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サザンの歌への傾倒ぶりを「セカチュウ」で表現した平井堅の想いとは?

平井堅はサザンオールスターズに憧れてミュージシャンを目指したアーティストです。筆者は2度、平井堅の単独インタビューを行った過去があります。今回は、以前に御本人からこっそり聴くことができたイロイロな想いとエピーソードを少しだけご紹介します。そのあたりを、チョイとお話させていただきます。

サザンの「旅姿六人衆」って何だ?


1997年に私は平井堅に初めてインタビューを行ったのです。

当時の平井堅は1994年にデビューして以降、なかなか売れない時期が続いていました。1stシングル『Precious Junk』、2ndシングル『片方ずつのイヤフォン』…と鳴かず飛ばずの時期が続きました。

しかし、彼は心が折れることなく、歌い続けた。そんなハートの強い平井堅が唐突に私にこう言いました。「サザンオールスターズがメッチャ好きやねん。」臆面もなく、突然に。

「では、サザンの歌では何が好きですか?」と聞いたら、「そんなんいっぱいある」とかえってくる。「そんな中でもナンバーワン・フェイバリット・ソングは?」と聞くと、「サザンのアルバム『綺麗』のラストナンバー『旅姿六人衆』や。」と彼が教えくれたのです。

なんだってー!?と衝撃を受けたのを昨日のように覚えています。『瞳をとじて』はパクリだった!?

さらに、驚いたのは、映画「世界の中心で、愛をさけぶ」の主題歌を、映画配給の東宝から依頼を受けて作り上げた本曲は、歌詞内容は別にして、何とサザンの『旅姿六人衆』と、コード進行・メロディーライン共に、とんでもなく似ているのでありました。

おいおい、そんなんパクリじゃないかと思われるでしょうが、この音楽業界では、まま、実はよくあることなのです。

一部、問題化したこともありますが、それはそれ。リスペクトするアーティストとよく似た楽曲を披露し、それが売れることは仕方がないというか、メロディの限界度合いがある現状においては、見て見ぬふりをするのが、ずーっと続いているのが現状なのです。

それについては、当事者同士で.話し合ってもらいましょうのレベルなんですよ。でも、歌詞は違う。そこんとこははっきりしています。

内省的歌詞で勝負

瞳をとじて


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瞳をとじて 君を描くよ それだけでいい
≪瞳をとじて 歌詞より抜粋≫
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サザンの『旅姿六人衆』なる、演歌まがいのタイトル曲に魅せられた平井堅ですが、しかし、歌詞部分では、原作と映画の「世界の中心で、愛をさけぶ」に順応した内容になっています。

但し映画では、原作とは違う前向きなところを打ち出していたけど、原作通りをイメージした平井堅の歌詞では、その前向きさが反映されていません。むしろ、内省的な愛の完結編になっています。死んだ人を想うだけの、一人合点になっているのです。

メロディアス・バラードの粋は同じ


サザンオールスターズの歌では、こういう愛する人を亡くした悲しみとか、死んだ人に想いを捧げるキモチとかとは無縁です。

しかし、平井堅は「セカチュウ」のオファーがあったからか、その点を踏まえた上で作詞を心掛けて、サザンとは違う面を強調したようです。それでも、サザンへの傾倒ぶりは隠しきれない。

同じコード進行、同じようなメロディは厳然としてあるのですが、サザンの桑田佳祐からは何の訴えもありません。

とゆうか、平井堅とサザンの桑田佳祐は、今や飲み友達の関係にあります。全てはそんなんで収まっているのが現状ですが、何はともあれ、新しいメロディを作るのはメッチャ難しい。

けど、歌詞はメロディとは別の領域にあります。同じようなメロディでも、全く違った世界が見えてくる。

それが言葉の綾であり、レトリックなのでしょう。『旅姿六人衆』も『瞳をとじて』も、そんなこんなに関係なく、リッスン・トゥ・ザ・ミュージックして酔いたい楽曲です。

TEXT 宮城正樹

三重県名張市出身。1995年デビュー。2019年12月発表の最新シングル「#302」を含め46枚、最新アルバム『THE STILL LIFE』含めオリジナルアルバム9枚をリリース。 歌謡曲は勿論のことR&B、POP、ROCK、HIPHOP、HOUSEなど多種多様なジャンルに傾倒し、数多くのヒット作品を輩出。累計3,000万セールス···

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