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【インタビュー】the pillows山中さわおが映画『王様になれ』を語る (3/3)


「王様になれ」は自分でもよくできたと思える曲

──映画の中でも主題曲となっている「王様になれ」は2017年にリリースされた曲ですが、当時のインタビューはその頃にちょっと歌詞の描き方に、“この曲は今までとちょっと違う書き方をした”ということを言われていたという話がありましたね。


山中さわお:僕が若いときに嫌だったのは、若いバンドが大ヒット曲で、まるで人生を知っているかのような、悟っているかのようなことを言うこと。

「こうやって生きていけばいいんだよ」みたいなメッセージの曲が多くて、それがヒットして、みんなそれに感動している、という。それがすごく嫌だったんです。

それに僕はとても違和感というか、居心地の悪さみたいなものがありました。僕のスタンスはどちらかというと、いつも”俺はこう思っているんだ!”というものを書いて、それに共感する人が集まってくれればという感じでやってきたんです。

でもだんだんずっと主人公が自分だったのに、自分の人生に変化がなくなってきたり、すごく自分の心が穏やかになったりしてきたんです。

ライブをやると沢山の人が足を運んで、音楽を聴きに来てくれる。そういう彼ら、彼女らになにかメッセージを、みたいな感じで心がシフトチェンジしてきたので、だったらそれを出すのが自然だよな、という思いがあって、そういう曲がちょっと増えてきたなとは思いますね。




──その点でも、この映画に起用された意味は深いですね。では「ピックアップ・フレーズ」をお願いできればと思います。今回、映画では『王様になれ』がフィーチャーされていますので、この曲に対しての「ピックアップ・フレーズ」を教えていただければと思います。


山中さわお:難しいですね…「王様になれ」は、結構自分的にはうまくできた歌詞だと思っていて、割と気に入っているところは多いんです。

ちょっと面白くないですけど、サビの「脳細胞の支配下で 王様になれ」というところが一番大事というか。


──一番のメッセージとなる部分ですね。

山中さわお:そうです。「脳細胞の支配下」というところが結構重要なんだけど、これは結構気に入っています。あと「知識の角度を変える思考回路の旅、そこから始まる」とかも気に入っているかな。


──それはまさしく、先程のインタビューの話につながるところですね。

山中さわお:また、たとえば他の人、ほかの作詞家が書かなそうなところは最初の2行ですかね。「耳を折り曲げた ウサギの影 誰かに見える 誰でもいい」みたいな、“なにを言ってんだこいつは?”みたいな詞は、実は結構僕の得意技でもあるんです。


──なるほど。意味深な感じもしますね。“これは何のことを指しているんだろうか?”とずっと考えていました。

山中さわお:そんなに深い意味はないんですが、シルエット、ウサギと言えば耳が長いのが特徴というか個性、でも耳を折り曲げたシルエットだったら、もうウサギかどうかわからない。で、まあ「誰かに見える 誰でもいい」という…なにを言っているの?という感じで(笑)。でも結構好きなんですよね、僕は。


──その3箇所は確かにインパクトの強い部分ですね。


山中さわお:なんかツッコミ待ち、みたいな歌詞は結構好きなんです。それと多分自分のメロディに対してピタッとはまったという気持ち良さがあったり。

とにかくその自分らしさは保ちたい、でもその自分らしさというものが、人によっては違うので、ちょっとくせが強い人は、それは周りから見るとエゴになるわけじゃないですか。

そのエゴと自分らしさというところに境界線があって、それを見つけなければならないと思うんですよね。

そのルールを破って、傍若無人な王様になれという歌ではないので、もちろんそのエゴをコントロールした上での「王様になれ」という。

その上で自分らしさというのが大事な歌なので、この「耳を折り曲げた ウサギの影 誰かに見える 誰でもいい」というのは、そのイントロダクション、自分らしさというのは持っているけど、中身はどうなんだい?と問うているところなんです。


──様々な思惑が感じられますね。

山中さわお:曲によってはすぐ”ここ!”と気に入った個所が言えるものがあるけど、この曲は曲全体としてうまくできたように思うんです。

いろいろ自分が今まで使った単語、“月”とか“雨”とか”闇”とか、もう何回も使っているけど、これでは “名だたる闇”と。そんな表現は使ったことはないし、そういう部分でもうまく表現できたと思っています。


──表現の巧みさも聴きどころの一つですね。完成した映画をご自身で見られていかがでしたか?


山中さわお:本当にとてつもなく感動しました。ミュージシャンが映画を作るという無謀なチャレンジが成功したということもありましたしね。

最初は2017年の暮れに三軒茶屋の呑み屋でオクイさんに監督をお願いして、二人でじゃあやるかとなって。当初1/3以下の予算で考えていたし、なんとなくMVを撮る延長線上の感じになるのかな、とか思っていました。

でもそこにプロデューサーの三宅(はるえ)さんが加わり、本当に一流の映画スタッフが集まってきて、こんなちゃんとしたクオリティの、映画館で上映される映画になるとは思ってなかったし、本当に感動しました。

撮影している最中は、2週間くらいにダーッと一気に撮ったんですが、本来2週間で撮り切れるシーン数じゃなかったんです。

でも当然日にちを増やすと経費も増えるので、スタッフの皆さんがほぼ不眠不休となってくるわけで。

寒い時期のロケでしたが、本当に10時間とか外にいて、そんな中でも絶対に些細なことにもこだわっていました。

“こんな端のアングルなんか誰も見てないのでは?”と思うところも”ダメだ、これじゃあ”と何回でもやり直すのを見て。そのプロ集団ぶりというか、そういう苦労も見ていましたし。

そんな光景を見ている段階ですでに感動しましたし、それが編集されて、自分で作ったサウンドトラックも、効果音もちゃんと入って、音響も整って完成して、自分の歴史に自分の作品の一つとしてこんな素晴らしいものが入ってくるなんて、まったく想像してなかったことなので、とても感動しました。本当に嬉しかったです。


──では、もう是非BUSTERS(the pillowsのファンの呼称)には、一人残らず見てもらいたいですね。

山中さわお:もう絶対に!音楽ファンに向けても、いい音楽がいっぱい流れているし、いっぱい素敵なミュージシャンにも出てもらいましたので、音楽ファンにも是非見てもらいたいですね。



TEXT 桂伸也
PHOTO 愛香

映画情報

『王様になれ』

2019年9月13日よりシネマート新宿ほか全国公開



▷映画「王様になれ」Official Website

原案・音楽:山中さわお

監督・脚本:オクイシュージ

出演:岡山天音、後東ようこ、岩井拳士朗、奥村佳恵、平田敦子、村杉蝉之介、野口かおる、オクイシュージ、岡田義徳、山中さわお、TERU(GLAY)、JIRO(GLAY/THE PREDATORS)、ホリエアツシ(STRAIGHTENER) 、日向秀和(STRAIGHTENER)、ナカヤマシンペイ(STRAIGHTENER)、高橋宏貴(ELLEGARDEN/THE PREDATORS)、佐々木亮介(a flood of circle/THE KEBABS)、田淵智也(UNISON SQUARE GARDEN/THE KEBABS)、新井弘毅(THE KEBABS)、鈴木浩之(THE KEBABS)、yoko(noodles/Casablanca)、楠部真也(Radio Caroline/Casablanca)、平田ぱんだ(THE BOHEMIANS)、ビートりょう(THE BOHEMIANS)、星川ドントレットミーダウン(THE BOHEMIANS)、本間ドミノ(THE BOHEMIANS)、千葉オライリー(と無法の世界/THE BOHEMIANS)、宮本英一(シュリスペイロフ)、藤田恵名、宮崎朝子(SHISHAMO)、松岡 彩(SHISHAMO)、吉川美冴貴(SHISHAMO)

▲映画『王様になれ』予告編

Vo, G 山中さわお、G 真鍋吉明、Dr 佐藤シンイチロウ。 1989年結成。2004年の結成15周年では、Mr. Children、ストレテイナー、BUMP OF CHICKENなどが参加したトリビュートアルバム『シンクロナイズド・ロッカーズ』をリリース。2005年からは海外での活動も開始し、7度のアメリカツアーの他、メキ···

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