ゲストにはゲスの極み乙女。の川谷絵音と作詞作曲家の杉山勝彦が招かれ、プロ視点で見るスピッツの正体をひたすらに語り合います。
関ジャニ∞が、音楽のプロを迎えトークを繰り広げる番組「関ジャム 完全燃SHOW」。今回は10月13日の内容をお届けします!
歌詞の比喩表現
スピッツの良さには様々な要素がありますが、作詞における比喩表現は他の追随を許さない程独特です。
オープニングで「スピッツはJ-POPの仮面を被ったド変態」語った川谷は「唯一歌詞を読みたいバンド。歌詞カードで見ないと魅力が分からないバンド」と語ります。
杉山は特に「スパイダーの歌詞が怖い」と言いそのスゴさを詳しく語ってくれました。
まず最初の部分で「可愛い君」について言及をして、これが好きな子であるという考察を披露します。
しかし次に出てくる「ちょっと老いぼれているピアノ」という謎のキーワードに引っかかりを覚え引きを作っていきます。
次に出てくる「すみっこでうずくまるスパイダー」というのが暗いイメージの主人公。
そして「洗いたてのブラウス」は「可愛い君」を別の表現で、綺麗である君ということでピュアであると伝えてくれています。
その後に出てくる「筋書き通りに汚されて行く」のは好きな子が誰かの思い通りにされてしまうという意味を感じさせ、次の「だからもっと遠くまで君を奪って逃げる」この2つを合わせる事に自分が好きな子を連れ去ろうとしている事が分かります。
となると君を汚そうとしているのは誰かを考えた時に「ちょっと老いぼれているピアノ」という単語に行きつきます。
この曲が作られた時代のピアノのイメージはお金持ちだったりしていたそうで、ちょっと老いぼれているという言葉を足すと、お金持ちのおじさんになります。
ここまで推理を杉山が披露していくと村上は「ちょっとタイムタイム。怖くなってきたわ」と驚きを隠せない様子になっていました。
杉山の解釈はこうでしたが、川谷の推理は「洗いたてのブラウスが今筋書き通りに汚されて行く」の部分で洗ったということは既に1度襲ったのではないか、というものでした。
様々な解釈が出来る歌詞であることがスピッツの比喩表現のスゴさであると2人は語りました。
丸いもの=死 とがったもの=性
川谷はスピッツの歌詞について「丸いものは輪廻転生のイメージ、とがったものは性の象徴。草野さんも『自分の歌詞は性と死』と語っています」と会場を驚かせています。
「ロビンソンの歌詞も凄い」と川谷は語ります。一見爽やかな印象の曲ですが、1番と2番では世界観が大きく変わっていくと解説してくれます。
1番の歌詞は恋愛をしている男女を描いている優しい爽やかな印象を受け取る事が出来ます。
しかし2番に入った途端に歌詞に影が差し込んできます。
「交差点で見上げた丸い窓」は彼女の事を思い出している心象風景を思い起こさせ、丸いものが死であるならば「後追い自殺をしたのでは」と考えられます。
一時期ネットでも話題になったそうでファン達の考察はかなり凄いことになっていたようです。
だからこそ次に出てくる「僕ら今ここで生まれ変わるよ」が輪廻転生に繋がり「二人だけの国」が天国になっているのではないかと考察が続きました。
普通であればザキヤマの言うように「誰も触れない二人だけの国」というワードは恋愛において二人だけで愛し合う国でという綺麗に感じるところだと思います。
このように綺麗な恋愛として捉えたり、暗く悲しい恋愛どっちとも取れる歌詞を書けるのは草野だけだと川谷は語ります。
スピッツの魅力の正体とは!?
草野マサムネのボーカルの魅力としてあげられたポイントは「高い声をながく出せる」
「本人とわかるレンジが広い」「どんな曲でもスピッツになる」という3つ。
杉山はレンジの広さについて、低音から高音までの移行ががなめらかであることを指摘し、中村もそれについて「さらっとしてるように感じる」とスピッツの曲のイメージを述べました。
川谷は曲調でも変わらない草野の歌い方で、パンクな曲でもスピッツになっていることを指摘し、その不思議さの魅力を語りました。
スピッツの切ないメロディー
次には簡単そうな見えるメロディーの秘密について言及されました。杉山はよく切ないメロディーをくださいと言われることに対して、「本来切ないメロディーではなく切ないコードだと僕は思っているんです。」「でもスピッツのメロディは切ないんです」と語り弾きながら解説をしてくれます。
歌のメロディー部分は全てコードに含まれる音になっていて、切ないコードをメロディーでなぞっています。
「魔法のコトバ」「ロビンソン」ではそれが顕著になっていて、メロディーを聴くだけでコードが想像出来るようになっています。
杉山は「それなのでスピッツの切なさの正体はコード感を伝えられるメロディーにあると僕は思っている。しかしこの曲を作って歌える人はそうそういない」と語ります。
他のバンドとは違う役割分担
また、メンバーについても個々の音楽性の高さをが紹介され、川谷は本来ボーカルが担当するライブの盛り上げ役をギターが担当していたり普通とは違うことを指摘しました。杉山も「スピッツは普通のバントとは逆で低音隊が引っ張ったり、フロントマンが屋台骨になっている」という、他のバンドではないスピッツならではのスタイルが語られました。
スピッツの元プロデューサーに直撃
スピッツのプロデュースの難しさは、楽曲の難解さや今でも愛される所からもわかる通り非常に難しいものになっています。
川谷はそんな難しいプロデュースをしてきた笹路正徳に聞いてみたいと番組を通して取材しました。
笹路は「成功したい欲求よりも表現欲求が強いバンド。しかし一般性を出してほしいと使命を受けているのでこっちは徹底的に数学的にやる。そこからどうやって一般性を出すかと考えていく」とコメントしました。
また川谷はスピッツの歌詞の凄さも体感しているため、プロデュースする時に歌詞はどうしているのかも聞きました。しかし返答は「歌詞は一切アドバイスしていない」という驚きの物でした。
笹路は「マサムネ君は歌詞に関して非凡な物がある。個性的な表現と日本語的な方法論。歌詞はスタッフも誰も触らず100%一人で書いている。天才的」とコメントをしました。
20代~50代に聞いたスピッツの名曲BEST20
関ジャム紹介されたスピッツのランキング1位 ロビンソン
2位 チェリー
3位 空も飛べるはず
4位 楓
5位 優しいあの子
6位 渚
7位 君が思い出になる前に
8位 青い車
9位 涙がキラリ☆
10位 春の歌
11位 魔法のコトバ
12位 スターゲイザー
13位 スカーレット
14位 愛のことば
15位 スパイダー
16位 ヒバリのこころ
17位 運命の人
18位 みなと
19位 冷たい頬
20位 スピカ
今回の放送のまとめ
横山は「スピッツの歌詞カードめっちゃ見たいですね。なんであんな爽やかに聴こえるのか聴き直したいですね」とスピッツの深さを感じていました。スピッツは人によって感じ方が大きく変わるという事が今回の放送でよくわかりました。
歌詞、草野のボーカル、バンドメンバーなどスピッツの魅力を認識した上で、今1度スピッツの魅力を確かめるために聴き直してみるというのもアリだと思います。
新しい楽曲を聴くのも良いですが、昔からある楽曲を歌詞と共に見ることで新しい発見があるかもしれませんね。
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番組概要
関ジャム完全燃SHOW放送:10月13日(日)23:10~0:05(一部除く)
朝日放送:2019年10月14日(月) 1:55 ~ 2:55
■出演者
出演者:関ジャニ∞
支配人:古田新太
アーティストゲスト:川谷絵音(ゲスの極み乙女。)、杉山勝彦
トークゲスト:山崎弘也(アンタッチャブル)、足立梨花
進行:弘中綾香(テレビ朝日アナウンサー)
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TEXT こがさいし