8人の精鋭が織り成す「現代型和楽器ロック」
ボーカルとして美しいメロディを歌いあげるのは詩吟の師範でもある鈴華ゆう子。和楽器奏者は国内外で活躍する4人。
箏(こと)のいぶくろ聖志、尺八の神永大輔、津軽三味線の蜷川べに、和太鼓の黒流。
ロックなサウンドを担う洋楽器奏者は3人。
ギターの町屋、ベースの亜沙、ドラムの山葵。
いずれもニコニコ動画界隈で名を馳せた経歴を持う実力者です。
そんな総勢8人の表現者からなる「和」をテーマとした全く新しいロックバンド、それが和楽器バンドです。
そんな和楽器バンドの魅力は和太鼓とドラムによる迫力のあるリズムに和楽器の音色と妖艶な歌が合わさった激しくも美しいサウンド。
2014年に発売されたデビュー・アルバム「ボカロ三昧」に収録されている「千本桜」のミュージックビデオは2019年3月時点で1億再生を突破し、多くの人々に和楽器バンドの名前が知れ渡りました。
和楽器バンド / 千本桜
和楽器バンドの真骨頂が聴ける楽曲『天樂』
千本桜のみならず、和楽器バンドはカヴァーも含めいくつもの名曲を世に送り出しています。その中で最も和楽器バンドの雰囲気や魅力を感じられるのが「天樂」という楽曲。
静かに艶やかな歌を聴かせるAメロ、和楽器の旋律が幾重にも重なるサビ。
気持ちいい疾走感に乗せて美しく静と動を表現しており、和楽器バンドならではの「和」を感じられる繊細なアレンジが実にかっこいい。
実はこの楽曲も千本桜と同じくボカロ楽曲のカヴァーなのですが、原曲自体がとても和風な千本桜と異なり、天樂の原曲は和がテーマではあるもののサウンドやアレンジは骨太なギターロックなのです。
カヴァーということを忘れてしまいそうなくらい和楽器バンドらしさが色濃く表現されているこの楽曲こそ、和楽器バンドの魅力を体現していると言えますね。
【和楽器バンド】天樂 Tengaku 【VOCALOID】
オリジナル楽曲で紡がれる儚く雅な詞世界
多くの曲を美しくカヴァーしている和楽器バンドですが、そんな才能溢れる音楽家達が生み出すオリジナル楽曲は、カヴァー楽曲よりも更に強い世界観を放っています。その一番の要因は「歌詞」。
和楽器バンドのオリジナル楽曲の歌詞はコンセプチュアルかつ美しく、和楽器のサウンドだけでなく歌詞もまた和楽器バンドの大きな魅力の1つなのです。
オリジナル楽曲の作詞者は楽曲ごとに違います。主に作詞を手掛けるのはボーカルの鈴華ゆう子、箏のいぶくろ聖志、和太鼓の黒流、ギターの町屋、ベースの亜沙。
曲ごとに作詞者は違えど、共通しているのは「儚く雅な詞世界」です。
作詞者それぞれの言葉でその楽曲を儚く美しく彩る。
そんな魅力的な和楽器バンドの歌詞は、まだちゃんと和楽器バンドを聴いたことがないという人であれば是非歌詞をチェックしながら聴いてほしいですね。
どの楽曲の歌詞も素晴らしいのですが、特に歌詞の美しい世界観が生きている楽曲の1つに「Strong Fate」という楽曲があります。
----------------
聴こえる聴こえる 地を這い嘆く声
彷徨う彷徨う手のなる方へ
ただ
消えゆく消えゆく 残響の中で
蠢めく揺らめく 幻影をみる
≪Strong Fate 歌詞より抜粋≫
----------------
この楽曲の作詞を手掛けたのはボーカルの鈴華ゆう子。
妖艶なルックスを持ちながら詩吟の師範でもある彼女ならではの美しい詞が楽曲の世界観を見事に創り出していますね。
次なるステージへ
2016年には日本武道館公演、2018年には横浜アリーナ公演。そして今年1月にはさいたまスーパーアリーナでの2days公演を成功させ、日本屈指のバンドとして飛躍を続ける和楽器バンド。この他にもオーケストラとのコラボレーションや世界文化遺産でもある宗像大社でのライブ、更には国外イベントへの出演に北米単独ツアーの開催とその人気は海外まで拡がっています。
【画像】和楽器バンド たまアリを歓喜で彩る決意の大新年会!
そんな和楽器バンドが去年の11月に発表した最新シングル「細雪」。
同年4月に発表された最新アルバム「オトノエ」のリードトラックとして発表後、映画「恋のしずく」の主題歌、TVアニメ「京都寺町三条のホームズ」のテーマソング、そしてショートフィルム「遠い時間、月の明かり」の主題歌という3つの大型タイアップが発表されました。
待望のシングルカットとなったこの楽曲は、和楽器バンドの進化の証明とも言えます。
これまで以上にロックと和楽器を絶妙に融合した美しく力強いサウンドとメロディ、そして曲の世界観を見事に表現した美しい歌詞となっています。
▼細雪の歌詞はコチラ
和楽器バンドがこれからも私達に素晴らしい音楽を届けてくれることを予感させます。
今回紹介した以外にも多くの名曲を生み出し奏で続ける和楽器バンド。
今後の更なる躍進に目が離せませんね。
和楽器バンドのアーティストページはコチラ
TEXT 武山和正