やや遅咲き・・・?
ズーカラデルは、北海道札幌市出身の3人組バンド。吉田崇展(Vo&Gt)、鷲見こうた(Ba)、山岸りょう(Dr)により構成されています。「おしゃれ眼鏡に髭面」という様相がいかにも邦ロック好きのバンドマンっぽいですよね(笑)
ということで、アジカンの後藤さんのようなストレートなロックを奏でるのか。。。いやいやくるりの岸田さんのようなやさしいロックを奏でるのか。。。
それともサンボの山口さんのようにパンクに叫ぶのか。。。
なんていろいろ思いましたが、ズーカラデルはどれにもあてはまりません。
一言で表すなら、彼らの音楽はとっても“軽やか”。明るいメロディーを奏でるギターに、驚くほど複雑でリズミカルドラム。そしてそこに乗っかるやわらかな声が本当に絶妙なんです!
そのクオリティの高さ、そしてルックスからベテランバンドかと思った方も多いはず。筆者もそうでした。
しかし、ズーカラデルの結成は2015年、現行のメンバーになったのは2018年と活動歴は驚くほど浅いんです!
年齢は30歳前後とそれなりなんですけどね・・・。(笑)
でも、だからこそ歌詞も深い。人間の弱さや不器用な面、それでもまっすぐ生きる強さなどが歌われています。こういうテーマの楽曲は気持ちが暗くなることもありますが、ズーカラデルはメロディーが軽やかだから重くならないのも魅力の一つ。
つまり比較的遅咲きですが、遅咲きだからこそかなりの可能性を秘めたバンド。ブレイクは間違いないといっても過言ではないでしょう!
これまでにリリースしたアルバムをチェック!
まだまだ活動歴が浅い彼らは、リリースした楽曲も少なめ。今回は全アルバムをご紹介しちゃいます!『リブ・フォーエバー』
2017年9月20日にリリースしたミニアルバム。実はこのアルバムを発表する前までは「吉田崇展とズーカラデル」という名前で活動していましたが、これを機に「ズーカラデル」へと改名しています。
収録曲のひとつである「アニー」は、後にMVを公開。
現在もYouTubeで再生回数を伸ばし続けており、ズーカラデルが注目されるきっかけを作りました。そんな記念すべき楽曲「アニー」の歌詞をご紹介いたします!
■アニー
----------------
進めスカート その両足で 悲しみの街をゆけ
唸れイヤーフォン 守れ彼女を 僕の声も届かないが
もういつだって君のこと 考えているけど
何回やってもこの手は ふれ合わんようだと
寝ても覚めても情けない顔 鏡に映る不審者
壁の向こうで誰かが笑う それをじっと聴いてる
≪アニー 歌詞より抜粋≫
----------------
軽やかなメロディーに乗せて歌われているのは、ラブソング・・・?なんとも言えない意味深長な歌詞ですよね。
個人的には、ロックを中心とする音楽への思いのようにも感じます。楽曲中の「彼女」や「君」が指すのは、すべて音楽の事。そう思わせたのは、サビの部分です。
----------------
ねえ 素晴らしくないけど 全然美しくないけど
YOU AND I 泥だらけの 僕らの世界を歌え 何度も
もう忘れてしまうほど ずっと鳴り止まない音
取るに足らない日々の中で 出会ったものを歌え 何度も 何度も
≪アニー 歌詞より抜粋≫
----------------
これって女性に対する気持ちというよりかは、音楽に対する気持ちだと思いませんか?そう考えると続くサビや他の部分もスッと落ちてくる感じがします。
とはいえ、これはあくまで個人的な見解。真相は楽曲を作った吉田さんしか知りえません。みなさんもいろいろ考えてみてくださいね!
「夢が醒めたら」
2018年11月21日にリリースされたミニアルバム。
このアルバムがリリースされる半年前、元ベースのコナさんが脱退してしまいます。その脱退を乗り越え、現・ベースの鷲見さんが加わりリリースされたのが「夢が醒めたら」。
Apple musicでも配信されるなど、このアルバムを機にズーカラデルの知名度はぐんとアップしました。
■漂流劇団
----------------
ねえママ 僕らの夢の国
寝ても覚めても消えないのはなんで
そのせいでいつでもくたびれて
流れた涙が川を作る
あいつとわたしの終わらぬ旅
右も左も地獄の入り口
どうしてこんなところへ来た
惰性の吐息でお茶を濁してる
≪漂流劇団 歌詞より抜粋≫
----------------
こちらも歌詞を見ても、何について歌っているのかよくわかりませんよね。
友情について歌っているような・・・夢について歌っているような・・・。いや、でも恋愛についても歌っているような・・・。
でも、このふわっとした感じがズーカラデルの魅力のひとつでもあると思います。聞き手が自由に連想すればいいんです。それぞれ胸にある事を思いながら。
----------------
あなたを笑わせたいのだ
歯の浮くような台詞を並べて
幻みたいな世界を彷徨って
疲れたあんたと話がしたい
≪漂流劇団 歌詞より抜粋≫
----------------
こちらはサビですが、好きな人に対する言葉のようにも感じますし、友達に投げかけた言葉とも取れますよね。実際のところ、誰宛の言葉かはわかりません。
でも、確実なのは「あたたかさ」に溢れているところ。臭いセリフで笑顔にしたい、一緒に冒険して話がしたいなど、身を犠牲にしてまで相手に向かい合おうとしているんです。
歌詞が誰宛かよく分からなくても、ベースに愛があるから聞いていたくなるんでしょうね!下記の部分もまたあたたかくて素敵です。
----------------
今からこの世界が
優しく変わらないかな
嫌いなあんたがいつか
幸せになれますように
≪漂流劇団 歌詞より抜粋≫
----------------
言葉に飾り気がないのもいいところ。綺麗ごとやうわごとのように感じないんですよね。
人間味でいっぱい。
メロディーも非常に魅力的ですが、ぜひ歌詞にも注目してみてくださいね!
「ズーカラデル」
2019年7月10日にリリースされた最新アルバムがこちら。今まではミニアルバムのみの発売でしたが、「ズーカラデル」は満を持してのフルアルバム!
収録曲のひとつである「花瓶のうた」はMVも公開されているので、ぜひチェックしてみてください!
■イエス
----------------
君は魔法使いで
くすんだ街を
たまに照らす
すぐに見えなくなるから
あまり意味はないけど
最後の魔法は不発に終わるだろう
誰にも気づかれないままで霞んでゆく
確かにある光
≪イエス 歌詞より抜粋≫
----------------
こちらもまた深い歌詞が並ぶ楽曲。
ズーカラデルの楽曲が重たくなりすぎない理由のひとつはメロディーの軽やかさにありますが、歌詞に「魔法」とか「羽根」とかファンタジーな言葉が使われているのもまたライトに聴かせる理由のひとつではないかと思います。
例えば下記の部分。
----------------
飛べないんだ僕は
羽根がないからね
生まれた時から
ずっと前からわかっていたから
悲しくはないけど
≪イエス 歌詞より抜粋≫
----------------
パッと見ただけだとなんかの物語なのかなぁなんて思ってしまいますよね。でも、後の歌詞を見ていくと普通に我々人間の事なんです。つまりこの部分をストレートに言い換えると、「人間にできることは限られている」という意味。
かなり悲しい内容ですが、けっしてそうは感じさせないのが素晴らしい・・・。とはいえ、この楽曲はこんな暗い話が続くわけではありません。
“できることは限られているし、何にも変わらないかもしれない。だけど、前を向いて歩いていこう!“というメッセージが込められた前向きな楽曲なんです。
----------------
消えそうな 夢とか希望が
忘れてしまった約束が
言えないで飲み込んだ言葉が
未だに強く脈を打つ
≪イエス 歌詞より抜粋≫
----------------
4行目の「脈を打つ」は、「鼓動」のことだと推測されます。つまり「心臓が動いてる」ということですね。消えかけた夢とか、言えなかった言葉とか、実は無駄にはなっていない。それらの経験が脈を打つ、つまり自分たちを生かしているんだ!ということです。
深い・・・のにサラッと聞けてしまう・・・いいんだか悪いんだか。(笑)他の楽曲にこめられたメッセージも探ってみてくださいね♪
今後も注目が高まること間違いなし!
以上、ズーカラデルの楽曲やその魅力についてご紹介いたしました!軽やかなメロディーと、その裏に隠れた深いメッセージ。このギャップがまたいいですよね!
ゆっくりと考え事をしたい人は歌詞まで聞けばいいし、純粋に音楽を楽しみたい人はメロディーに浸ればいい。確実に万人受けするバンドです!
サラッと聞けるから、今後はCMなどのタイアップも増えてくるのではないかと思います。(笑)邦楽ロック好きのみなさん、要チェックですよ!
TEXTゆとりーな