大切な人の不在
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君がいない 日々の意味をいま知って
すべて何もかも 捨てて駆け出した
星の下で 今も心は飲み込んで
誰かのためだけに 笑ってるの?
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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歌い出しの歌詞では、大切な人の不在が歌われています。「君」がいない、それだけで日常は大きく姿を変えてしまいます。大切なその人がいたからこそ輝いていた日々が、一気に色あせて見えるのです。
大切な誰かは、他人のために微笑むことができる人。自分の気持ちは表に出さず、常に誰かのために。そんな姿勢はきっと、主人公の前でも変わることはなかったのでしょう。
いて当たり前だった人が消えてしまい、大きな喪失感の前で立ち尽くしています。しかし、失ったものがかけがえのないものだと気づき、慌てて追い求めているのです。
不在によって初めてその人の存在の大きさが分かります。大切な人や物を失ったことがある人にとっては、胸に突き刺さる言葉でしょう。
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君の生まれた町 向かい風の歩道橋の上
背中押す懐かしい歌
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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大切な人はおそらく恋人でしょう。「君」の産まれた場所を知っていて、これまで過ごした時間を思い返しています。
懐かしさを感じた歌は、彼女との思い出の曲でしょうか。歌で一気に過去へと引き戻される描写が、悲しくも美しい部分です。
自分にとってかけがえのない存在だと気づく
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行かなくちゃ
この目に見えない感情が こんなにこの胸を
熱くする 満たしてゆく 壊れるくらいに
雨の日も風の日も忘れなかった
涙で濡れた笑顔
失くせない何よりも大事なモノ
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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サビでは、感情の赴くままに行動する姿が描かれています。言葉では言い表せない思いが体を突き動かしているのです。
一体彼女に何があったのか。彼女の笑顔が片時も頭から離れず、心が壊れてしまうほどに追い求める姿が印象的です。
失ったその時よりも、時間を経ることで痛みがより強くなる。
彼女の大切さ、その存在が鮮やかに思い出されるからこそ、もう一度取り戻しに行くのです。
他人の幸せを本気で願える人
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いつか君と 夜空のふたつ星に
名前つけて 交わした指切り
キミはじっと 流れる星を探した
ずっと 僕の願いを祈ってた
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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2番では、遠い昔に大切な人と2人で願いをかけた夜を思い返しています。約束は果たされることなく、彼女とは離ればなれ。
しかし、遠い夜に人の願いを本気で願っていた姿が脳裏から離れません。
誰に対しても本気で幸せを願える、優しい心の持ち主。そして彼女にとって「僕」の願いは、特別に大切なものだったのです。
「僕」にとって彼女がかけがえのない存在であるように、彼女にとっての「僕」も特別な人でした。
そんな大切な人を置いて遠くへ行ってしまった彼女だからこそ、2人の間に何が起こったのか気になってしまいます。
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幸せにならなきゃいけない人のために
星は夜に輝く
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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遠いあの日に願いをかけた星に、大切な人の姿を重ねています。ここで歌っている「幸せにならなきゃいけない人」は、間違いなく彼女です。
人の願いを心から祈れる人こそ、幸せになってほしい。「ならなきゃいけない」という言葉に、彼女の幸せを願う強い思いが滲んでいます。
もっといろんな「君」を知りたかった
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逢いたくて
この広い 暗い 空の下 今もしもひとりなら
なにひとつキミを包むモノも無いとしたら
逢いにゆこう
もう二度と眼をそらさない 悦びも痛みも
どんな顔も腕のなかで観ていたい
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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2番のサビでは、逃げ出してしまった過去を取り戻そうとしています。彼女が抱えていたものはなんなのか。気持ちの温度差、ちょっとしたすれ違い。
そういったものを重ねる内に、2人の心は離れてしまったのかもしれません。
あの頃は、彼女にまっすぐ向き合うことができず、逃げてしまった。
けれど今は、笑顔だけじゃなく、涙も不安も痛みも、「君」のすべてを受け止めることを誓います。
一体今、「君」はどこにいるのか。1人なのか、誰かといるのか。
何とか彼女を取り戻したいからこそ、1人でいることを願っているようにも聞こえます。"君の隣には僕がいたい"そんな願いが感じられます。
幸せの定義
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わかったんだ 幸せってさ
ふたつでひとつ ひとつずつじゃない
すべてを分け合える二人だけに許された願い
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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幸せというのは、1人で感じるものじゃない。自分だけが満たされていても意味がなく、大切な誰かと分かち合ってこそ意味がある。
いつかの夜空に願いをかけたように、互いに思い合える2人だからこそ幸せを掴むことができるのです。
だからもう、「君」だけが「僕」の願いを祈らなくていいのです。これからは「僕」も「君」の願いを祈りたい。
ここにきて初めて、理想の2人、本当の意味で分かり合える2人になれる予感がしています。
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行かなくちゃ
桜の花びらが夜に 散ってしまう前に
誰よりも優しすぎる 心閉ざす前に
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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大切な人が心を閉ざしてしまうことは、胸が張り裂けるほど辛いことです。
けれどたぶん、それは自分のせいで。だからこそ、もう逃げずに、今度こそちゃんと向き合うと覚悟を決めたのでしょう。
彼女が手の届かないところへ行ってしまう前に、もう1度向き合って、彼女のすべてを受け入れようとしています。
1度失いかけたからこそ、彼女がどれほど大切な存在だったのか、身にしみてわかったのでしょう。
最後には生まれ変わった2人
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逢いたくて 逢いたくて いま 逢いたくて
今もしもひとりなら
なにひとつキミを照らすモノも無いとしたら
逢いにゆこう
流れ星にかけた願い 叶うのが今なら
この先に新しいふたりがいる
…行かなくちゃ
≪星に願いを 歌詞より抜粋≫
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長い間、彼女を捜し求めていた「僕」は、ついに彼女の前に立つのでしょうか。もしも今、彼女が孤独に震えているなら、隣で彼女を温めたい。
もう1度、彼女にとって特別な人になりたい。だからこそ「行かなくちゃ」と自分に言い聞かせているのです。
遠い昔に2人で願いをかけた星。"あの時の祈りが届くなら、どうか彼女に合わせてほしい""今度こそ一緒にいたい"切実な願いです。
「行かなくちゃ」は義務感でもあり、彼女に恋焦がれる気持ちでもあるのです。
満点の星を思わせる空間の中で紡がれる『星に願いを』は、ボーカルの山村隆太さんの透明な声と、純粋な歌詞が胸にしみる一曲です。
果たして「僕」の願いは届くのか、再び「君」に逢うことはできるのか。聴いているこちらまで2人の幸せを願いたくなる、透明な祈りの曲です。
幻想的な楽曲の世界は、『星に願いを』のMVから確認できるので、ぜひチェックしてみてください。
flumpool『星に願いを』MV
TEXT 岡野ケイ
歌詞の意味を解読!?厳選歌詞コラム
【歌詞コラム】声を出すのが辛くとも…『君に届け』、この想い!!【本人動画コメント】flumpool 新曲のお気に入り歌詞とライブ開催の地元愛を激白