King Gnuの『白日』の正体とは?
2019年2月にリリースされ、ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」の主題歌にもなった”King Gnu(キング ヌー)”の『白日』。ドラマの世界観に合わせ書き下ろしされたこの楽曲を読み解きながら、どうしようもなく惹かれてしまう彼らの”正体”に迫ってみました。ドラマの世界観に寄り添った歌詞
ドラマ「イノセンス 冤罪弁護士」に寄り添うように書き下ろされた『白日』という楽曲。”冤罪”をテーマにしたこのドラマの世界観にしっくりくる歌詞になっています。
『白日』ではドラマに寄り添いながら、”罪”をテーマとしてストーリーが作られています。ここからは、「白日」の歌詞を参照し、その裏にみえる思いを言葉に置き換えて紹介していきます。
【歌詞コラム】Xとは何者?King Gnuの「Prayer X」を解き明かす
白日
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時には誰かを
知らず知らずのうちに
傷つけてしまったり
失ったりして初めて
犯した罪を知る
≪白日 歌詞より抜粋≫
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この世は、根っからの極悪人も世の中にはいるけれど、そうじゃない人間がほとんどです。
ただ、自分では”罪”と思っていなくても、傷ついた人が一人でもいるなら社会的に罰せられなくたって、それは立派な”罪”といえます。
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戻れないよ、昔のようには
煌めいて見えたとしても
明日へと歩き出さなきゃ
雪が降り頻ろうとも
≪白日 歌詞より抜粋≫
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昔の記憶ほど美しいと感じるもの。どれだけしがみつきたくたって過去には戻ることはできない…。止まっていてもしょうがない…現実は辛いかもしれないけど、時は流れていくんだ。
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今の僕には
何ができるの?
何になれるの?
誰かのために生きるなら
正しいことばかり
言ってらんないよな
≪白日 歌詞より抜粋≫
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誰かのために何かをしてあげたいと思う。だけど、それってどうすればいいの?”自分”じゃなく”誰か”のためなら、不本意でもその”誰か”に合わせなきゃいけないの?
でもホントは分かってる。きっと、世の中ってそんなもんだよね。
過去は消えない
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どこかの街で
また出逢えたら
僕の名前を
覚えていますか?
その頃にはきっと
春風が吹くだろう
真っ新に生まれ変わって
人生一から始めようが
へばりついて離れない
地続きの今を歩いているんだ
≪白日 歌詞より抜粋≫
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それでも僕のすることって、その人にとっては小さな出来事でしかない。時が経っても、記憶のかたすみにぐらいは残るんだろうか?
たとえば改心したとしたって、過去の”罪”は消えない。
結局死ぬまで、ずっと一つの人生を歩んでいくしかないんだ。
この先の自分は?
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朝目覚めたら
どっかの誰かに
なってやしないかな
なれやしないよな
聞き流してくれ
忙しない日常の中で
歳だけを重ねた
その向こう側に
待ち受けるのは
天国か地獄か
≪白日 歌詞より抜粋≫
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馬鹿げたことかもしれないが、いつの間にか生まれかわんないかな…。全く別の自分に…。
せかせか仕事して、あっという間に歳とって。
それから…この先の自分は?
英雄?それとも罪人?見えないからコワイよ…。
人の気持ちなんて分かりゃしない。自分のことでさえよく分かってないのに。それなのに人間は欲しがるんだ。
あの時こうしてれば良かったなんて…数え上げればキリがない。そんなの僕だけじゃないでしょ?ホント嫌になっちゃうな…。
人間の”弱い部分”を赤裸々に
ここまで『白日』の歌詞を読み解いて分かったことがあります。それは、この曲の歌詞は、誰もが避けて通るような人間の弱い部分を赤裸々にリアルに正直に書いているということです。
傷をつけてしまうこと。これを罪といってしまえば罪。罪と言われてしまえば、ちょっと大袈裟じゃないかって思うけれど、そんな風に”小さいこと”だと思っていること事態がもはや罪で、そんな小さな罪が積み重なり、やがては大きな罪になる。
私達は知っているけど知らないフリしてしまうことや、なぁなぁで生きてしまっている瞬間がある。King Gnuが『白日』でいいたかったこととは、”罪”って誰の心の中にも大なり小なり存在してるよってことだと思います。
周りを巻き込む”King Gnu”の群れ
最初は”Srv.Vinci”という名で活動していたこのバンド。現体制になったのは2017年ことで、同時に”King Gnu”というバンド名になりました。メンバーは常田 大希(ヴォーカル・ギター)、勢喜 遊(ドラム)、新井 和輝(ベース)、井口 理(ヴォーカル・キーボード)の4人で構成されています。
メンバーの常田はリーダー兼プロデューサーで、すでに業界では要注目の人物です。米津玄師のアルバム『BOOTLED』ではプロデュース・ギター演奏としても参加するほどの人物なんですよね。
他のメンバーはというと、『白日』でヴォーカルを務めている井口 理。リーダーの常田とは幼馴染という間柄だそうですが、この歌唱力は圧巻!一度聴いたら耳から離れない。どことなく儚く胸を締め付けるようなファルセットがKing Gnuというバンドをより印象的に導いてくれていると感じます。
これほどのまでの歌唱力を持ちながら、舞台俳優として活動しているところは、他とはちょっと違う匂いを感じてしまう部分であり、才能を感じざるおえません。
King Gnuメンバー各自の音楽性が混ざっている
King Gnuのメンバーの音楽性はそれぞれバラバラ…。常田はチェロを専攻していただけあって、クラシックが土台となっているし、ドラムの勢喜はブラックミュージック、ベースの新井はジャズ、井口はジャパニーズポップスやフォーク!
これだけ比較しても、”なんでこんなに音楽性バラバラな人たちが集まったん?!”と不思議ですよね。(笑)
でもね、この4人が一緒なのは”目指しているもの”なんです。自分達で”日本のポップス”を作り上げるという目標が、ブレずにはっきりとしている所が素晴らしい!!こういった発想をもつことにより、新たな音楽が確立されていくものなのかもしれませんね。
自身ではKing Gnuのの音楽スタイルを”トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル”と呼んでいるそうです。
確かに、これまでに生まれてきたどの音楽の何にも似ていないし、日本のポップスともちょっと違う!
なるほど…”トーキョー・ニュー・ミクスチャー・スタイル”。まさに、この通りですね!(笑)
東京藝術大学出身で独自の活動を展開するクリエイター常田大希が2015年にSrv.Vinciという名前で活動を開始。 その後、メンバーチェンジを経て、常田大希(Guitar/Vocal)、勢喜遊(Drums/Sampler)、新井和輝(Bass.)、井口理(Vocal/Keyboard)の4名体制へ。 SXSW2017、Japan Nite US Tour ···
2019年は”King Gnuスタイル”で決まり!
毎年毎年、”今年の注目アーティストはこれだ!”なんて特集が組まれて、そのアーティストの特徴なんかが紹介されるケースがありますね。
けれど、今回だけは本気の本気で猛プッシュさせてください!笑
今までには存在していなかったスタイルのバンド「King Gnu」。小難しくなくって、新しさもありつつ、なんか懐かしい古さもある。
ただの洋楽の真似っ子はしてないし、かといって今まであった日本のポップスともちょっと違う…。おまけに、ストリングスが効いてるところは、年配にも受け入れやすい!(笑)
と、これだけでは全然セールスし切れないです!”King Gnu”って一見今風のグループ名に惑わされずに、一度聴いてみてください♪♪
あ…前後してしまいましたが、”King Gnu”って名前の由来は動物の”ヌー”。群れになって移動するヌーをイメージして、周りを巻き込んで大きなヌーの群れを作りたいんだそうです。
皆さんもその群れの一匹になってみませんか?
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TEXT 時雨