復縁応援ソングとしても人気
「やむを得ない状況で別れてしまったけれど、どうしても前の恋人ともう一度付き合いたい。」
「別れてみて初めて、自分にとってどんなに前の恋人が大切だったかわかった。」
そのような気持ちから復縁を願う人も多いのではないでしょうか。
ネットには復縁に関する情報が溢れ、復縁する方法を伝授するサイトまであります。
音楽の世界でも「復縁ソング」は、いつの時代も人気のジャンルとなっていますよね。
そんな「復縁ソング」の人気ランキングでも常に上位に入っているコブクロの『赤い糸』。
この記事ではそんな『赤い糸』の歌詞について考察します。
記念日を忘れていた初めての彼女
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2人ここで初めて会ったのが 二月前の今日だね
キスの仕方さえ まだ知らなかった 僕の最初の sweet girl friend
他愛も無い細やかな記念日 暦にそっと記してた
「今日何の日だっけ?」って尋ねると 少し戸惑って答えた
「前の彼氏の誕生日だ。」と笑って答える 笑顔 歯がゆい
≪赤い糸 ~Live at 大阪城ホール 2007.07.05~ 歌詞より抜粋≫
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彼氏が記念日を忘れてしまい、彼女をがっかりさせて喧嘩になる。これはよくあるトラブルですよね。
この曲の「僕」は2か月前に出会った大切な記念日をカレンダーに書き込んでいます。
初めてのガールフレンドが出来て嬉しく思う気持ちや、その彼女を大切にする気持ちが表れている純粋な歌詞にキュンとなりますね。
しかし「今日なんの日だっけ?」と訊いて、彼女から返ってきたのは思いもよらない「前の彼氏の誕生日だ」という言葉。
たとえそうでも、それは「僕」に伝えなくてもよいのでは…と思ってしまいますね。
しかし、ここから紡がれる歌詞には「僕」の魅力があふれているのです。
この「僕」の魅力こそが曲の最後までリスナーを惹きつけて離さず、人気の復縁ソングとして愛されている理由の一つなのではないでしょうか。
ここからは「僕」の魅力が詰まった歌詞を読み解いていきましょう。
優しいだけじゃない!魅力満載の「僕」
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心の通わぬやりとりばかり これ以上繰り返すよりも
あなたの心が答え出すまで このまま2人会わない方が
それが明日でも5年先でも いつでもここで待ってるから
約束しようよ そして2人 心に赤い糸をしっかり結んで
≪赤い糸 ~Live at 大阪城ホール 2007.07.05~ 歌詞より抜粋≫
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「前の彼氏」に心を残した彼女と「僕」は、すれ違うことが多くなっていきます。
そのときに「あなたの心が答えを出すまで二人は会わないでいよう」と言える「僕」の潔さと決断力に驚かされますね。
この歌詞の前までは、彼女のことを「君」と呼んでいたのに、「二人は会わないでいよう」と提案するときには「あなた」という少し距離を感じる呼び方をしています。
それがとても切ないですよね。
しかし「僕」は決して彼女を責めたりしません。
「前の彼氏」に心を残しているにもかかわらず、そのままの彼女を愛して包み込んでいるのです。
彼女が答えを出すまで、そっと待ってあげられる優しさと包容力が「僕」の大きな魅力となっています。
また、この「僕」は優しいだけではありません。「僕」は彼女が「前の彼氏」に心を残したまま、自分と付き合うことをさせていませんよね。
「前の彼」に心が残っていたとしても、付き合い続けることで自分に気持ちを向けてもらおうとする男の人もいるでしょう。
それをしない「僕」は、彼女に「前の彼氏」への気持ちと自分への気持ちの板挟みにさせたくないという思いやりだけでなく、「付き合うのなら、自分だけを想って欲しい」と考えるまっすぐで純粋な人なのではないでしょうか。
優しくて包容力があって、真っすぐで純粋、そして潔さや決断力も併せ持っている「僕」。
何より彼女を信じて、深く愛せる愛情豊かな人なのでしょう。
短い歌詞の中から「僕」の魅力がたくさん伝わってきて、リスナーの心をつかんで離しません。
彼女の気持ちが決まるまで会わないと決めた二人は、それから先どうなるのでしょうか?
相手への信頼が赤い糸をつむいでいく
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「会ってくれますか?」とあなたの手紙 偽りの無い言葉達が
溢れた涙で滲んでゆくよ あの場所へ迎えにいくから
泣かないでおくれ 今日は2人の1年目の記念日だから
お祝いしようよ 強く結んだ糸が解けずにいた事も
愛される事を望むばかりで 信じることを忘れないで
≪赤い糸 ~Live at 大阪城ホール 2007.07.05~ 歌詞より抜粋≫
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付き合って2か月目から会わなくなり、10か月後の1年目の記念日に、彼女から心のこもった手紙を受け取ります。
ついに彼女の方から「会ってくれますか?」と言ってきたのです。
それまでは、元カレと復縁してしまったのではないかと不安だった「僕」。
しかし、彼女とは赤い糸でしっかりと結ばれていたのですね。
その強くて太い赤い糸は、ときに不安になりながらも彼女を信じてそっと待ち続けていた、「僕」の彼女への信頼がつむいでいったのでしょう。
「愛される事を望むばかりで 信じることを忘れないで」という言葉が刺さりますね。
この10か月の沈黙を経ての復縁。ネガティブな考え方をすれば、10か月の間、彼女は元カレとの復縁を試みていて、それがうまくいかなかったから「僕」のもとに戻ってきた…と考えられなくはありません。
しかし「僕」にとっては、自分のもとに戻ってくるまでの過程はそれほど気にならないのかもしれません。
赤い糸が彼女との間にしっかりと結ばれているか、「僕」はそれを大切にしているのでしょう。
赤い糸は、恋人同士の間だけではなく、縁ある全ての人との間に結ばれている気がします。
「大切な人への信頼が赤い糸をつむいでいく」。
この歌を通して、人を信じることの大切をコブクロは伝えようとしているのかもしれませんね。
コブクロらしい温かさに満ちた『赤い糸』。是非、もう一度聴いてみてくださいね。
TEXT 三田綾子