迷子になる恋心
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それでもアナタに惹かれてしまった 物語の歯車は止められない sweetest show!
視線はぐらかされ時間切れ 今日もこのまま I don't touch
期待なんかしたって 虚しいだけ ハミングにした愛の唄
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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歌い出しは、どうしようもなく惹かれてしまうことへの辛さが描かれています。歯車は1度動き出したら止まらず、加速していくばかり。
好きな思いは強まる一方なのに、思いを寄せる相手はつれない態度。触れることもできず、もどかしい距離のままに時間が過ぎていきます。
「今日はもっと近付けるかも」「見てくれるかも」そんな淡い期待はことごとく裏切られます。愛の言葉も届かないから、1人寂しくハミングしているのでしょう。
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アナタどうもつれないから 私の心は迷子なのに
好きって言われてしまったらくらくら 思わず袖をつかむ (I'll be with you!)
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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つれない態度に恋心は戸惑い、行く先も分からないのに、彼から言われた「好き」という言葉に逆らうことができません。
単純にも、愛の言葉に心躍ってしまう恋心がかわいいです。自分でもバカらしいと分かっていながら、どうすることもできないのです。
たった一瞬の愛の言葉が忘れられない
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バカみたい!
一直線の愛なんか欲しがって 叫んでも届くはずなんかないのに
2,3秒前の真実もなくなっちゃうの? 孤独へのカーブ描く (What a savage show!)
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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サビでは、そんな自分の弱さに苛立ちを覚えています。
本当は、まっすぐな愛がほしい。いつでも自分を見て、愛を感じていたい。そんなことは無理だと分かっているのに、数秒前に言われた愛の言葉が忘れられないのです。
1人孤独へと向かっていることが分かっていながら、どうしようもないもどかしさが伝わってくる歌詞です。
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苦くて 甘くてが刺激的 出口がないの I need you
気まぐれ助かって 独り占め それもほどなく I miss you
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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2番では、恋の甘さや苦さを知って、迷路から抜け出せなくなっている焦りが歌われています。出口を探しながら、時折向けられる優しさにくらくらしてしまう。
気まぐれに優しくする彼だから、いつまで経っても見切りを付けられず、別れることができずに苦しいのです。恋しさだけが募っていきます。
気まぐれな愛に振り回される苛立ち
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貫けない優しさなんて嬉しくもない ずっと隠して I hope that
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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彼のことが大好きなのに、向けられる優しさはほんの一瞬、気まぐれなものです。
いつまでもその気まぐれな愛に振り回され、ついに本音が零れたのでしょう。貫けないなら、一瞬の優しさは辛いだけ。嘘だらけの愛ならいらない。どうせ嘘を吐くなら、もっと上手く吐いて、決してバレないようにして。
そんな切なる思いが溢れ出しています。
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どうせいつか壊れちゃう どうせいつか嘘ってわかっちゃう
それが遅いか早いかの違いだけ (wow baby)
どうせなら願いたい どうせなら永遠を見てみたい
つまり利口か哀れかの違いだけ (wow baby)
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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上辺だけの愛なら簡単に壊れてしまう。長続きしない愛なら、さっさと見切りを付けたいのに、できない。嘘がバレるのが早いか遅いかだけの違いで、ほんのわずか、幸せな時間が長続きするだけです。
それでもつい、願ってしまうのでしょう。バカなことだと知りながらも、無駄な足掻きだと知りながらも、明るい未来を夢見たい。
1人の男性に恋い焦がれてしまう女性の、悲しい姿が目に浮かびます。
どこまでも振り回される存在
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待ってよ、って言われてしまったらチェックメイト うなずいて袖をつかむ
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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どんなに呆れるような嘘を吐かれても、優しさが気まぐれだと知っていても、「待ってよ」というたった一言でもう動けなくなってしまいます。
どれほど振り回されても、結局は小さくうなずき、そっと裾をつかむ、かわいい女性になってしまうのでしょう。
惚れた方の負け、という図式がはっきりと浮かび上がってきます。悔しいけれど、彼の思うがままなのです。
茨の道を行く恋
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何度もアナタが鍵を開けてきた 私の心は閉ざされたまんまだ
アナタじゃなきゃだめなんてね いつか笑い話になる?
切ないわ ちぎれちゃった赤い糸の数だけ 嘘を信じて…
甘すぎて悲劇的すぎたって もう止められはしない
≪赤い罠(who loves it?) 歌詞より抜粋≫
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何度も心を揺さぶり、何度も「この人となら」と思わせてきた彼。その度に裏切られ、傷ついてきたのに、どうしても諦めることができません。いつかは笑い話になるようなことでも、今の自分にとっては真剣そのもの。
どんなに周りから笑われても、「この人しかいない」そう心に決めているのです。
惚れてしまったから弱い。勝ち目のない恋のゲームです。だからもう覚悟を決めて、何度でも嘘を信じて、ついていくのです。悲劇的な恋だと知っていながら、茨の道を進むと決めたから。
結局、散々文句を言っても諦めようとしても、彼女は彼に勝つことができません。抗うこともできず、一瞬の優しさと、偽りの愛に溺れていくのです。
もしかしたら、いつか本当の愛を見つけられるかもしれない。そんな、一抹の希望を捨てきれない、悲しくもかわいい、恋する女性の心を見事に歌いきった楽曲です。
TEXT 岡野ケイ