バンド名の由来が‟可愛らしい"
フレデリックとは、レオ・レオ二の絵本の主人公、ねずみの‟フレデリック"からとったバンド名。絵本のある一節で、冬眠中に食料が尽き、周りの皆が困り果てているシーンがあるのですが、そこで‟フレデリック"はなんと、言葉で皆の心を満たしたのです。
そんな‟フレデリック"に感銘を受け、自分たちであれば音楽という形で皆の心を満たせる存在になりたいと思い、バンド名を『フレデリック』としたそうです。
とても納得のいく話ですし、レオ・レオ二の絵本から導かれたバンド名と聞くと、なんだか可愛らしいですね。
なにより音楽で皆を幸せにしたいという想いが込められているというのは、ミュージシャンを応援する側からしても、応援したくなるバンドになりますね。
2009年に結成された三原健司(Vo./Gt.)、三原康司(Ba.)の双子の兄弟と、赤頭隆児(Gt.)、高橋武(Dr.)で編成される4人組バンド。
これまでも数多くのワンマンライブや主催イベントなどをおこなってきた彼らですが、2018年4月には兵庫県・ワールド記念ホールで初のアリーナワンマンライブ『FREDERHYTHM ARENA2018 ~KOKYOのTOGENKYO~ 』を開催することで、バンドにさらなる自信をつけ、2019年2月20日には約2年4か月ぶりとなる2nd Full Album『フレデリズム2』をリリースしました。
では次に、彼らの音楽の魅力に迫ってみましょう。
シンセを組み入れ、80's感あるサウンドが特徴といえます!ただ、完全に昔ながらというよりかは、洋楽のロック、ポップスをも昇華させることで、いまの時代でも十分納得のいくサウンドを作り出しています。
繰り返すメロディーラインとシンプルなビートが中毒性を齎し、激熱ですよ。
実際に彼らが吸収してきた音楽も、幅広く、ジャンルに囚われないものだそうです。
また、サウンド以外で注目したいのは、ミュージックビデオ。
どこか腑に落ちない、不思議な映像を打ち出してくるのがフレデリックです。
不思議なものに惹かれることがある原理と同じように、わたしたちはみるみるフレデリックのミュージックビデオの不思議だからこその魅力に惹かれてしまうのかもしれません(全てのミュージックビデオが不思議な演出ということではありませんが)。
踊り出したくなるような~不思議な演出のMV楽曲を解説~
「逃避行」
こちらはアルバム『フレデリズム2』に収録されている楽曲。登場人物である2人が周りには秘密で、新たな世界へと飛び出していこうとします。
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搖れる列車の窓からふたつの目が覗いた
見つめあったのは起点と終点の二人
目指す終着駅には何が見えているのか
溢れ返るターミナルに向かって君は走っていた
≪逃避行 歌詞より抜粋≫
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〈ふたつの目〉、〈起点と終点の二人〉など比喩とも取れるフレーズで始まるこの楽曲は、恐らく、男女の秘密の逃避行のストーリーなのではないかなと思います。
面白いのは、ミュージックビデオに列車や登場人物と思われる者が一切出てこないで、丸刈りでサングラスをかけた赤いジャージ姿のダンサーたちが揃いも揃ってダンスを披露しているだけというところですね。
ロマンティックと表現するには程遠いです(笑)。
この後、主人公は、ターミナル(目的地)に向かって走っていた君を連れ去ってしまいます。
それだけ、君への想いが強いのでしょう。
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君とばっくれたいのさ このままばっくれたいのさ
ばっくれたいのさ このまま喜怒哀楽でさえ掻っ攫って
さぁ飛び出して 誰も知らないまだ見ぬ街へ
ばっくれたいのさ このまま まだ見ぬ街へ
≪逃避行 歌詞より抜粋≫
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お互いの過去や、正しい正しくないといったことに関しても、深く考えることなく赴くままに2人だけの秘密として、新たな世界に足を踏み入れたいといっているんですね。
行く先は誰にも知らせないけれども、主人公にとってはいま住んでいる場所より、新しく向かう先の方がきっと心地よいと内心確信できている部分があるのでしょう。
主人公が未知の世界に君を連れていくことで、君を喜ばせたいという気持ちが伝わる曲です。
「オドループ」
4つ打ちロックサウンドのなか、無表情かつ無造作の女性2人が踊りまくるこちらの楽曲は、YouTubeで2014年8月27日に公開され、現在5,100万回再生となっており、フレデリックの人気を不動のものとしました。清々しく踊るのとも違って、これまた奇妙ですが、楽曲には前向きなメッセージが込められているのです。
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踊ってるだけで退場
それをそっかそっかっていって
お幸せについて討論
何が正義なんかって思う
生意気そうにガム噛んで
それもいいないいなって思う
テレスコープ越しの感情
ロッカーに全部詰め込んだ
≪オドループ 歌詞より抜粋≫
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日常への呆れ具合が感じられます。
〈感情〉を 〈ロッカーに全部詰め込んだ〉というフレーズからは、結構な感情を一杯に詰め込んだのが伝わってきます。
これまた、すごい比喩表現ですね。
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いつも待ってる ダンスホールは待ってる
変わってく 変わってく 傷だらけでも待ってる
ほら踊ってる ダンスホールの未来に
色を塗って生きるのは あなた あなた
「ダンスは笑顔で待ってる」
≪オドループ 歌詞より抜粋≫
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ダンスを‟未来"と置き換えているともとれる歌詞です。
もしかしたら、この曲は未来を最高のものとするために、いまを楽しく生きようよというメッセージが込められているのではないでしょうか。
踊るとは、‟楽しく生きる"という意味なのでしょう。
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踊ってたい夜を知りたい
踊ってたい夜を気に入りたい
踊ってたい夜を知りたい
踊ってない夜が気に入らないよ
気に入らない夜なんてもう僕は知らない
踊ってたい夜に泣いてるなんて
とってもとっても退屈です
踊ってたい夜が大切なんです
とってもとってもとっても大切です
≪オドループ 歌詞より抜粋≫
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〈踊ってない夜〉が、大サビでは、〈踊ってたい夜〉に変わります。
きっと、生きた感じのしない退屈な日々を過ごすよりも、ダンスを踊るように忙しく生きるほうが毎日が充実するといっているのです。
そして、沢山踊った先には明るい未来が待ってるはずだよと希望を与えてくれているのでしょう。
ダンスも踊りたいから踊るのです。
人生を楽しくするなら思うがままに生きたいものですよね。
フェスなどでも彼らは観れる!
写真:『【ライブレポート】フレデリック、BPM120~140で魅了した新たな音の楽しみ方』より引用
フレデリックの「逃避行」と「オドループ」を解説しましたが、いかがでしたか?
フレデリックのサウンドとミュージックビデオの特徴は掴めたはずですので、そろそろ踊り出したくなってきたのではないでしょうか。
「オドループ」にもあったように、楽しく生きるためにも踊りましょう!
ちなみに、彼らはフェスにも意欲的なバンドですので、ワンマンライブが当たらなかった場合には、彼らが出るフェスに行ってみることをお勧めいたします。
盛り上がるためにも、歌詞の予習は忘れないでくださいね!
■UtaTenフレデリック アーティストページ
TEXT 小町碧音
歌詞の意味を解読!?厳選歌詞コラム
■【歌詞コラム】フレデリックの『リリリピート』はなぜ『リピート』では足りないのか■【歌詞コラム】ループしてオンリーワンに。フレデリックの『オンリーワンダー』