楽曲名「ロマンチシズム」の深い意味とは?
Mrs.GREEN APLLE(ミセスグリーンアップル)の9thシングル『ロマンチシズム』は、資生堂SEA BREEZEのCMソングとして書き下ろされた楽曲。
MVでは、2つの場所から同時撮影された映像を上下に分割して表示し、1つの世界を2方向から楽しめるという大胆な手法がとられています。
つい口ずさみたくなるようなメロディーと、明るくポップな曲調なため、カラオケでも盛り上がれる1曲でしょう。
楽曲名の『ロマンチシズム』という言葉には2つの意味が含まれます。
1つめは「ロマン主義」という意味で、ヨーロッパで18世紀後半から19世紀前半に起こった感受性や主観に重きをおいた精神運動のこと。
2つめは「現実から離れて空想にひたる傾向」のことです。
ポップな曲調の反面、タイトルからはやや哲学的な印象を受けますが、『ロマンチシズム』の歌詞にはどのような意味が込められているのでしょうか。
「私」「僕」「あなた」などの登場人物にも注目しながら、『ロマンチシズム』の歌詞の意味を徹底解釈していきましょう。
歌詞から私と僕の立場を考察!
----------------
「あなたって人はどんな人?」
そんな風に聞けたらな
背中押される夏の日には
鮮やかに揺れる花になろう
≪ロマンチシズム 歌詞より抜粋≫
----------------
歌詞冒頭では、主人公の恋する気持ちが素直につづられています。
相手のことをもっと知りたいけれど、なかなか話しかけられない。
でも、夏という季節はいつもとは違って、どこか勇気を与えてくれるみたい。
勇気を持って輝いて、鮮やかに揺れる花のように、もっと素直な自分になりたいと願っているのではないでしょうか。
----------------
白熊の様に
涼しげで居たいの
でもこの熱意は募る
イマドキドキドキが高ぶって
勇気を持って声掛ける
流石にそろそろ
あなたに恋する
私に気づいて欲しいのです。
≪ロマンチシズム 歌詞より抜粋≫
----------------
「白熊」は、『ロマンチシズム』のタイアップであるSEA BREEZEをイメージした言葉だと思われます。
同時に、この部分からは「何事もないように振舞いたいけれど、体は正直でドキドキがおさえられない」という主人公の葛藤する姿が読み取れますね。
そして、主人公は「恋する私に気づいてほしい」と願いながら相手に声をかけたのでしょう。
最後の歌詞では、「気づいて欲しいのです。」と「。」がついて終わっています。
前半部分では「私」を主人公にした物語が展開されていましたが、一旦「私」の物語はここで一区切りのようです。
----------------
愛を愛し
恋に恋する
僕らはそうさ人間さ
愛裏返し
故意に恋する
奴らもそうさ人間さ
≪ロマンチシズム 歌詞より抜粋≫
----------------
さて、続く歌詞からは「僕」という新たな人物が登場します。
前半部分が「私」が主人公の物語だとしたら、このパートの「僕」は物語の語り手のような存在なのかもしれません。
「愛を愛し 恋に恋する」は感情的な恋愛模様の意味で、素直に突き動かされるように恋愛をする僕らは、とても人間らしいと語っているのでしょう。
対して「愛裏返し 故意に恋する」は、いわば下心のような、裏がある恋愛を意味していると考察できませんか?
「奴ら」と雑に呼んでいるので、「僕」はこのような恋愛をする人を好ましくは思っていないのでしょう。
ただし、僕の考えはどうであれ、そんな「奴ら」もやっぱり人間だと僕は感じているようです。
誰もが生きる背景に恋愛がある
----------------
「僕って人はこんな人」
そんな風に言えたらな
頭抱える独りの夜は
濃やかに揺れる花であろう
狼の様に
強気で居たいの
でもその自信は見当たんないの
≪ロマンチシズム 歌詞より抜粋≫
----------------
2番の歌詞では「僕」を主人公とした物語が展開されます。
「僕」にも気になる人がいて、強気でいたいけれど自信がない、頭を抱える夜があるほど悩んでいるようです。
----------------
偶然?必然?
ロマンスは突然
POPSは新鮮
LA LA LA…
「運命」と思える君に巡り会えたの
若気の至りなんかじゃ決してないから。
≪ロマンチシズム 歌詞より抜粋≫
----------------
歌詞後半からは、恋に落ちた瞬間の感情の変化が描かれていますね。
恋をすると、いつもとは違う新鮮な気持ちになれたり、相手のことを考えるだけで幸せな気分になれたり。
誰しも感じたことのある気持ちではないでしょうか。
----------------
日々ヒビが入りハートが砕けて
勇気も自信も亡くすけど
挫けながらも強く生きて行ける
大人になるための毎日です。
≪ロマンチシズム 歌詞より抜粋≫
----------------
しかし、恋は楽しいだけではありません。
「僕」のように悩んで苦しいときもあるし、実らない恋だってあります。
そんな風にくじける日々もあるけれど、苦しいことを乗り越えた分強くなれる。
恋をした分大人になれると、この部分では伝えているように思います。
----------------
短い春が終わってゆく
短い夏が終わってゆ<
新しい時代と生きている
あなたに恋をする
そんな、私に気づいて欲しいのです
あなたに気づいて欲しいのです。
≪ロマンチシズム 歌詞より抜粋≫
----------------
曲の最後では、季節が移り行く様子が描かれます。
どこか勇気を与えてくれるように感じた夏も、ついに終わってしまう。
新しくやってくる季節を「私」は「あなた」と一緒に過ごせるのでしょうか。
最後の歌詞は、「私」が「あなた」に自分の想いを気づいてほしいと願って締めくくられています。
「ロマンチシズム」は人類愛を歌った曲
Mrs. GREEN APPLEのボーカルであり作詞者の大森元貴は、『ロマンチシズム』リリース時に「人類愛にフォーカスを当てて描いた曲」だと解説していました。
同時に、「誰かを想う気持ちというのは人の数だけそれぞれの形がある」とも語っています。
つまり、『ロマンチシズム』はさまざまな恋愛の形を歌った作品だと解釈できるでしょう。
「ロマン主義」には、特定の様式に縛られず感情のままに表現するという意味もあることを踏まえると、恋愛に関してもそれは同じだと伝えたかったのではないでしょうか。
人間は恋愛をせずにはいられません。
ただし、「僕」「私」「奴ら」のように人それぞれ恋愛の形や目的は異なり、他人の恋愛に対してどう感じるかも人それぞれです。
どんな恋愛をしようが、それをどう思おうが自由であって、全てひっくるめて「私達は人間だ」としているのでしょう。
ポップで明るい音楽の中に込められた『ロマンチシズム』の歌詞の深い意味、皆さんも自分の恋愛観と照らし合わせて考えてみてはいかがでしょうか。
【Mrs. GREEN APPLE PROFILE】 大森元貴 (Vo/Gt) 若井滉斗 (Gt) 藤澤涼架 (Key) 2013年結成。2015年EMI Recordsからミニアルバム「Variety」でメジャーデビュー。 以来、毎年1枚のオリジナルアルバムリリースと着実なライブ活動を続け、2019年12月から行われた初の全国アリーナツアー「エデ···