B’zの始まり
B’zは今から31年前の1988年に、ギター松本孝弘、ボーカル稲葉浩志の二人で結成したロックユニットである。後にヒット・メーカー、名プロデューサーとして名を馳せた小室哲哉が、キーボード・シンセサイザーとして参加していたTM NETWORK。
このバンドのツアーサポートなどで活躍していたギタリスト松本が、ボーカリスト稲葉を紹介されて結成した。
数々のヒット曲、ドラマ、CMのタイアップ曲、海外での活躍などを挙げるときりがないが、大きなトピックスを楽曲とからめながら紹介したい。
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エアロスミスとの共演!日韓ワールドカップ
なんと言っても特筆すべきは、2002年の日韓ワールドカップの公式ライブで、世界的ロックレジェンド、エアロスミスと共演したことだろう。
その年、初めてサッカー・ワールドカップで記念ライブが行われ、日米を代表するロックバンドとして、エアロスミスとB’zが演奏した。
B’zが十数曲を演奏したあと、エアロスミスが同じく十数曲演奏し、最後にエアロスミスのボーカル、スティーヴン・タイラーが「タク!アンド コーシ!」とB’zの二人を呼んで、ステージに上げ、「トレイン・ケプト・ア・ローリン」を共演した。
この共演はエアロスミス側から提案されたと言われている。
当時も今も大人気の「さまよえる蒼い弾丸」の歌詞から、エアロスミスをも魅了したB’zのロック魂を見ていきたい。
----------------ロックが何なのか?定義づけられる人はいないだろう。しかし、共通するイメージとしては、「体制に守られて、一つの場所に安住するのではなく、理不尽なものと闘いながら走り続けていく」といったものがありはしないだろうか?
飛びだしゃいい 泣き出しそうな 心を蹴って
さがせばいい 街に消えゆく 夢の切はし
さよならしよう じっと電話をまってる日々に
旅すりゃいい 僕はさまよう 蒼い弾丸
≪さまよえる蒼い弾丸 歌詞より抜粋≫
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まさにこの歌のように。飛び出していって、止まることができず、走り続けるしかない弾丸。闘うために存在している弾丸。「弾丸」がB’zにとってのロックなのだろう。
この歌詞への共感とハードロックな曲調が、「さまよえる蒼い弾丸」の人気を不動のものにしている。
チャド・スミスとのコラボレーション
2007年、B’zはハリウッド・ロック・ウォークの殿堂入りを果たした。
これはロックに貢献したミュージシャンに贈られるもので、アジア圏ではB’zが初受賞となる。
この受賞でB’zファンのみならず、日本中の音楽ファンを喜ばせた。
そして、2009年、また嬉しいニュースが入ってきた。レッド・ホット・チリ・ペッパーズのドラマー、チャド・スミスがB’zの楽曲「イチブトゼンブ」のレコーディングでドラムを叩くというのである。
ちなみに、この曲のベースは、同年にグラミー賞「最優秀ハード・ロック・パフォーマンス賞」を受賞したバンド、マーズヴォルタのホアン・アルデレッテが担当しており、彼は他にも多くのB’zの楽曲に参加している。
松本孝弘、稲葉浩志、チャド・スミス、ホアン・アルデレッテの組み合わせに、邦楽ファンも洋楽ファンも大いにわいた。
歌詞も見てみよう。
----------------自分のゼンブを知ってから愛して欲しいか?これは恋愛における永遠のテーマだ。
「アナタは私のほんのイチブしか知らない」
勝ち誇るように笑われても それほどイヤじゃないよ
生まれてくる前 聞いたようなその深い声
それだけで人生のオカズになれるくらいです
≪イチブトゼンブ 歌詞より抜粋≫
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”ゼンブを知ってから愛されてこそ安心できる”人もいれば、”ゼンブを知っていると思われることが重く感じる”人もいる。
この彼女は自分のゼンブを知ってから愛して欲しいのだろう。
でもカレシはイチブしか知らなくても充分に愛おしいのだ。
「生まれる前からその声を知っていた」と思えるくらいの深いつながりを感じているのだから。
この曲は2009年のフジテレビのドラマ、「ブザービート~崖っぷちのヒーロー~」の主題歌だ。
ドラマの中で山久智久演じるプロのバスケットボール選手は恋愛を通して、バスケットボール選手としても、人間的にも大きく成長する。
また、北川景子演じるヒロインも、愛する人から応援されて、バイオリニストとしての自分の夢をつかんでいく。
二人とも恋愛を通して大きく変わっていく。
大きく変わっていく彼女、カレシのゼンブを常に知っていることは難しい。
----------------愛しく思ってくれるポイントは、きっとずっと変わらない。
すべて知るのは到底無理なのに
僕らはどうして
あくまでなんでも征服したがる
カンペキを追い求め
愛しぬけるポイントがひとつありゃいいのに
≪イチブトゼンブ 歌詞より抜粋≫
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そこを愛してくれていることを彼女もわかっているから。
こんな風に、重くなく、深く愛してくれる人がいいと、誰もが思う歌詞だ。
米ギタリストとの共作でグラミー賞受賞
2011年、松本孝弘と米ギタリスト、ラリー・カールトンが共作した「テイク・ユア・ピック」が、第53回グラミー賞の「最優秀ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞」を受賞した。
グラミー賞を受賞した日本人アーティストは数人いるが、「最優秀・ポップ・インストゥルメンタル・アルバム賞」を受賞したのは、松本孝弘ただ一人である。
日本中が大喜びしたのは言うまでもなかった。
エアロスミスと再び共演 エアロソニック
2013年、エアロスミスの10回目のジャパンツアーの東京公演「エアロソニック」は、エアロスミスとB’zのダブル・ヘッドライナーで行われた。つまり、両バンドともにメインアクトとする競演である。
そして、オーディエンスの期待を裏切らず、エアロスミスの初期のナンバー「ママ・キン」がエアロスミスとB’zによって共演された。
11年ぶり2度目の共演である。これは、エアロスミス側も大いにB’zを気に入っている証拠だろう。
2019年、結成50周年記念ツアー中のエアロスミスは、まさに世界中のロックファンのレジェンド。そのレジェンドと2回も共演した実績は素晴らしい。
二度あることは三度ある。エアロスミスが50周年記念ツアーで日本に来て、B’zとまた「エアロソニック」をやることを楽しみにしている。
「サマソニ」日本人初のヘッドライナー
2019年、洋楽系フェス「サマーソニック2019」で、日本人初のヘッドライナーを務めたB’z。
フェスが終わったあと、次々と彼らのパフォーマンスの凄さを褒める書き込みが続いた。
気温以上に書き込みの内容が熱い。日本のロックバンドが洋楽系フェスのヘッドライナーを務めることに批判的な意見もあったと聞くが、B’zの圧倒的なパフォーマンスを前に、台風の風と共にどこかに吹き飛んでいったようだ。
名実ともに日本のハードロックの王者が夏を制したと言って良いだろう。
ラグビー日本代表応援ソング「兵、走る」
最後に2019年秋から始まる、ラグビーワールドカップの日本代表応援ソングを紹介しよう。
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ゴールはここじゃない
まだ終わりじゃない
止むことのない歓声
今日を生きるため
明日を迎えるため
誇り高きスピードで TRY
≪兵、走る 歌詞より抜粋≫
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どんな高みにのぼっても、「ゴールはここじゃない。まだ終わりじゃない」と、歓声の中、誇りをもって更なる高みを目指す在り方は、まさにB’zそのもの。
ラグビーの日本代表チームと同じように、世界の頂点を目指して弾丸のようにTRYを続けるB’zをこれからも応援していきたい。
TEXT 三田綾子
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