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【インタビュー】INORANが語る2019という「場所」 元号が変化して見えた未来 (2/2)




音楽に対してポジティヴな要素しかない

──わかりました。INORANさんの今おっしゃったような気持ちって、今回の作品の歌詞に出ていたように思うんです。歌詞を手掛けた方と話をされたりしたんですか?

INORAN:いや。

──あ、違いましたか。すみません。

INORAN:いえ(笑)。僕の場合は、本当にお任せで。音を聴いて歌詞を書いてもらうってスタンスなんです。作品を作っていく上で、一気に作っていくんだけど、自分の中でちゃんと完成図はあるんですね。でも、その通りにしたくない。せっかく人と一緒に作るわけだし、その変化も楽しみにもしているので。


──なるほど。『2019』は英詞ですけど、誰でもわかるような単語や、短い文節が多くて、メッセージがストレートに伝わってくると思ったんですね。特にタイトルがシンプルなのが目立つ。

INORAN:シンプルな方が強いと、僕も思います。言葉もそうだし、音もそう。もちろんそれだけじゃなくて、アルバムの中には難しい部分もあるけど、シンプルな方が目立つってことは、それだけシンプルな方が強いってことなのかなとも思いますよね。今回、歌詞をお願いした方も、ポジティヴな気持ちを持っている人が多いんですね。そういうのもあるし、僕自身、音楽に対して、ネガティヴな要素が無いですから。


──具体的に教えていただけますか?

INORAN:それこそ曲作り、メロディとかも、音楽やってるとか、音楽聴いてて、ネガティヴに感じることが無いんです。だから、僕に求められているのは、ポジティヴなことなのかなとも思うし。ネガティヴな……例えば悲しい時に聴く音楽ってたくさんあるし、僕の担当ではないな、っていう。僕がミュージシャンとして担当するのは、ポジティヴな音楽なのかなと思ってる。


──その「ポジティヴ」というのは、ライブでのレスポンスやシンガロングという部分も含めて?

INORAN:もちろんです。是非、みんなで一緒に歌ってもらいたいと思ってます。音楽って……例えば、医療のひとつの療法として使われるようなものは別として、こう……理屈じゃないから。一緒に合わせるものだと思うので。


──合わせる、とは?

INORAN:バンドで音を合わせる、観客と一緒にシンガロングするとか。いろいろあると思う。音楽で合わせる。音楽って、一緒の気持ちを共有するものだと思う。例えば、サッカーの応援で、みんなが一緒に叫んだり、歌ったりするけど、あれが音楽だと思うんですね。音楽って、みんなのものだと思うから。そこに音楽の良さ、魅力のひとつがあるんだろうな、と。ここ何作かは、そこにフォーカスしているし、そういう作品を作っていきたいと思ってるんです。


──音楽をプリミティヴなものとして捉えてる。

INORAN:そうですね。すごくポジティヴでプリミティヴなものだと思う。いろんな解釈があると思うし、そこを否定するわけじゃないけど、僕がミュージシャンとしてやりたいことは、そういうスタンスなんですね。



自分が音楽シーンにいる意味

──自分が英詞を歌うことで、発見したことは?

INORAN:英語が合うメロディと日本語が合うメロディっていうのがあって。いろいろ活動してきた中で、自分は英語がはまるメロディの方が好きだっていうのが、わかったんですね。だからと言って洋楽アーティストのようになりたいわけではなくて。

日本人というアイディンティティを持ったミュージシャンが、そういう英語が合うメロディを作ったらどうなるんだろうっていう。挑戦ってわけじゃないんですけど、そこを探しながら、音楽で旅をしているっていう感覚。でもまだまだなんですよね。どこでも聴けるような音楽にしたいんですよね。


──どこでも聴ける音楽?

INORAN:場所も時間も、天気もそう。やっぱり自分が影響受けたりしたミュージシャンの曲っていうのは、どこで聴いても似合うんです。例えばU2にしてもメタリカにしても、オアシスにしても。ビーチでも聴けるし、地下鉄でも聴けるし、スイスの山に登る時でも聴けるし。NYの5番街で流れてても変じゃないっていう。


──聴き手のシチュエーションを選ばないってことですね。

INORAN:そう、選ばない。それってすごいことだなと思ってて。その土地が持つエネルギーってあると思うんですよ。海外なら、国民性も含めてね。でもそういうのに関係なく、いつでもその場所にちゃんと寄り添える音楽ってすごいな、と。そこを突き詰めていきたいと思っているんですけど、まだまだ。


──なるほど。「まだまだ」と思う、具体的な出来事があった?

INORAN:過去の自分の作品を旅先で聴いてるんですね。それで例えば「フロリダでは聴けたけど、メキシコではまだまだだな」と。「そのパワーって何だろう」って思って。そのへんは模索しながら作ってますね。


──え!自分の作品を海外で聴いてるんですか?

INORAN:はい、聴いてますね。


──それ、究極のところを目指してますね。

INORAN:究極かわかんないけど、やっぱりたくさんの人が聴いてくれるものを作りたいから。


──そこを例えばギターだけで突き詰めるっていう選択肢もあったと思うんですけど、違う方法でやっているってところがINORANさんの個性になっているように思います。

INORAN:僕が音楽シーンの中にいる意味って、そこにあると思うから。でもそれは究極で言うと、曲の形ではない。曲が産まれて育まれていく過程っていうか。ライブであったりとかするのかなって思ってます。


──ライブツアーも始まりますね。

INORAN:みんなで同じ時間を共有できるっていう意味では、ライブって本当にすごい場所だと思うんです。だから、みんな参加してもらって、楽しく騒げればと思いますね。早くみんなの元に逢いに行きたい。今もう、待ちきれない感じです(笑)。

TEXT 伊藤亜希

1997年よりソロ活動を開始。 1stアルバム「想」では世界的アーティストDJ KRUSHとタッグを組み、当時まだ日本ではメジャーではなかったhip hopを取り入れた最先端の音楽を表現し、大きな注目を集めるソロ活動の口火を切った。 近年では、英国で絶大な人気を誇るギター・ロック・バンドFEEDER···

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