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【インタビュー】LAMP IN TERREN「自分を好きになれる一作」で再出発へ (1/3)

4人組ロックバンドのLAMP IN TERRENが12月5日に、4thアルバム『The Naked Blues』をリリースする。松本 大(Vo)の声帯ポリープ切除手術に伴い、一時活動休止をしていたが8月に復帰。そんな彼らが再出発の想いを込めた新譜について松本大に話を伺った。

僕らの曲は、ブルースの匂いがする

──松本さんの声帯ポリープ切除手術に伴い、一時活動休止をされていたLAMP IN TERRENさん。8月19日の日比谷野外大音楽堂ワンマンで、完全復活をされましたね。まずは松本さんおかえりなさい。

松本 大:ありがとうございます。ご心配をお掛けしました。


──松本さんは活動休止期間中、孤独を感じていたそうですね。

松本 大:そうですね。人生に置いてそれはずっとかもしれないです。孤独というか喪失というか、無を感じておりました。“自分には何にもないんだな…”。という気持ちがあり、歌えないと何にもやる事がない人生なんだなという事を実感しました。どうにかしてまた再出発しよう、一歩踏み出そうという気持ちもあって。負けないように負けないようにしていました。


──活動休止期間中は、メンバーさんとお話しされたりはしたんでしょうか?

松本 大:話はしたんですけど、それはLINE上でだけとか。僕もずっと旅に出ていたので。


──どこに行かれていたのでしょうか?

松本 大:海外に行ったり、地方に行ったりしていました。メンバーはその感に練習をしていて、僕はインプットをしていました。


──ギターの大屋さんが、料理がお得意だと思いますが、松本さんが退院後、何か振る舞われたりされたんでしょうか?

松本 大:僕も真ちゃん(大屋真太郎)と同じぐらい料理が得意なので(笑)大体メンバー全員で泊まるってなったら、料理係は僕が担当しています。なので、ないですね(笑)


──復活のアルバム『The Naked Blues』は、直訳すると裸のブルースですよね。こういったテーマはどういう所からきたのでしょうか。

松本 大:ブルースっていう単語は、自分の音楽性にすごいぴったりくるというか。その憂鬱みたいなものを晴らすための音楽。ジャンルで考えると僕らがやっているのは、ポップソングにおけるコードの使い方だったりするんで、音楽の話をするとブルースとは離れている所があります。でも僕らの曲は、ブルースの匂いがする。憂鬱に向かって行ったり、憂鬱を晴らすためのモノかなと。自分の中でしっくりきている言葉なので、今回はそれを全面に出しました。全曲完成する前から、アルバムのタイトルは決まっていたんですよね。

▼The Naked Blues


『I aroused』はMr.Childrenの『深海』の始まりのように



──1曲目の『I aroused』は、私は覚醒したという意味だと思いますが、同曲は今の松本さんの心境をぶつけられたのでしょうか。

松本 大:そうですね。Wake upみたいな感じじゃないよな~って思って、一番この曲にあっている単語をタイトルにつけたんですけど。もしかしたら下ネタ的要素も入っているかも…という(笑)


──下ネタですか?(笑)

松本 大:海外の人からそういう指摘を受けました。でも“それもそれだろ!そういうニュアンスもあるだろう!下ネタは悪いことじゃねえ!”って思って(笑)


──あんまり下ネタ要素感じないですけどね…(笑)

松本 大:そうですか?(笑)ありがとうございます。


──イントロにピコピコした音がありますが、あれは心電図のような音を想像させますね。

松本 大:おお!その解釈すごい面白いですね。あれは頭の中で鳴っていて、ピアノのコードに対して浮かんでいるものをやりたいなって思って入れました。いいですね!心電図!無意識であったかもしれないですね。


──音も、闇から脱出する感じが表現されていますね。

松本 大:へえ!!そういう見方があるんですね。僕はストレートに書いただけなので、どういう気持ちっていうのがあまりなくて。歌詞を見たまんまなんですよ。だから色んな解釈で話をされると面白いです。


──なるほど。私の勝手な解釈ですが、海に沈んでいる人が頑張って沖に上がろうとしているような風景が浮かびました。

松本 大:ああ!海に沈んでいるイメージはちょっとありましたね。Mr.Childrenの『深海』の始まり方のようにしたかった部分もあって。シーラカンスとか(笑)



──「暗闇が語る言葉を」という歌詞がありますが、これはどういう言葉なのでしょうか。

松本 大:例えばですけど、自分の周りに影響されて自分に自信がなくなっていく事はあると思うんです。でも、影響されてばっかりもきっと良くないし、それは自分の事を信じられていないから、そう思うだけであって。自分の中ではしょうもない事でも、それは誰かにとって凄く特別なものになったりするんだっていう。だから周りに振り回されることなく、自分の心の中にある言葉だけを、疑わずに出したら良いっていう自分の一個の答えが見つかって。そこから自分を好きになる、自分に自信が持てる感覚があったので。奮い立たせる感じや、覚醒する感じをこの言葉で示した感じですね。


──「暗闇が語る言葉を」ってなんだか不思議な感覚ですね。

松本 大:自分の中にある言葉ってそういう事だと思うので。誰の事も見ずに、目を閉じて思い浮かんだ言葉って事ですかね。


──松本さんの歌詞の書き方は、何かを体験して書くことが多いんでしょうか?

松本 大:いや、昔はそうじゃなかったですね。想像上の事が多かったです。今回は自分が体験したものに寄っている気がしますね。


──そうなんですね。あと「ただ導かれるままに あなたに出会うために」というフレーズがありますが、これはファンの皆さんの事でしょうか。

松本 大:はは(笑)これは人ですね。あなたはファンだけではなく、メンバーや家族もそうだし。人間って一瞬一秒で変わりゆくものだと思うので、数分先の自分を会わない限りは、誰も知らないんですよね。だから自分も更新している事を言いたかったと思います。


──ここのフレーズでファンの方もグッとくるだろうなと思いました。

松本 大:だといいですね!でもそういう重ねられ方も正しいというか、これは全人類に言っているような事なので。まだ見ぬ誰かに出会うためでもあるし、今まで一緒に歩いてきた人に言っている言葉でもあるし。


──「透明なままの夜空」は穢れていない、美しい空を表現していますか。

松本 大:見たまんまですね(笑)夜空は暗いという風に認識していると思いますが、晴れている空は青いと同じで、それは空自体が作り出している色ではないんですよ。環境が作り出している色であって、空気っていうものには色がないんですよね。その何者にでも染まるけど、実際には透明なままなんだよっていうのが、自分の心ともリンクしていて。だから晴れの日も、夜の日も、雨の日も、夕方もある。どんな表情にもなれるっていう意味があると思います。


──『I aroused』に関しては、メンバーさんとはかなりディスカッションされたのでしょうか。

松本 大:アルバムの会議をしたときに、デモ音源を持っていったらメンバーもこの曲をめちゃくちゃ気に入ってくれてたんで。特に大喜(川口大喜)が。なので、みんなやる気満々でしたね。

次ページ : 裸の王様を絡めた『New Clothes』について

2006年、長崎県で中学校2年生の中原と大屋が結成したバンドに同級生の松本が誘われる形で参加。その後、進学の都合で大屋と当時のドラムが脱退。2011年、地元の友人だった川口が加入して3ピース編成となる。 2012年、バンド名を「LAMP IN TERREN」に。ラテン語の「terra(星、大地)」を捩った造···

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