物の見方1つで変化する日常
アイデア。それは思いつきや新奇な工夫のことをいう。いつもと同じ生活の中にアイデアを見出すだけで、感じ方やいつも見ている景色も違って見えるから面白い。
アイデア
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おはよう 世の中
夢を連れて繰り返した
湯気には生活のメロディ
鶏の歌声も
線路 風の話し声も
すべてはモノラルのメロディ
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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誰かに向かって言う「おはよう」を世の中に言ってしまうところから始まる朝。
ポットを沸かした時に立ち昇る湯気をまるで楽譜かのように捉え、沸騰した時の音と朝の慌ただしさの中で聞こえてくる足音や、キッチンで朝ごはんを作っている時の音などが交わり、1つの音楽ができる。
鳴いている鶏の鳴き声、線路に流れてくる風の音と通勤時の人のざわめきが重なり合って聴こえてくる音に耳を澄ませると、これもまた1つの音楽であるかのようだ。
変り映えのない毎日でも、音楽と絡めることで新しいメロディが生まれることに気付ける。
落ち込んだ時にこそアイデアを
いつもと違った見方をするだけで、今まで自分の見ていた世界が違って見えるものだ。日常の中でも、一番アイデアを出して欲しいのは落ち込んでいる時だ。
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つづく日々の道の先を
塞ぐ影にアイデアを
雨の音で歌を歌おう
すべて越えて響け
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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「塞ぐ影」とは、困難に直面したり、悩んだりとネガティブな感情が沸き起こった時のことを表している。
「雨」は涙を表していて、悲しい気持ちになった時には歌を歌ってみようと投げかけているのだ。声を出して歌うことで、いつの間にか気持ちが晴れやかになる。
この歌詞では歌を歌うことが、沈んだ気持ちから脱出するための1つの方法として挙げているが、他の方法もあるだろう。
落ち込んだ時にこそ、どうしたら今の状況を打破できるか自分に合ったアイデアを考えて実践してみて欲しい。
人はアイデアに助けられながら生きている
歌詞全体を通して、星野 源が聴き手に伝えたかったことはアイデアを出す為に考えることの大切さだ。変り映えのしない毎日がつまらなければ、面白くなるようの物の見方を考えればいい。
落ち込んで気持ちが沈んでしまった時は、やる気を出すために何をすればいいか考えればいい。
そうやって人は、知らず知らずのうちに自分自身で自分をピンチから救い出すアイデアを出し、実践することを繰り返しながら生きているのだ。
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独りで泣く声も
喉の下の叫び声も
すべては笑われる景色
生きてただ生きていて
踏まれ潰れた花のように
にこやかに 中指を
≪アイデア 歌詞より抜粋≫
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落ち込む事があっても、その時を乗り切れば後々には“こんなことで悩んでいた時もあったな”と思えるようになる時が来るかもしれない。誰かに嫌な思いをさせられた時には、笑いながらも心の中で中指を立てられるぐらい強い自分になれるかもしれない。
『アイデア』は、今を懸命に生きる人達が、少しでもこの世の中を生きやすいと思えるようにと作られた楽曲なのだ。
TEXT 蓮実 あこ