アンジュルムの2015年7月発売の楽曲『七転び八起き』
『七転び八起き』とはこのグループそのものを表しています。
アンジュルムというグループ名がまだ浸透していない感じがありますが、もともとこのグルプーは「スマイレージ」からの改名。スマイレージとして2009年にスタートしたこのグループは、2014年12月に「アンジュルム」に改名しました。メンバー変更で人気の変動が起きたこのグループ。現在は1~3期の合計9人体制です。
“まわる まわるよ 風車だよ 赤 シロ 羽が踊ってる
速く走ってスピード出せば ピンクになっては転ぶ
七転び八起き 希望がふいに絶望
底から そこから 這い上がってみせろよ“
冒頭のこのフレーズが、このグループを象徴しています。
スマイレージとしてめでたくデビューし、2010年には日本レコード大賞最優秀新人賞受賞。赤白の「風車」が回るかのごとく「紅白」も狙えるかと勢い「スピード」出して「踊って」みたが、実体はまだ「赤子」同然、「シロウト」のようなコメントしかできなかった実力。「日本一スカートが短いアイドル」という「ピンク」なイメージで売り出すも、あいついで人気メンバーが卒業し、新たに入ってきた2期は不評。つんくから「チケット売れてません!」と公開ダメ出しされ、まさに「希望がふいに絶望」になる瞬間を味わったグループです。
しかし「そこから」、「底」の状態からメンバーは実力をつけていき、徐々に「這い上がって」くるのです。
“回り道でも たどりつければいいじゃない
最後の最後に笑えば
明日のことよりも 今日が大事
バカなふりばっかりしてるヤツが いいヤツだったりするんだ
七回目転んだら One more time! 次がチャンスだよ!“
サビ始まりの「回り道でも たどりつければいいじゃない」。この歌詞のとおり様々な「回り道」を走り続け、2014年には武道館公演できるようにまでなりました。「回り道」でも「たどりつけ」たグループの歌。
「バカなふりばっかりしてるヤツ」は全体的ににぎやかな2期メンバーのことでしょう。3期が入ってきた時に「可愛い」と褒めたたえ、自分達2期メンバーは「フェイスの問題とかあった」という自虐ネタで笑わせます。実際、2期メンバー加入当初は「顔が可愛くない」という心無い批判が多くありました。本人達も傷付いたであろう出来事を自ら笑いに変える発言。ファンはそんなメンバーの「いいヤツ」な姿に感心します。
サビの終わりの「次がチャンスだよ!」のフレーズ。
「次がチャンスだよ!」1回目を2期の田村が歌い、「今がチャンスだよ!」を2期の竹内が歌い、そして最後の「次がチャンスだよ!」を新しい3期の室田が歌います。これはこのグループの意志を引き継いでいる意味があるんですね。
曲が全て終わるラスト直前で現リーダー1期の和田が「七転び八起き」とダメ押しでささやきます。このグループは何度転んでも必ず起き上がるとリーダー自ら静かに宣言しているのです。
『七転び八起き』とは、ただのことわざタイトルの曲ではないんですね。
TEXT:改訂木魚(じゃぶけん東京本部)