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【インタビュー】AK-69映画初出演の手ごたえと、「もう一度挑戦したい」という思い (2/2)



自身の人生経験から考える「ボス論」


──先程このストーリーとご自身の役柄に関して「自分の延長線上的な部分にある」ともおっしゃっていましたが、本を最初に読まれたときに、このストーリーに対してどのような印象がありましたか?

AK-69:そうですね…最初はやっぱり「切なさ」を感じました。

どの役にも「切なさ」がある。硲の女性関係の部分ですらそうだし、硲の周りの人間が事件に深くかかわっていくのもそう、三田村の組織の動きもそうだし。

いろんな表現、印象があると思いますが、その中でもやっぱり「切なさ」の印象が強かったですね。

例えば「何か得ようとしたときに、何かを失う」みたいな。また「何かを失うと、何かを得る」みたいなところもあるけど。そんなことを感じました。

まあ自分の人生でもそんなことを感じることがあるけど。

人生っていつも順風満帆にいけばいいんですけど、やっぱり完璧じゃない。そんなことを感じさせる作品だと思いました。


──AK-69さんが演じられたこの三田村という人物、役柄の印象はいかがでしょう?ストーリーではすごく不思議な役柄だなと思いました。

AK-69:そうですよね。いわゆるヤクザのボスなんですが、敬語しかしゃべらないし、声も荒げない、そんなところがすごく不気味な役なんです。

それに対して和泉監督からは「不気味さを出してほしい」と言われていたんですけど。


──「不気味さ」ですか。なかなか難しそうですよね。

AK-69:でも一回台本を読んでみようとなってきたときに、その感じで読んでみたら、中野さんから「すごく怖い…」って言ってもらえて(笑)。


──1回でそれが出るってすごいですね(笑)

AK-69:まあ自分がここまで育ってきた環境の中で、いろんなところでいわゆる「ボス」という立場の人に出会ってきたんですが、やっぱり「大したことのないボス」というかあまり威厳を感じないボスはうるさくて高圧的だし、虚勢を張ろうとする。

でも見ていて感銘を受けるボスは、逆に静かなんです。
余裕があって丁寧だし、礼儀正しい。

そういう人から見える怖さみたいなものは、そんな人と会って経験してきたことから得た印象もありましたし。どうあるべきかというのは、意外に深く考えなくても想像できる感じではありましたけどね。


──暴力団という反社会的な組織の人間であるので、ある意味その立場自体は褒められたものではないけど、その性格や役柄的には理解できるところがある、という感じですね?

AK-69:おこがましくも、そう感じたとことはあります。演じた役に比べたら、自分にはもうちょっと感情はあると思っていますけど(笑)。

でも、彼のこの所作みたいな部分は、自分で普段意識していることにすごく近い役でした。


──また、映画を拝見して受けた印象なのですが、ボスという意味で若旦那さんの役と対照的なポジションである一方で、ラストシーンの硲と対峙する姿からは、人知を超えた存在というか、ある意味「硲の死神」みたいな感じで立っているような感じもありました。

AK-69:確かに。あのシーンはまさしく死神みたいな。雅也さんも話していたんですが、「実はこの二人は同じ人間なんじゃないか」と言われた意味が、すごく理解できる感じがしました。不気味さみたいなところでもありますが。


──今言われた「不気味さ」みたいなところは、初めての役としては、かなりハードルが高い感じでもありますよね。

AK-69:いや本当に。楽といえば楽、さっきもお話したように、雰囲気的に自分の普段のイメージと、それほど遠くないというのはもちろんありました。でもだからこそすごく難しいということもありました。

普通に「はい、そうです!」みたいな感じでは表現できないし、裏にただならぬ壮絶なものがあって、人と対峙しているときには静かだけど、それが怖いものになって見えるという。

そこはすごく難しいポイントだったなと思いました。


──このストーリーの主人公である硲というキャラクターには、どのような印象がありましたか?三田村とも、若旦那さんの役柄とも違う感じがありました。

AK-69:硲は兄貴肌なんだと思います、「頼られたら放っておけない」というところもそうだし。

そうやって人を引き寄せたり、さらに芸術的な才能もありながら、女性関係のところではちょっと憂いがあるというか。「好きだから抱いて」というストレートな感じでもなく…


──だらしない感じでもないですよね。

AK-69:そうなんです。まあその付き合いが、端から見るとだらしなく感じられる関係でも、実はプラトニックなところをしっかり深く持って、そうは見えなくなっていたりとか。

俺が演じた三田村も兄貴というかボスで、硲はもっと親しみやすいボスという感じの、違うボス感はあると思いました。


──怒鳴ることもなく、でも言われると放っておけない、みたいなところを持っていますね。その意味では、男がすごくあこがれるようなところもあるのでは、と思いました。

AK-69:確かに。表現は違うけど、例えば漫画『ONE PIECE』のルフィみたいというか(笑)、「みんなを引き連れていくぜ!」みたいな統率性は感じました。


──言わなくても、その行動で示してくれる、みたいなところですね。

ストーリーからもかなり多くの刺激を受けられた様子がうかがえます。先程役者という仕事に対し「またやりたい!」とおっしゃっていましたが、もしまたチャンスがあるとしたら、次はどんな役を希望されますか?


AK-69:いや、まだ自分は役を選べるような大層なものじゃないと思いますし…やらせてもらえるのであれば何でも全力でやりたいと思っています。

まあでも今回みたいに、自分とそう遠くない役でいただければすごく力を発揮できるじゃないかと。

これがいきなり「変態の役をやってくれ」とか言われても…(笑)。それは本当の演技力がいると思うし、なかなか難しいかもしれないですけど。

また俺はもともと会社に勤めていたこともあって、一生懸命働いて過ごすということもしてきたし、そこから今は本当に自分の人生を紡いで歌を歌っているんですが、それと一緒で役者の仕事も、同じように自分の人生のワンシーンから切り出していけるものがあるのであれば、全力で挑みたいと思っています。



『影に抱かれて眠れ』映画情報

原作:北方謙三
監督:和泉聖治
脚本:小澤和義
プロデューサー:中野英雄
出演:加藤雅也 中村ゆり 松本利夫(EXILE) カトウシンスケ 熊切あさ美 若旦那(湘南乃風) 余貴美子 火野正平 AK-69

9月6日より、丸の内TOEI2、横浜ブルク13ほかにて全国順次公開

Text 桂伸也
Photo 片山拓

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