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【インタビュー】INORANが語る2019という「場所」 元号が変化して見えた未来 (1/2)

LUNA SEAのギタリストであるINORANが8月7日に、12枚目のアルバム『2019』をリリース。ソロ作品12枚目にして、『2019』というタイトルを掲げたのは、果たしてどんな意味から生まれたのか。INORANの今の率直な想いを伺った。
ひとことで言うなら、紳士──初対面でのINORAN氏への印象だ。仕草や言葉もじつにしなやかで、周囲へのさり気ない気遣いも自然だ。身を委ねたくなるようなムードを作り出す。

このムードは、新作『2019』の魅力に直結している。聴き手のシチュエーションを選ばない包容力が作品の軸になっている。



場所、時間、気候、環境を選ばない、聴き手の「今の場所」に在る「音楽」を探す旅。エスコートするのは、INORANという実績と知識を持つジェントルだ。

曲の鮮度を大切にしたい

──『2019』は、どのようにして制作していきました?

INORAN:ソロの作品は、だいたい1年に1回ペースでリリースしてるんですけど、僕の曲作りのパターンって、レコーディングに入る何週間か前から一気に作っていくんです。曲を書きためるってことをしていないんですね。だから、前のアルバムを出してツアーに出た後の、半年~8か月くらいに、思ったこと、経験したことを詰め込んで数週間で一気に作っているんです。


──なるほど。意識してそういう手法を?

INORAN:そうですね。作ってから……完成するまでに、時間が経過してしまうと、自分の中で新鮮さが無くなってしまうんです。自分の中で鮮度を大切にしたいっていうのがある。だから一気に作ることが多いんですよね。


──今言った「鮮度」が音楽に対してのモチベーションにも?

INORAN:そうですね。キャリアも長いので(笑)こう……鮮度が無くなったとしても、ある程度はうまく出来ちゃうんですよ。でも、それじゃあやっぱり面白くないし、曲が出来た時の気持ちや、曲が持ってる本当の良さをこねくり回したくない。


──ある意味、パンクな作り方、ですよね。

INORAN:そうですね(笑)。衝動だったり、その時、言いたいことであったり。そういうものを込めないとダメだと思うから。今の時代、何でもうまく出来ちゃうじゃないですか。


──はい。曲作りひとつとっても、ソフトの進化が凄まじい。

INORAN:そうそう。例えば、料理だってそうじゃないですか。野菜が傷んだら、茹でたり炒めたりして、食べられるようには出来る。でも、その素材を買った時、手に取った時の気持ちを大切にしたいっていう。「これどういう風に食べてやろう」みたいな。


──あぁ、これすごい野菜だぞ、どうしよう、みたいな。

INORAN:そうそう。自分にとっては、その驚きが重要なんですよね。これは、長年の活動の中で、そういう作り方になっていったんですけどね。ミュージシャンである自分は、どういうポジションなんだろうとか、何故ミュージシャンとして自分が存在するんだろう、とか。曲作りにしても、活動にしても、最大のプライオリティをどこに持って行くか。そこを考えた時に、今の作り方が1番ベタ―だったっていう。


LUNA SEAの作曲期間に作った曲もある



──新作『2019』の制作も、基本はそのスタンスで挑んだと思うのですが、何かいつもと変わったことはありました?

INORAN: 今回は、LUNA SEAのニューアルバムと同時進行だったんですよね。LUNA SEAと、ソロの曲を一緒に作っていた。なかなかこういう機会ってないと思うんですけど(笑)、でも、自分のなかでは、区分けしたくないな、と。こっちはLUNA SEA、こっちの曲はソロ、みたいに、分けて作りたくなかった。本来なら、自然に分けちゃうと思うんだけど、それをしないとどうなるんだろうって、思ったんですよね。

だから、やってみたかったというか、あえて、そうしたんです。だから、LUNA SEAの作曲期間に作った曲も、今回の『2019』に入っていたりするんですね。珍しい機会だから、楽しみながら出来たらいいなって感じで。実際、両方の曲とも、結構楽しんで作ることが出来たかな、と。


──アルバムタイトルについては?

INORAN:いつも作っていく中で出てくるんです。今回もそうだったんですけど、でも、なかなかいいタイトルが浮かばなくて。ちょっと苦戦しましたね(笑)。でも考えている中で「あぁ、今この(タイトルを考えてる)時間」が意味があるんじゃないかなって思った時に、『2019』ってタイトルが浮かんで。


──なるほど。“今この時間”という意味で言えば、2019年は、元号が変わった年でもありますね。

INORAN:そうですね。これまでも元号が変わる瞬間っていうのは経験しているんですけど、今回は、これまでとは違った形だったっていうのもあって、元号が変わったことで、世の中が明るくなったように思ったんですよね。自分でも、変わる瞬間をいい感じで実感出来たっていうか。だから「いい年なんだろうな」と思ったし。自分のキャリアの中で(元号が変わる)タイミングがわかる印にもなるかなと思って。『2019』ってつけました。


──明るくなったイメージを詳しく聞いてもいいですか?

INORAN:個人的に感じたことなんですけど、ここ数年間、ネガティヴな出来事が多かったように思うんですよね。今でも、ネガティヴなニュースはありますけど。

──あぁ、なるほど。明るいニュースがあまり目立たなかったというか。ネガティヴなニュースの方が目立った、記憶に残ったというのもあるかもしれないですね。

INORAN:しかもネガティヴなニュースも、なんか質がどんどん変わって来てるというか。何かひとつしくじったら、全部辞めなきゃいけないとか。でも逆に、そういう中でも、そうじゃない人もいて。


──自分で尻拭いをして、立ち上がって再チャレンジしようとしている人もいるっていうことでしょうか?

INORAN:そうそう。そういう気持ちって、やっぱりいいなと思うんですよね。

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1997年よりソロ活動を開始。 1stアルバム「想」では世界的アーティストDJ KRUSHとタッグを組み、当時まだ日本ではメジャーではなかったhip hopを取り入れた最先端の音楽を表現し、大きな注目を集めるソロ活動の口火を切った。 近年では、英国で絶大な人気を誇るギター・ロック・バンドFEEDER···

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