泥臭さが際立つ歌詞
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僕等は完全無欠じゃ無い
原型を愛せる訳でも無い
この無様に移ろう形を
安い化けの皮を
噛み付き合い 剥ぎ取り合って
互いを見付けて来たんだろう
補い合うのなんざご免なんだ
さぁ好きに踊ろうぜ
≪大不正解 歌詞より抜粋≫
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「大不正解」には、男の理想やプライドはありません。自分にかっこつけることもなく、相手を思いやるでもなく、どちらかと言うと足の引っ張り合いをしているような歌詞が特徴的です。
足りない部分を互いに支え合って生きていこうと歌うのではなく、そんな関係はまっぴらご免だと言っています。
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何を創るつもりなんだ
自分で散らかした瓦礫の上
同じ物を欲しがって
同じ時を過ごしたのが運の尽き
縁が目に見えりゃもうきっと腐ってる
≪大不正解 歌詞より抜粋≫
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腐れ縁で、離れたいのに離れられないというイヤミも吐いていて、人間の汚いところがむき出しの歌詞ですが、それが泥臭い銀魂の世界にハマっているのです。
銀さんにも重なる歌詞
銀魂の主人公である坂田銀時(銀さん)はお金にがめつくやる気はない、死んだ魚のような目をした男です。普段はだらしなく、すぐにパチンコでお金を使ってしまうダメ男です。
しかしいざとなるととても強く、仲間を、むしろ敵でも助けてくれることがあるほど、かっこいい一面を持っています。
傍から見ているだけではわからない、彼なりのポリシーがあるところがかっこいいのです。
「大不正解」で歌われているのも、やはり似たようなものを感じます。互いを嫌い、腐れ縁だと言いながらも離れることができない。
腐れ縁とは言いつつ、背中合わせで逆境を乗り越えられる関係というのは、実はとても特別で大切な関係とも言えます。
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背中合わせ 槍の雨
道連れ 泥舟 大アタリ
地獄の果てでもとは言ったけど
本当に連れて来んなよ
≪大不正解 歌詞より抜粋≫
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この部分はまさに互いの関係性を示しています。文句を垂れながらも結局は離れられない。そんな腐れ縁で結ばれているのが銀魂の世界にも重なりますね。
皮一枚を隔てた本音と建前
楽曲内で「化けの皮」の表現されているように、皮一枚剥ぎ取ればそこには本音が隠れています。本音と建前を使い分けている人ほど、皮一枚剥ぎ取ったところに隠れている心は醜いのでしょう。
その化けの皮は簡単に剥がれてしまうほどもろく、幼稚なものです。
万事屋も新選組もその他のキャラクターたちも、銀魂に登場するキャラクターはみな、信念を持ち、それを貫く熱い魂を持っています。
普段どんなにかっこよく、クールに見えるキャラクターでも、熱さが見える瞬間があります。
人間臭さを捨てきれないところが完璧な人間からはほど遠く、だからこそ愛おしく思える部分ですね。
なぜ「大不正解」なのか
「大不正解」は完全無欠ではないという歌詞が印象的で、完璧を求めない姿勢がリアルです。かっこをつけることなく、完全無欠でない上にありのままの姿を愛するほど強くもない。そんな未完成な人間臭さがこの曲の特徴であり、作品ともよく合っています。
間違いだらけで、本音をむき出してかっこ悪く、図太く生きていく姿はスマートではありません。人生に正解というものがあるならば、正当な道から外れ、泥にまみれた生き方をしている姿はまさに大不正解。
銀魂キャラクターに見る泥臭さ、人間臭さと歌の世界が見事にマッチした「銀魂」のための楽曲と言えます。
TEXT:岡野ケイ
Vocal & Guitar : 清水依与吏(シミズイヨリ) Bass : 小島和也(コジマカズヤ) Drums : 栗原寿(クリハラヒサシ) 2004年、群馬にて清水依与吏を中心に結成。 幾度かのメンバーチェンジを経て、2007年現在のメンバーとなる。 デビュー直前にiTunesが選ぶ2011年最もブレイクが期待でき···