自身、演じてみて感じたこと
──実際に原案を書かれてみていかがでしょう?結構歌詞を書くというのと、割と似たような感じもあったのでしょうか?山中さわお:それは全然違いますね。僕は曲を先に作るので、メロディやリズムが決まっていて、そこにぴったりはまる言葉にこだわるので、意外と歌詞は意味のほうをあきらめることが多いんです。音楽的に響きが、歌って口が気持ちいいかということを考えて作っていくので。
それを考えれば、原案は思いのままに書いただけだし。それと今回オクイさんに原案を渡すときに、変な話、”1行も使わなくていい、全部変わってもいい”と言って渡したんです。オクイさんはなんとかしてくれるだろう、と思って(笑)。まあ気楽でしたね、丸投げで(笑)。
──オクイ監督は毎日「助けて〜」と言いながら頑張っていた、と言われていましたが(笑)。劇中に山中さんご自身が出られるというのは、最初から決まっていたのでしょうか?
山中さわお:そうですね、それは最初から決まっていました。
──自分で映画に出てみていかがでしょう?
山中さわお:なんというか…反則ですかね(笑)。自分で金を出して作る映画に自分が出るって、変な話お金があれば誰でもできるわけじゃないですか。もともと俳優として呼ばれたわけじゃないし、厳しいことも言われないわけで(笑)
──オクイ監督からは演技に関して、何も言われなかったのでしょうか?
山中さわお:何も。逆にもっと言ってほしかったんですけど、全然何も言ってくれなかったんですよ(笑)
──映画での山中さんは、結構高圧的な感じでしたが、オクイ監督は「あれは僕がやらせたんです」とおっしゃっていました。山中さんからは「俺、そんなにキレないですよ!」と言われていたとか(笑)
山中さわお:そう!そう言ったんですけど「そこは映画的にヨロシク!」って(笑)。
──割と山中さんは世間的にも“キレキャラ”みたいな言われ方をすることもありますが(笑)
山中さわお:いや、本当にそうなんですよね。ただ正確なことをいうと、失礼な奴とか生意気な奴にはブチ切れますけど、ミスをしたことに関しては、ネチネチ言うだけです(笑)。そんな怒鳴ったりはしない、ネチネチ追い詰めるだけ、ずっと(笑)
──でも、そう考えると、山中さんが怒っているシーンというのは、相手がミスをしたという感じより、失礼をしたという部分ですよね。
山中さわお:言われてみると、確かに。でもやっぱり怒鳴りはしないかな(笑)。あんな感じで言ったりは絶対にしないし。
──岡山さんにもお話をうかがったんですが、共演の印象として「ミュージシャンの方って、なんでもできちゃうんだ」って、すごく劣等感を抱いたと言われていましたが…
山中さわお:いや、恐縮です。でも僕はそれほどできてないと思います。ただ自分が普段何百回も言っていることを、撮影のときに同じように言っただけという感じだったし。だから、他のことをやれと言われたら多分できないと思います。
──逆に演技したという感覚があまりない、という感じですか?
山中さわお:あまり無いですね。なんせスタッフが当然僕には優しいので、僕は恵まれた環境で、現場がピリピリしていなかったし(笑)
まあとはいえ、やっぱり同じことを何回も言うとか、相手の間が、台本で読んで想像した間と違って緊張したことはありました。
また、自分ではなかなかうまくいかないシーンがあって、そこは岡田(義徳)さんに助けてもらいました。世間話をしながら長回しをして、途中でその芝居にパッと入って、そこからカメラを回して貰いうまくOKテイクが撮れたり、みたいな感じで。
要するに普通のテンションと同じようなところは難しくなかったんです。セリフも、僕の言うところは変えていいと言ってもらえたので、自分が普段使っている言葉にしたり。
また毎回一緒でなくてもいい、と言ってもらえたので、ミュージシャンはみんなその場で流れだけ覚えてくれればいいと言われて、その場に合わせたり。
ラーメン屋でブチ切れたひなっちとシンペイ(ストレイテナー)は、がっちり台本通りに練習してきて、それをパーンと決めてきたのでビックリしました。ひなっちはめちゃめちゃうまかったし。映画のチームは”いや、うまい!すごく向いている!”って(笑)
──それはなかなか好調ではありませんか。また次になんらかの作品をやるとしたら?どんな感じの作品にしたいと?
山中さわお:次ですか?いや〜もうないです!(笑)。やるというか、ストーリーなんて思いつく能力はなくて、今のところこれ一個しか思いつかないですし。
──でも映画に出てくれ、とオファーがあったら?
山中さわお:監督が優しいかどうかをまず聞きますね(笑)。あと、僕は僕の役しかできないと思いますし(笑)
Vo, G 山中さわお、G 真鍋吉明、Dr 佐藤シンイチロウ。 1989年結成。2004年の結成15周年では、Mr. Children、ストレテイナー、BUMP OF CHICKENなどが参加したトリビュートアルバム『シンクロナイズド・ロッカーズ』をリリース。2005年からは海外での活動も開始し、7度のアメリカツアーの他、メキ···