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儚い花魁の心情を描き出した米津玄師『Flamingo』

米津玄師の作曲センスが光る『Flamingo』。現代的なメロディアレンジに反して、明治時代にまで遡る歌詞に注目したい。一見華やかにも見える遊郭の中に身を置き、遊女の頂点に君臨する花魁の、儚くも美しい生き様が描かれている。

厳しい遊女の世界


吉原遊郭の中でも、一番位が高い遊女の花魁。彼女が相手をする客は皆、名高い金持ちばかり。

しかし、お金がどれだけ自分の元に舞い込んでも彼女の心が満たされることはなかった。

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宵闇に 爪弾き 悲しみに雨曝し 花曇り
枯れた街 にべもなし 佗びしげに鼻垂らし へらへらり
笑えない このチンケな泥仕合 唐紅の髪飾り あらましき恋敵
触りたい ベルベットのまなじりに 薄ら寒い笑みに
≪Flamingo 歌詞より抜粋≫
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幼い頃に、姑楼に売られどこにでもいるような子が花魁の元で働き、遊女から花魁になっていく生き様の物語。

花魁になるには、自分のことを気に入ってくれる多くのお客さんを得なければならない。その為には、他の遊女を蹴落とすことも必要。時には騙し騙されながらも、頂点に上り詰めるまで心を折らない。

好きでもない男性に媚を売ったり、笑みを投げかけることも当たり前のようにできるようになっていった。

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あなたフラミンゴ 鮮やかな フラミンゴ 踊るまま
ふらふら笑ってもう帰らない
寂しさと嫉妬ばっか残して
毎度あり 次はもっと大事にして
≪Flamingo 歌詞より抜粋≫
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多くの男性に対応する中でもお目当ての男性ができると、途端に心が緩む。

遊女の前に1人の女性だから、本気で男性を愛したっておかしくはない。しかし、男性側は一晩遊女と過ごすことを楽しみに来ているだけで、お金を払って楽しむ娯楽と割り切っているので、遊女を本気で愛数することはそうそうない。

愛した男性の心が自分に向かないことを悲しむ遊女切ない姿が表現された歌詞になっている。

男性客から見た遊女


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愛おしいその声だけ聴いていたい 半端に稼いだ泡銭 タカリ出す昼鳶
下らないこのステージで光るのは あなただけでもいい
それはフラミンゴ 恐ろしや フラミンゴ はにかんだ
ふわふわ浮かんでもう さいなら
そりゃないね もっとちゃんと話そうぜ
畜生め 吐いた唾も飲まないで
≪Flamingo 歌詞より抜粋≫
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1番の歌詞とは対照的に、2番は男性客目線の歌詞になっている。気に入りの遊女を指名する為に、昼間に一生懸命稼いだお金。

一晩があっという間に過ぎてしまうから、もっと一緒にいたいという気持ちの男性。

遊女からしてみたら、自分はお客さんとしてしか見られていないだろうから、それ以上の関係性を求められなくてやり切れないのだろう。

遊女から花魁になっても変わらないもの


遊女として数々の経験を積み、美しく気高い花魁に惚れ込む男性は多いが、花魁側は1人の男性に恋愛感情を抱けず、ただ身体を重ねることへの虚しさを感じ、花魁という地位があり商売といえども、好きでもない男性に心を偽って毎晩芝居をする自分に嫌気がさし、情緒不安定になる時もある。

それでも毎晩仕事をこなす花魁を、片足でもしっかりと地に足着けて倒れないフラミンゴとリンクさせているのだ。

●米津玄師 / 『Flamingo』


TEXT:蓮実 あこ

【特集】平成最後のブレイクアーティスト 米津玄師を完全解説!

ハチ名義でボカロシーンを席巻し、2012年本名の米津玄師としての活動を開始。 2018年、TBS金曜ドラマ「アンナチュラル」の主題歌として「Lemon」を書き下ろし“ミリオン”セールスを記録。 「第96回ドラマアカデミー賞」にて最優秀ドラマソング賞を受賞。 日本レコード協会にて史上最速の300万DL···

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