米米CLUBの代表曲『君がいるだけで』は1992年発売の曲。289万枚、歴代シングル売上5位の大ヒット作です。
もともとはメンバーのダンサーMINAKOとキーボードのフラッシュ金子の結婚を祝って作られた曲。
“いつでもいつの時も二人はお互いを見つめてる”
という歌詞の「二人」、そしてタイトルの「君」はまさに結婚する二人に向けられています。
ドラマ『素顔のままで』の主題歌として使われ、ドラマの高視聴率もありヒット曲になります。
そしてこれは、米米のイメージがメジャーなものに変わったことも表していました。
もともとは※※という表記にしようというアイデアがあったほど、かなりふざけた要素を含んでスタートしたバンド。米米はそもそも変な曲も多く、ライブも奇抜なアイデアが多かったグループです。デビューした当初はイロモノの扱いでした。
しかし『君がいるだけで』のヒット以降、バンドはよりメジャーなイメージに変容していきます。それを象徴するのがジェームス小野田のポジション。もともとはカールスモーキー石井とのツインボーカルでしたが、どんどん歌割りがなくなって後ろに追いやられていきます。
“めぐり逢った時のように いつまでも変わらずに いられたら
WOW WOW True Heart“
「いつまでも変わらずに」はいられなかったのです。もともと人数が多くメンバーの入れ替わりが多いグループでしたが、やがて結成時のメンバーであるジョプリン得能、RYO-Jが脱退します。
“True Heart 伝えられない True Heart 分かって
True Heart 見えないものを True Heart 見つめて“
「伝えられない」「わかって」という歌詞が、バンド本来のコンセプトを分かっての意味にもなってしまったのです。「君」が本来のコンセプトを理解してくれるファンになっていきます。
もともとボーカル2人、ギター、ベース、ドラムのバンド形態にホーンセクションとダンサーまで加わる大所帯バンド。維持するのも困難だったのです。
1997年に解散する米米。解散コンサートは東京ドームでした。
しかし米米は2006年に再結成します。それはこの曲が、より多くのファンをもたらしたからでもあります。
“たとえば君がいるだけで心が強くなれること
何より大切なものを気付かせてくれたね“
「君」=米米CLUBがいるだけで「心が強く」なったファンが沢山いたのです。
再結成後何回目かのコンサートの終了時、フロントマンの石井はこう言いました。
「21世紀になってずいぶん経ちますが、米米のようなバンドは現れませんね!」
この言葉どおり米米のような「ヒット曲を持つ大所帯バンド」はいまだに現れません。こういうグループを作るのがいかに困難であるか。そんな「何より大切なもの」=オンリーワンであることを「気付かせてくれた」グループでもあったのです。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)