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恒例の忌野清志郎追悼ライブには著名人が勢揃い!
忌野清志郎が亡くなって、はや10年が経ちました。命月命日である5月2日には、恒例となる追悼ライブ『忌野清志郎ロックンロールショー』が開催されました。
今年は10年の節目で「Final」ということもあり、ゲストもミュージシャンだけにとどまらず、そうそうたる著名人が集結したのです。
忌野清志郎が書く曲には必ずメッセージが含まれている
さて、忌野清志郎が書く歌詞にはさまざまなパターンがあります。純粋なラブソングがあるかと思えば、権力者に対する反発ソングや、素直な叙景的・叙情的な曲などです。
ただ、ひとつ言えるのは、彼が書く曲は、必ず何らかのメッセージを含んでいる、または含んでいると感じさせるのが特徴です。
時にはストレートに、時には比喩だらけに、そして時には皮肉を入れる。
その技法は芸術といっても過言ではないでしょう。
現実に直面する大人の心境を歌った曲
今回紹介する『空はまた暗くなる』も、実は清志郎らしいメッセージがふんだんに隠されている曲です。一般的にメッセージソングとは、"夢を大きく持てば怖いものなんて何もないよ!"などの「夢見るパターン」が多いように思います。
しかしこの曲はその逆。
夢と現実は明らかに別物であって、"現実はそんなに甘くない。大人であればそんなの常識。"ということを歌っている曲です。
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おとなだろ 勇気をだせよ
おとなだろ 知ってるはずさ
悲しいときも 涙なんか
誰にも 見せられない
≪空がまた暗くなる 歌詞より抜粋≫
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大人でもある以上、なんからの失敗をしたときは悲しんだり悔やんだりしてしまいます。
しかし、同時に大人だからこそ、それだけでは何も解決しないことくらい知っています。
「大人なんだから泣いたって何も解決しない。
分かっているだろう?もっと勇気をだせよ!」
そういった歌い出しから曲が始まります。
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おとなだろ 勇気をだせよ
おとなだろ 笑っていても
暗く曇った この空を
かくすことなどできない
≪空がまた暗くなる 歌詞より抜粋≫
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「勇気を出せばきっと晴れるよ!」のようなおとぎ話の世界は、大人の現実に存在するわけがありません。
ちなみに、「暗く曇った空」は、「失敗」、「戦争」、「災害」などのことを言っているのではないかと推察しました。
サビの歌詞ではじめて希望の光が差し込む
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ああ 子供の頃のように
さあ 勇気を出すのさ
きっと 道に迷わずに
君の家にたどりつけるさ
≪空がまた暗くなる 歌詞より抜粋≫
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歌詞は、ここで初めて希望の光を照らしてくれます。
「子供の頃、転んだり怪我したりしても、めげずに1人で泣きながら家に向かったあの頃…その時の気持ちのような勇気を出せば、きっと次の改善策が見つかる!」
いかにも清志郎らしいセンスを感じます。
大人であるからこそ理解できる現実がある
----------------おとなだろ 勇気をだせよ
おとなだろ 知ってることが
誰にも言えないことばかりじゃ
空がまた 暗くなる
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知っている情報をやたらとしゃべってはいけないということは、もはや大人にとって常識です。
それは、サラリーマンでも、社長でも、官房長官でも、大統領でも、みんな同じなのです。
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おとなだろ 知ってるはずさ
悲しいときも 涙なんか
もう二度とは 流せない
悲しときも 涙だけじゃ
空がまた 暗くなる
≪空がまた暗くなる 歌詞より抜粋≫
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「大人は、泣いたって何もかわらない。
泣いただけでは空がまた暗くなってしまうだろう。
でも、そんなことはよく知っている…だって、大人だから。」
そんな気持ちを表現して曲はエンディングへと移行します。
突然にメンバーが脱退するという現実
この曲が収録されている『Baby a Go Go』は、RCサクセションのメンバーが相次いで脱退した時期です。キーボードロボットのゴン太2号はアルバム制作前、ドラムスの新井田耕造はなんとアルバム製作途中に脱退してしまいます。
理由はなんであれ、RCサクセションの歴史の中では最も大変な時期だったいえるでしょう。
しかし、清志郎を始め、残されたメンバーたちは「大人」です。
予定通り、アルバムを完成させなければなりません。
結果、忌野、仲井戸、小林という「古くからのダチ」の3人でアルバムを完成させます。
そして、事実上、これがRCサクセションでは最後のアルバムとなるのです。
清志郎のご逝去こそがまぎれもない現実
子供と違い、大人は現実の中で生きて行かなければなりません。もし、空が暗く曇ってしまったら、それは現実であり、誰にも元に戻すことなど出来ないのです。
大人であれば、それは誰でも知っています。
それでも、そんなことに悲しんでいてはいけません。
それはなぜか…。
「大人」だからです。
清志郎のご逝去は現実以外の何者でもありません。
映画やゲームのように、蘇らせることなど不可能なのです。
そんなことを考えながら、彼が亡くなったとき、私は1人、この曲を何度も繰り返し聴いていました。
TEXT 猫あられ