだろうか。
それは、この後に続く歌詞がまるで思い出のアルバムをめくるかの様に物語る。
最高の共犯者
僕の一番の被害者でお互いが常にアリバイ
でも僕らは最高の共犯者
『僕の一番の被害者』この被害者というのは、数々のやらかしに対しての謝罪なのだ。
『お互いが常にアリバイ』と続く様に、たくさんの出来事の中でピンチの時には、どちらも逃げる事なく。一緒にいる事でお互いの無実を証明してピンチを切り抜けてきたのだ。
それはもう、なくてはならない存在『最高の共犯者』なのだ。
さあ世界中の愛を盗みに行こうと
笑い合った日々を忘れないだろう
思えば友達って、何かきっかけがあって会話をして。どこか合う部分を見つけて。笑い合う分、打ち解けて行く。
そうして気がつけば、同じ時間を共に過ごしていて。自然に良い事も、時には悪い事も一緒に経験する。
その経験が多ければ多いほど、不思議に心は深く繋がり合って“信頼”が生まれる。
そして、共に重ねた時間は“思い出”となっていつまでも途切れることなく、共有してゆけるのだ。
こうして育まれた特別な感情は。『世界中の愛を盗みに行こう』なんて、絶対出来るわけがないとわかっていることすら、呆れることも馬鹿にする事もしない。
ただただ、“この二人なら出来る!”と疑う事なく“可能性”だけを見つめ。いずれ思い出となる新しい日々を、笑って進んでいける“信頼”を更に強くしていくのだ。
しかも、この事実。あの、日本一有名な名コンビ達を前にしても揺るぐことはないのだ。
本物の最強コンビ、それがSPECIALS
ネコ型のロボットとメガネもコウモリ男と駒鳥も
R3とC2さえも
思わずみとれちゃうような
羨んでしまうような
最強のふたりになれる
この一節に出てくる名コンビ達。だいたい、想像がついていると思うが。特にわかりやすいのは『ネコ型のロボットとメガネ』だろう。
この有名な二人が毎週金曜日に繰り広げる物語は、子供だけでなく。大人もつい見入るほど楽しく明るく時に胸を熱くする素晴らしさだ。
その熱い友情で結ばれたネコ型のロボットとメガネすらも『思わずみとれちゃうような』『羨んでしまうような』『最強の二人』には、四次元と繋がるポケットも。未来の秘密道具もない。
もちろん、漫画のように出来すぎた美しいストーリだってない。
在るのは、どんな時も一緒にいる。どんな事も一緒に経験する。好きだけじゃない。自分を磨きたくなるような魅力を常に持っていてくれて。
一緒に居ると色んな事を頑張りたくなる、頑張れる。お互いを高め合える。人生を豊かにし合える。これこそが、誰かの“特別”になるために必要な事。
そしてあの。日本一有名なコンビすらも憧れる“SPECIALS”という、作り物ではない。本物の最強コンビなのだ。
TEXT:後藤 かなこ