しかしその奥には、ユニゾンらしい一種の『優しさ』が感じられる。
「マイノリティを切り捨ててしまう現代に息づくマイノリティ達」に向けられたユニゾンからのメッセージとは?
UNISON SUQUARE GARDENとは
UNISON SUQUARE GARDEN、通称ユニゾンは、斎藤宏介(Vo.&Gt.)、田淵智也(Ba.&Cho.)、鈴木貴雄(Dr.&Cho.)が 2004年に結成したスリーピースロックバンドだ。
UNISON SUQUARE GARDENの楽曲は、ロックでありながらポップでもあり、その個性が織りなすグルーヴは、強烈なキラーチューンを多く生み出している。
結成15周年を迎えるUNISON SUQUARE GARDENはこれまで多くの楽曲を世に発表してきた。
UNISON SUQUARE GARDENが2016年にリリースしたアルバム『Dr. Izzy』には、『シュガーソングとビターステップ』や『mix juiceのいうとおり』など、いわゆる『ポップなユニゾン』の要素が多分に盛り込まれている。
これらのようなポップでキャッチーな楽曲に「ユニゾンらしさ」を感じる方も多いだろう。
しかし、『Dr. Izzy』に収録されている『マイノリティ・リポート(darling, I love you)』には、一概に『ポップ』とは分類できない、ユニゾンらしい『捻くれた優しさ』が盛り込まれている。
『マイノリティ・リポート(darling, I love you)』の歌詞の考察を中心に、一目では分からないUNISON SUQUARE GARDENの深層を覗き見してみよう。
切り捨てられた『異端』の嘆き
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無謀的展望視感症 もうカウンセリング不発で
診断は"異端"に落ち着いちゃって
ICU も熱暴走 超局所麻酔もう 20 発 say NO 言えないで
くたばっちゃって少数派 小数は 切捨てちゃってさ
委細平穏な静養が送れるシステマティック
事件の首謀参謀相貌を炙り出してしまうには
10.5 時間ぐらいじゃ 到底足りない相当緊急事態
I love you, darling. 僕の言葉は虚しく
モノクロめいた過去でくすぶり去っていくだけ
こんなはずじゃなかった 夢の中なら良かった
世界は順調に成長をしてるけど 敬虔なる被疑
≪マイノリティ・リポート(darling, I love you) 歌詞より抜粋≫
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『マイノリティ』と一口に言っても、その中には様々な人が存在する。
例えば、同世代のほとんどが会社勤めをしている中、『音楽』という不確かなものを生業にしているミュージシャンも『マイノリティ』の一つだ。
「世間一般と比較して特殊な人」と言ってしまえばそれまでだが、その中には紛うことなく個人の意志が息づいていることを、マジョリティは失念しがちだ。
「天才肌」「芸術家気質」「特別」そう分類してしまうことは簡単だが、そうして『異端』となったマイノリティに手を差し伸べてくれる存在はあるのだろうか。
マイノリティが切り捨てられた世界は平らになっていくけれど、その平穏な世界に住むマジョリティは、まるで理由のない信仰に従って無実の人間を罪人のように扱っているようにも見える。
『マジョリティ』への警鐘 その先には何が待っているのか
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真相究明痴呆症 連帯感に罪悪感 自在に薄まって のっぺらぼうで
深層心理もがらんどう さしたる信念もありはしないの 施策を考案中も
即効性 兆候性 見込みも無い上
血気連中は一斉に白い目を量産していく
事件は随時進行中でもう後がない 自浄には
10.5 ヵ年ぐらいは 到底見ておいて損はしない
≪マイノリティ・リポート(darling, I love you) 歌詞より抜粋≫
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母数が増えれば増えるほど、マジョリティの「弱い者イジメ」という自覚は薄れていく。
「みんながそうしているから」
そう言って行動するマジョリティがほとんどだし、もしかしたらその自覚もない者もいるだろう。
それでも、無尽蔵に力と熱だけを増幅させたマジョリティは、次の『異端』を探し出して切り捨てるのだ。
『マイノリティ』でも『独りぼっち』じゃない
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I miss you, darling. やつらの声は無情にも
カラフルめいた空で正解の名を語ってる
依然もうタイトロープ 火をつけるショートホープ
くゆらせる 待ちわびる それしかもうないんだけど
I love you, darling. 僕の言葉を聞いてよ
ホンモノめいた世界でニセモノだって言われても
琴線に引っかかった 独りではない気がした
そんな十中一二の確率で出会えたら
事件は順調永劫進行中だとして 問題はあるかい?
≪マイノリティ・リポート(darling, I love you) 歌詞より抜粋≫
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『マイノリティ』であることへの『嘆き』と『マジョリティ』への『警鐘と皮肉』を歌った「マイノリティ・リポート(darling, I love you)」。
UNISON SQUARE GARDENが『マイノリティ』の側に立って叫ぶメッセージは、「マイノリティを理解してくれる人を待つしか、僕らにはもう手がない」そう分かっていても、聞いて欲しい言葉を訴え続けてしまう、そんなふうに不器用にしか生きることができない『マイノリティ』に対し、「少数派だけど、独りじゃない」と、強く訴えている。
「マイノリティ・リポート(darling, I love you)」は、明確に誰かに向けた応援歌というわけでない上に、一聴すると、マイノリティがマジョリティを突っぱねて排他的に生きていくという鋭利な印象を受ける。
しかし、その実そうやって強がって『マイノリティ』という立場で奮闘している人を優しく鼓舞してくれる曲でもあるのだ。
TEXT DĀ
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