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■SUPER BEAVER「らしさ」MV
矛盾の世界
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自分らしさってなんだ?“人とは違う”で差をつけろ
コンビニの雑誌コーナー 表紙に太字で書いてあった
自分らしさってなんだ? こどもの頃は気にもせず
気に入らなければ怒って 好きなものを好きだと言って
僕らは変わっていく 守りたいものが変わっていく
理解されない宝物から 理解されるための建前へ
おとなになるほど 後悔する生き物になる
でもね それでもね 見えるものがあるんだよ
≪らしさ 歌詞より抜粋≫
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将来のことを考える年齢になり、自分は何が得意か?自分の長所は?今まで何をしてきたか?などという答えを求められる機会が増えた。
20年という歳月が長いと感じるか短いと感じるかは人それぞれだ。
しかし、私にとって体感的には短かったが、この20年を簡易的な言葉で制限時間内にまとめられる自信は毛頭ない。
だからこそ、自分らしさとは何か自問自答するこの歌詞には、ワンフレーズで引き込まれた。
こどもの頃はまったく気にしなかったのに、おとなになるにつれて周りの目を気にして生きるようになる。
自我が強く芽生えたり、周りの環境が変わったりすることで、自分自身も知らず知らずのうちに変わっていく。
本音より建前の方が求められるくせに、人とは違う自分らしさも求められる。
そんな矛盾ばかりの世界に嫌気が差す。
でも、それでも、見えるものがあると彼らは希望を歌う。
パズルピース
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だから 僕は僕らしく そして 君は君らしくって
始めから 探すような ものではないんだと思うんだ
僕は君じゃないし 君も僕じゃないから
すれ違う 手を繋ぐ そこには愛だって生まれる
そういうもんさ 自分らしさってなんだろう
変えられない 大切があるから 変わりゆく 生活が正しい
≪らしさ 歌詞より抜粋≫
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人と人との関係の多くは、互いにないものを自然と埋め合おうとすることから始まる。
恋愛関係でも友達関係でもそうだ。
互いに歩み寄ることで、その人の魅力がわかる。
パズルピースのように凹んでいる部分、出っ張っている部分。
互いに埋め合ったものこそがその人の"らしさ"である。
難しく考えがちだが、本当はそんな単純なことなのである。
自分の中で核となるいつまでも変わらない大切なものがあるからこそ、それを守るために変わりゆく生活はむしろ正しいことなのだと歌っている。
難しい言い回しや、回りくどい言い方がない。聴きやすい。真っ直ぐであたたかい歌詞だ。
目に見える大切
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個性を出さなきゃいけない そういう流行の無個性で
悟ったように 一歩引いた 匿名希望の傍観者
ちょっと待ってよ 星空は 変わらずあの日と同じだよ
理解されずとも宝物は 今でも宝物のはずでしょう
≪らしさ 歌詞より抜粋≫
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個性を出さないといけないという風潮自体が主流になってしまって、むしろ個性を出すことが無個性になってしまったのではないか。
時代はそんな風に変わってしまったかもしれないが、小さい頃に見た星空も、大切にしてきた宝物も、変わらず今でも大切なはずである。
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変化が怖くて 変わらぬ日々も嫌いで
変わりたくて 変われなくて こどもの頃を思ったりもして
見失いそうで 自分である意味とか
コンビニで目にした太字を 気にしてたんだろう
でもね それでもね 見えるものに気付いてよ
≪らしさ 歌詞より抜粋≫
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本音と建前。
個性と無個性。
変化が怖いのに、変わらない毎日も嫌い。
常に相反する二つの感情に板挟みになっている。
見えないものに怯えながら過ごすことが多いけれど、目に見える大切なものに気付いてよ、と歌う。
本当のらしさ
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だから 僕は僕らしく そして 君は君らしくって
始めから 探すような ものではないんだと思うんだ
僕は君じゃないし 君も僕じゃないから
すれ違う 手を繋ぐ そこには愛だって生まれる
そういうもんさ 自分らしさってなんだろう
変えられない 大切があるから 変わりゆく 生活は正しい
変わらない 大切があるから
≪らしさ 歌詞より抜粋≫
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最後のサビだ。
自分の目で見える、触れられる、聴ける、そんな変わらない大切が誰にだってあるだろう。
確かに目に見えないものは怖い。
誹謗中傷、名誉名声、愛憎。
目に見えるものよりずっと、心にずっしりと圧し掛かることを、人は経験として知っているのだ。
しかし、本当に大切にしなくてはならないのは、そんな見ず知らずの他人からの評価だろうか。
目の前にいる家族、友達、恋人でもいい。
大切にしているぬいぐるみでも洋服でもいい。
何度も聴いたCDでもいいだろう。
その目に見えるすべてが、"らしさ"を形成する土台になっているに違いない。
人と人との間を埋めるパズルピースや、実際に目に見える大切なものが、その人自身の"らしさ"である。
TEXT 坂倉花梨
SUPER BEAVER(スーパービーバー)。 渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(G)、上杉研太(B)、藤原“35才”広明(Dr)の4人によって2005年に東京で結成された。 2009年6月にEPICレコードジャパンよりシングル「深呼吸」でメジャーデビュー。 2011年に活動の場をメジャーからインディーズへと移し、···