スキマスイッチについて
大橋卓弥と常田真太郎からなる男性2人組ユニット。1999年に結成され、2003年に『view』でメジャーデビューしました。
2人とも愛知県出身で、スガシカオや山崎まさよし、秦基博らと一緒のオフィスオーガスタに所属しています。
グループ名は響きを大切にした過程で作られたのだとか。深い意味は無いながらも、安アパートに住んでいた頃の苦労を忘れないようにという気持ちも込められているそうです。
ラジオや有線をきっかけにロングヒットした奏、ブレイクした全力少年、その後もボクノートなどの主題歌を中心としてヒット曲を送り続けています。特に「おっさんずラブ」の主題歌『Revival』は記憶に新しい人も多いのではないでしょうか。
そんなスキマスイッチのポップな魅力はどこから来るのか。
大橋さんは玉置浩二やビートルズ、Mr.Childrenといったメロディーメーカー、常田さんも槇原敬之や小林武史というポップ職人から大きな影響を受けていて、曲を聴いているとその雰囲気も時折感じられます。思わず口ずさみたくなる曲が多いですね。
もう一人の人格、スキマスイッチくん
お二人のインタビューを読んでいるとよく出現するのがスキマスイッチくん。曲を作り2人が協力していく中で、大橋さんと常田さんの間にもう1人の人格みたいなものが芽生えるのだとか。それをスキマスイッチくんと呼んでいるそうです。
このスキマスイッチくん、ちょっと女々しくて頼りない部分もあるのだけどそこがまた感情移入させられるんですね。
大橋さんの爽やかな歌声と常田さんのピアノの旋律に乗って、感情が生まれるスキマスイッチくんの美しさといったらそれはそれはもうグッときちゃいます!
1曲1曲で少し雰囲気が変わるのもまた楽しいですよ。後に語る3部作の頃は大橋さんが一歩引いて常田さんが強めにリードしていたそうですが、共作で作り上げることで絶妙な空気感が生まれています。
初期のアルバム3部作
2004年の夏雲ノイズ、2005年の空創クリップ、2006年の夕風ブレンド。1年おきにリリースされたこの1st〜3rdアルバムは、最初から3部作の予定で作られたものなんです。なので3枚合わせて1セットのような感覚ですね。
この3枚でスキマスイッチくんをだいぶ知ることが出来ます!(笑) 2人の化学反応がとっても面白くて。
全てセルフアレンジ・セルフプロデュース
当時続けてリアルタイムで聴いていたので、この3部作が揃ったときにはとても胸が熱くなりました。紙ジャケ仕様の初回盤を持っていて今でも宝物です。アナログ感やあたたかみを感じられますし、造語であるアルバム名のこだわりやちょっとした仕掛けが施されていて音を聴くのはもちろん、目で見ても楽しめます。
夏雲ノイズ
前作のミニアルバム『君の話』からも別ver.で2曲収録されていて実質最高のファーストアルバム。
曲調はアップテンポだけど、後悔や嫉妬心だったり毒のある歌詞が多いです。そこがまたエッジを際立たせていてたまらない。とはいえとても爽やかで癒される曲もたくさんあります。
強烈な歌詞の『螺旋』やとにかく楽しい『ふれて未来を』、メジャーデビューシングルである『view』、恐ろしい要素も感じる曲とのギャップが何ともいえない『ドーシタトースター』、みんな大好き名バラード『奏』などなど、何度も繰り返し聴きやすいアルバムです。
『ふれて未来を』は本当にMVが最高すぎるのでぜひ観てください。筆者はこれでファンになりました。
●ふれて未来を / MV
『キミドリ色の世界』はMr.Childrenのドラムス、鈴木英哉さんがサポートメンバーとして参加している豪華っぷり。明るい曲調ですが、過去を捨てきれない弱さに沁みます。
休日の午前中にドライブしながら聴くと最高ですよ。
空創クリップ
バラードやマイナーな雰囲気の曲が多いのが特徴的な2ndアルバム。全体的にまったりしているので温かい飲み物でも飲みながらゆったり聞くのをおすすめします。
1曲目の『君に告げる』から『全力少年』に繋がるあの瞬間はワクワクすること間違いなし!
『全力少年』は言わずと知れたスキマスイッチの代表作。爽やかに跳ねるメロディーの裏で鳴っているピアノの音がとっても素敵なんです。まさに波紋が広がっていくようなイメージで世界が広がる印象がして。遊び心も感じられてキュンときちゃいますよ。
『フィクション』や『キレイだ』などギターがかっこいいナンバーも。
夕風ブレンド
3部作最終作にして新境地を開拓した3rdアルバムです。名盤。
特に音楽通やファンの間で人気の高いアルバムではないでしょうか。とはいえ、『ガラナ』や『ボクノート』などヒット曲も目白押しで初めて聴く方にもおすすめです。
圧倒的バランス感。夕風ブレンドが一番リラックスできる気がします。
突出したキラーチューンがあるというよりは、全体を通してアルバムの世界観が楽しめる1枚になっていて、夕暮れや帰り道などで歩きながら聴くとより沁みるんじゃないかなあと思います。
『奏』にも引けを取らないどころ名バラードの『藍』。筆者は未だにこの歌詞を理解できません。とても深いものを感じられて、恋愛ソングには思えないんですよね。もちろん愛がテーマであることは間違いないの思うのだけれど。
難解なんだねと歌詞に出てきますが、本当に難解です。様々な感情が渦巻いているそれ自体が愛なのかもしれませんね。
熱闘甲子園のテーマソングにもなった爽やかな風が吹き抜ける『スフィアの羽根』〜ビートルズのような言い回しも感じる『惑星タイマー』への流れも美しい。
そしてイチオシは、セルビア語で「空港」を意味する『ズラチナルーカ』。ずーっとリフレインするピアノのリフが神秘的です。
それぞれの解釈を楽しんでほしい
歌詞は色々諸説ありますが、スキマスイッチのお二人が語るには、”人それぞれ色んな解釈があっていいと思うし、そうなるように作った”と昔インタビューで読んだのを思い出しました。
悲痛に思える言葉ながら曲調はどこか前を向いている。あまりにも深いですね。『藍』と同じようにファンに人気の高い楽曲ですが同じように…いや、それ以上に難解かもしれません。
そういった難解さを楽しむのもスキマさんの音楽の良さの1つです。
人々の心に寄り添うポップス
▲スキマノハナタバ
デビューして以来、良質なメロディーと温かみのある、時には毒のある言葉でJ-POPをよりよいものにしていったスキマスイッチ。
2018年にはお花屋さんとコラボをして、セレクションアルバムをリリースしたりと日常にそっと寄り添ってくれるような展開も印象的でした。(こちらは2019年も3月12日~3月20日まで六本木ヒルズのPOPUP SANDZで開催されるようなので、気になる方はぜひ足を運んでみてくださいね。)
ぜひスキマスイッチの音楽を聴いて、ちょっぴり日常を豊かに過ごしてみませんか。
TEXT Keizy