“病んでいる"を深く意識しないけど、それが当たり前となっている
――『SICKTEEN』というタイトルは、どのように出てきたものなのでしょうか?さなり:みんなで相談して、どういうのにするか、という話がありまして(笑)。「これがいいんじゃないか?」って感じで。
僕が16歳だし、その綴りを、“X"の部分を“CK"みたいに変えたら、カッコよくない?みたいに。
――では、自分自身が病んでいるとか、病気といったところは、それほど意識しているものでもない?
さなり:それほど深くは意識していないですね。でも意識の奥というか、そこにはそういうのもあったから、タイトルをそうしたほうがいいんじゃないかという話にもなりましたし。
曲としてそんなに意識してないわけじゃないけど、そもそも意識というか、その“病んでいる"という感じは、常にあるものなので。
――今回のアルバムには“すぐに病んでいると思われがちな、この社会に…"というキャッチフレーズがあります。
実際、さなりさんご自身としてはいかがでしょう?ご自身の年代は、病んでいると言われがちだと思います?
さなり:確かに、言われがちなんじゃないかと思います。
――そう思われていることを、さなりさんご自身はどのように思われているのでしょう?現在、16歳という年齢ですが。
さなり:でも、結構当たり前になってきているというか、別にそれが当たり前というか。病んでいると見えるのが当たり前みたいな。
――さなりさんとしては、今16歳という立場で、大人からどんな風に見られているんだろう?ということを、意識したりすることは、ありませんか?
さなり:そんなことは…多分考えたことはないです。
――例えばこのアルバムを聴かせていただいて感じたところとしては、これは何だかさなりさんご自身が感じたところでもあるのかと思うのですが、例えば頭の「Prince」「タカラモノ」って、言葉の端々に“love"という単語があります。
誰かのことを好きになっちゃうみたいなところがあるのかな、と。その一方で「嘘」「Mayday」といった曲には、生きづらさみたいなメッセージを訴えているような雰囲気があるのかと思いました。
でも実際は、あまりそこまで考えずに出たのでしょうか?
さなり:まさしく、そこまで全然考えずに出ちゃったというか(笑)
――全体を総じて客観的に見ると、表現としてはどちらかというとネガティブな印象に落ち着いているような感じでもあります。
なにかを表現をしようと思ったときに、前向きなものが出るのか、それとも後ろ向きなものに行きがちなのか…
さなり:まあ、完全に後ろ向きなほうですかね(笑)。基本的に全部後ろ向きなんです。自分としてはそれほど後ろ向きというか、ネガティブだと思っていなくて、それが普通だと。
だからその闇にも通ずるんですけど、“病んでいて当たり前"って。
――なんか世のメディア的に見ると"後ろ向き"と言われちゃうけど、自分的には全然普通的な話なんですよ、という感じで?
さなり:そうですね。物語とかでも、例えばバッドエンド、ハッピーエンドよりのバッドエンドが好きというか。どちらかというとバッドエンドが好きですね。ネガティブな、暗い終わり方のほうが好きなんです。
――詞の中に出てくる表現というのは、どんなところから湧いて出てきたのでしょうか?
さなり:アニメだったり、映画だったり…
――アニメも結構好きですか?イチオシ作品は何でしょう?
さなり:『コード・ギアス』シリーズですね。
――筋金入りですね(笑)。そういうところからの影響は、結構多いですか。
例えばそれは、アニメに出てくるキャラクターの心理的な部分を突いて、という感じで?何か、自分に共感するところもあるのでしょうか?
さなり:そうですね。それはあると思います。影響もあると思います、アニメとか映画とか。
まあ普通にリアルでも、いろんな面白いことも多くて。リアルの恋愛とかでも、同じ関係とか、いろんな人間関係とかでも、やっぱりそこから影響されて、みたいな。
――では、ちょっと話を変えて、今回のアルバム作りというか。先にリリースされた『ただのスパイス』『Prince』『悪戯』『キングダム』といったものも含め、曲作りという部分ではなんらかのコンセプトがあったのでしょうか?
さなり:いや、というよりは“好きなこと、やってみたいことをやろう"というのが。本当にいろんなジャンルに挑戦というか。全然“ヒップホップ"というポイントに限らず、いろんなジャンルがあって、ロックだったり。
――曲調で特徴というと、9曲目の『キングダム』や10曲目の『Never End』あたりは、わりとメタルやグランジっぽい感じもありますよね。
さなり:そう。だから、今挑戦してみたいジャンル、今の感情にあったような曲調とか、本当に今やってみたいことを詰め込んだものだったり、ごちゃまぜな感じなんです。
――最後にポジティブな『BRAND-NEW』みたいな楽曲ができたいのは、なにかきっかけがあったのでしょうか?曲調としてはMEGさんがトラックを作られていますが。
さなり:いや、それは曲調に合わせて書いたところもあるんですけどね。歌詞は最後に書くし。
――でもいかがでしょう?ご自身で書いて、自分の知らない自分を見つけた、みたいな…
さなり:まあでも完全にフィクションで書いているものも、これまでにはありますしね。「BRAND-NEW」でも、「結局、一人歩いていくんだ」と書いているから、そこにちょっと孤独感というか。ちょっと暗くて。明るさの中に、そういう暗い感じが残っている、みたいな。
だから、自分で書いている、解釈、自分で書いている身としては、そんなに変わった印象はないんですけどね。