アルバム名は平成最後の戌年から…
──アルバムのタイトルもお聞きしたいんですが、今回『ONE!』っていうタイトルになってると思うんですけど、この『ONE!』っていうタイトルはどういった思いを込めてつけられたんですか?
朝日:最初はドラムのタケちゃんが考えたタイトルで、そこからいろ~んな候補が出たんですよね。もっとちゃんと意味を込めたりとか、語感のいいタイトルとか、そういうのを経て…。
もっさ:でもそのときはまだ全部曲出来ている訳ではなくて、まとめて曲が全部出来て来て、並べてみて決めました(笑)黒い色んな意味があるものよりかは、最初のファーストっていう意味もあるし、意外と『ONE!』はキャッチーだなって思ったんです。
朝日:変にタイトルで意味づけるよりかは、わかりやすくしました。
もっさ:テーマとかよりは「最初の1枚」っていう感じになったかな。
──分かりやすく『ONE!』なんですね。
朝日:はい。
もっさ:そうなんです。戌年やしっていう(笑)
朝日:後付けで。
もっさ:これ後付けなんですけど。そういえば平成最後の戌年なんで、いいなと思って。
朝日:だから結局ジャケット、ブックレットの中とかには…
もっさ:ワンちゃんがたまにいるんです。
──そうなんですね。すごいおもしろいですね。その掛け方が。
もっさ:後付けなんですけど。
朝日:後付けアピールがすごいんです(笑)
雨の日の経験から描いた『レイニーレイニー』
──収録曲のお話にいきます。まず1曲目が『レイニーレイニー』ですね。これは雨の日に起こったお話なのかな?って歌詞を読んでて思ったんですけど、いかがでしょうか。朝日:そうですね。ずっと曲名が決まらず悩んでたんですけど、悩んでる途中で外にいたら雨に降られて。もう『レイニーレイニー』だって(笑)
──そこですぐ出たんですか?
朝日:そう。傘ないしめっちゃ濡れたしっていう、微妙に嫌な気持ちがなんか分かんないけど曲と合致して、もう『レイニーレイニー』でいいやっていう、そんな感じです。曲名の付け方は。
──じゃあもう実際にこの出だしの「逸れた道路沿いのバスの乗り場で」っていう歌詞は、朝日さんがその場にいて感じたってことですよね?
朝日:なんとなくそういうのは、多分子どものころの記憶とかなんですよね。すごい1人だった記憶が多くて。今回のアルバム曲全体「1人」から始まるっていう曲がめちゃくちゃ多くて。多分それって、僕が曲を作るときのテーマになってるんだろうなっていう。「誰もいない」とか「人の気配がない」とかそういうワードから始まるっていうのが多分…覚えてもないくらい昔の記憶にあるんだと思います。
──「十代の想像上の散弾銃」ってあると思うんですけど、これはどういう意味なんですか?
朝日:それは小学生の頃に、悪い人が銃を持って入ってきたらどうしようっていうことを考えてたっていう(笑)
朝日:やばい、怖い人が入ってきたら闘えるかなみたいな、それとも逃げるのかなみたいな。そういうくだらない妄想とか想像とかストーリーとか、本当にしょうもないんですけど、今になって物を作るってなったときに、そういう子どもの頃の気持ちとか記憶っていうのが本当に大事になってくるんだなと思う。案外そういうしょうもなかったものが今になって悪くないなっていうふうになるし。1曲目だからってわけでもないんですけど、物作りのきっかけっていうか原体験の曲っていう感じですね。全体的に。
──「絶対最終回はぼくらのものだ」って言い切ってるじゃないですか。これはすごいバンドの中での代表的な言葉みたいな感じじゃないんですかね。
朝日:子どもの頃からアニメとかもよく見てて、最終回っていうものがすごい好きで、最終回に近づいてきたら、今まで活躍してこなかったような脇役とかもすげえいい顔したりして。めちゃくちゃかっこいいんですよね。だからいつが最終回になるか分かんないですけど、自分が死ぬときか、バンドが終わるときなのか、音楽をやめたくなるときなのか。でもそのときにみっともない終わり方だけはしたくないなっていう。最初の曲で終わり方を決めるっていう感じです。
──「助平を騙す広告」ってフレーズもあえてカタカタで「スケベ」って書かないで漢字で書かれたのもちょっと面白いですね。
朝日:ああ、そうですよね。「スケベ」ってちゃんと漢字があるんですよね。昔の小説とかじゃないと助平って出てこないんですよ。助平って響きが面白いです。
──漢字で書こうと思われた経緯とかはあるんですか?
朝日:やっぱり古臭い言葉遣いが結構好きだったんです。古臭いけど、もっさが歌ったときにキャッチーになる言葉って何だろうみたいな。今って結構難しい、あざといっていうか、女の子ボーカルの別にバンドじゃなくても、アイドルとかでもソロのシンガーとかでも、結構尖った言葉遣いの女の子ボーカルの子たちがどんどん増えてきて。単純に尖った言葉だけじゃみんなやってるからなぁと思って。どういう言葉ならボップになるんだろうと思って出てきたのが「助平」だったっていう(笑)
──ここでそこにいったんですね。じゃあもっささんはこの『レイニーレイニー』を受け取ったとき、どういう風な思いで歌われましたか?
もっさ:結構最初の曲をどうするかって悩んでいたんですが、ワクワクする、「アルバムが始まるよね」みたいな感じを意識しました。これから、ワクワクするような曲を1曲目作りたいねっていう話をしていたので、楽しい感じになったかなって思います。
──スタートから、明るくかわいらしい声で歌われてますもんね。
もっさ:元気というか、「これからアルバム聴いてくれよな」みたいな気持ちです(笑)
朝日:そうやったんや。
もっさ:ワクワクするよ、この曲。
──サウンドもギターソロが階段で駆け上がってく感じの音ですよね。
朝日:まさに女の子ボーカルとかがいっぱい出てきてる中で、バンドって言ってるものの、めちゃくちゃポップスバンドだと思われてるし、それで認識は間違いないんですけど、だからこそサウンド面だけはちょっと骨太にやりたいなっていう。だからちゃんとギターを弾いて、もっさにもめっちゃギターを練習してもらいました。だからライブとかでは、同期音源とかは使わないで、自分たちの体だけで出来るっていうスタンスでライブをやりました。それをポップスバンドがやるっていうのに、すごい意味があるんだろうなと思って。
この言い方をするとライブで同期を使うのが悪みたいな感じになるんですけど、むしろそういう風にライブのクオリティを上げるっていうのはめちゃくちゃかっこいいことなんですけど、僕らみたいなポップスのバンドは逆にそれを使わないでフィジカルで勝負するっていうのを、そういうバンドがいるんだよっていう風に10代の子たちが思ってくれたら嬉しいなと思うんで。だからサウンドもやっぱりギターがでかいですし、ドラムもでかいね。
もっさ:ドラムがこの曲はもう。
朝日:ドラムはめちゃくちゃでかい。
もっさ:バシバシ派手やし。叩いているフレーズが。
朝日:ドラムがしかもうまいんで。助かってます本当に(笑)